
スマホでネット検索するユーザーの激増やAI技術の進化など、この5年の間だけでもIT業界は目まぐるしく変化してきています。
今やweb制作会社ではサイト制作だけを請け負う存在ではなくなっています。
アプリやビジネスツールの開発などをクライアントから求められるようになり、仕事の領域が広がってきています。それにより、最新の技術を持ったWeb制作者が必要になりました。
しかし、現代の人手不足の状況では、優秀な製作者を確保することが至難の業となってきています。web制作会社の経営はかなり厳しい状況にあります。
経営を継続していくのが難しいと感じてしまうと、頭の中によぎるのが「廃業」の二文字なのですが、事業をたたんでしまっていては、せっかく経営してきた会社のノウハウ、従業員などを活用できずに手放してしまうことになってしまいます。
今回は、web制作会社のM&Aにおいて、気をつけたいポイントを説明しながら、M&Aがweb制作会社の経営戦略にぴったりなワケをご紹介していきます。
目次
web制作会社のM&A
M&Aとは
M&A(エムアンドエー)とは『Mergers and Acquisitions』の略です。
Mergersは複数の企業が一つになる「合併」と、Acquisitionsは企業の「買収」と訳されています。
海外では、合併、買収という明確な区別はなく組織を取得する活動を総称して「M&A」と用いられているのです。
【M&Aの概要と特徴について】
・M&Aの概要とは
組織(企業全体、企業の一部)を取得すること
企業全体とは、事業の全部を取得することであり、一部とは複数ある事業の中から一事業のみを取得することです。
・M&Aの特徴とは
組織に含まれるものには
動産(不動産を除く、現金や商品など)、不動産、従業員、特許、ノウハウ、ブランドなど無形資産、債権債務、組織文化、株式などが含まれます。
事業譲渡や株式譲渡を行うメリット
ここでは、「事業譲渡」「株式譲渡」と言った事業再編のM&Aスキームのメリットについてお話していきます。
事業譲渡とは
事業全部の譲渡、譲受、賃貸等、または事業の重要な一部の譲渡に分類されます。
「事業」とは、M&Aの特徴の項目でも少しお話していますが、有形の動産、不動産、債券債務、特許権等の無形財産、ノウハウや取引先との関係、人材等を含む包括的概念とされています。
ですから事業の実態を伴わない単なる財産の譲渡、債務の引継ぎは事業譲渡ではありません。
【事業譲渡のメリット】
・譲渡会社のメリット(売り手企業:事業を譲渡する側)
対象会社の事業・資産・負債のうち特定の一部のみを譲渡の対象にできる点が挙げられます。
業績が今一つの事業を切り離すことも可能です。譲渡で得た現金を他の事業へと投資することもできます。
・譲受会社のメリット(買い手企業:事業を譲受される側)
対象会社の事業、資産、負債のうち特定の一部のみを取引対象にできることと、引継ぎ対象とする債務を特定できるところです。
このため偶発債務(※)を負う可能性が低くなります。
※偶発債務・・・・今は債務にはなっていないが、将来にわたり債務となる可能性があるもの。手形割引による償還義務、訴訟などの結果によっては支払うべき賠償金などが例として挙げられます。
株式譲渡とは
会社の経営権の取得ができます。
議決権は所有株数で決まります。
1/3超・・・特別決議否決
過半数・・・普通決議事項を単独で決議
2/3超・・・特別決議を単独で決議
株式の取得方法は、株式譲渡の場合ですと、株式を株主から買い取る形となります。
【株式譲渡のメリット】
事業買収する会社があなたの株式を取得するために、株主総会での承認などは必要ありません。
対象会社の株主との取引になるため、現金などの対価は、株主に入って会社には入りません。
株式譲渡の最大のメリットは、手続きがシンプルで簡単なのに経営権を手に入れることができるところです。
web制作会社がM&Aを行うケース
web制作会社がM&Aを検討することになった理由として考えられる事項を挙げてみました。順を追ってご説明していきます。
後継者がいないが引退したい
そろそろ引退したいなと思っても、後継者がいなければリタイアすることはできません。
事業は軌道に乗っているが、後を継ぐ者がいなくて廃業してしまうケースも少なくありません。どの業界でも、この「後継者不在」という問題は深刻化しています。
少子化に伴う人手不足問題が引き金になっているのですが、経営者にとって、自分の事業を次世代に引き継いで行くためには、この後継者不在問題をクリアにする必要があります。
【M&Aで後継者を探すことができる】
率直に、親族や社内から後継者を探そうと思っても該当者がいないケースもあります。
このM&Aスキームなら、第三者に事業を引き継ぐことが可能となります。
それは、他の事業を経営している人に、自分の事業を譲渡して継続してもらうのです。
全くの他業種であっても、web制作が自社の事業に必要だと考えている企業に事業を譲ることを検討してはどうでしょうか。
M&Aによって現金を得たい
さきほどの項目でお話した「第三者へ事業を譲る」ということで、売却益による現金が手元に残ります。
ただ単に、親族や従業員に現在のweb制作事業を引き継いでもらっても、その事業そのものが現金化できるということはありません。
また、後継者不在で事業をたたんでしまっては、なおさら現金が入ってくることはありません。
つまり、M&Aのスキームを用いれば、あなたの事業価値に対して現金化し、それを手に入れることができるのです。
その現金を持って、仕事から完全にリタイアするのも良いですし、新しい事業を始めることができます。
健康問題で経営を続けられない
経営者が高齢となってくると、一番心配になってくるのが「健康問題」です。
体調が悪くなってから、経営を継続するかどうかを検討していては、廃業するしか選択肢がないということになりかねません。
自営業というのは、長期間にわたり休業をとることが難しいですよね。
健康管理に十分留意しなければいけませんが、経営を続けていくためには、M&Aで事業を成長させることも検討しておくことが重要です。
事業譲渡を完了させる期間は最低でも6か月は見ておいた方が良いです。
M&Aを検討しはじめて1年くらい前から準備しておくことをお勧めします。
web制作会社のM&Aでオーナーが得られるメリットとは?
心理的負担の軽減(経営、後継者)
前出の事業譲渡の項目でも話していますが、事業の一部を譲渡することも可能です。
その性質から、条件によっては負債も一緒に譲渡することもできます。
経営者の個人保証をはずすこともできるわけです。
また、親族だから事業を引き継がなければならないと悩む必要もありません。
第三者へ事業を譲渡することで、経営のプレッシャーから解放されることになるのです。
金銭的メリット
事業譲渡ですと、一部の事業を譲渡することもできるので、業績の良くない事業を切り離すこともできます。逆に、業績が上がっている事業を高値で譲渡することも可能です。一部の事業を譲渡して、手に入れた現金を他の事業へ投資することで会社全体の事業を育てることもできますし、新規事業を立ち上げることも可能です。
個人経営者には、退職金というものは支給されませんが、事業を譲渡して受け取った金額をリタイア後の生活に使うことができます。会社員でいう「退職金」の代わりになるのではないでしょうか。
大変な思いで起業して、今日まで継続してきた会社ですから、リタイアするタイミングで、退職金代わりの現金を受け取れることは、第二の人生において助けとなるでしょう。
新事業への挑戦や引退後の生活
先程お話した業績の良い事業を高値で譲渡することで、手に入った現金で新しい事業を始めることもできます。web制作会社での経験、ノウハウを活かして新しい異業種へ参入することも可能です。M&Aで新しい事業に投資する元手として、次へのステップとなる新事業のタイミングで、同じ時期に資金を手に入れることは可能です。
web制作会社というのは、かなり長時間にわたる作業する必要もあります。ですから人材も常に確保しておく必要です。経営者は雇用や営業など、常にプレッシャーを感じながら経営をしていかなければなりません。M&Aで事業譲渡を行い引退した後は、自分らしさを感じられる時間を日常生活で見つけられることでしょう。
web制作会社のM&Aを実施する際に気をつけるべきポイント3つ
準備は早めにする
健康問題の項目でもお話していますが、事業売却には最短でも6か月ぐらいの時間を要します。
正直、M&Aを検討して準備を開始し、全て完了するには1年間は見ておいた方がいいでしょう。
M&Aを行った後、自分はどうしたいのか? 目的を明確にするためにも準備期間は十分とっておくことも必要かと思います。
株式譲渡ですと、自分の持ち株分だけを譲渡するなら、他の役員の承認などは必要なく自分の意思でできますが、事業を譲渡するとなると、株主総会での承認などが必要になってきます。日ごろから財務データに目を通して、自社の経営状態を把握しておくことと、他の役員たちにも、自社の経営戦略にM&A必要だということを根回ししておくことも必要です。
売却事業の強みを明確化する
【web制作会社の事業内容とは】
一般的にWeb制作会社とは
“企業から依頼を受けて、webサイトを作ることができる会社”と言い表されています。
しかし、今やWebサイト制作のみを業務内容にしている会社は減少傾向にあります。
業務内容は、web制作会社によって千差万別です。
《サイト制作だけでは事業を継続できない》
冒頭でも触れていますが、スマホの普及やAI技術の進化などにより、この5年の間だけでもIT業界は目まぐるしく変化しています。
例えば、人気回転すし店では、今までなら土日などの混雑時には、長い行列を待つしかありませんでした。しかし今は、そのお店のアプリをダウンロードし、そこで予約することで、並ぶ必要がなくなりました。
このアプリを制作したのもWeb制作会社です。回転すし店が行った顧客アンケートなどを元に、どのようなサービスが必要かを分析して、並ぶ必要のない予約アプリを開発したのです。
時代によって、目まぐるしく変わる顧客のニーズを分析して、また消費者動向をマーケティングも可能な制作会社の重要が高まっているということです。
そして、Webサイト制作だけでなく、マーケティング、ブランディングなども顧客が必要とするすべてを請け負える制作会社の事業にこそ、高い価値があり、高く売れるということです。
再度、はっきりと言いますが、事業の強み=事業価値の高さにつながり、そして高く売却できます。
せっかくあなたが手塩にかけて育ててきたweb制作の事業です。M&Aのスキームを活用するからには、高く売却できるように事業内容を見直す必要性があります。
事業売却の条件を明確にする
これまで、何度か触れてきていますが、あなた大切に育てた事業ですから、事業売却の条件などはしっかり決めておく必要があります。
この条件を明確にしておかないと、後でM&Aで事業譲渡したこと自体を後悔してしまうことになります。
例えば、従業員の雇用を継続することを譲渡の条件にするならば、雇用継続だけでなく、待遇の改善も盛り込んでおく必要があります。そうなると、今までの条件以上の高待遇で従業員の雇用を保障する売却先が現れるかもしれません。
このweb制作の事業を譲渡条件は? と常に考えておけば、自ずと方向性が決まってきて、譲渡先はどんな企業が良いかということが見えてくるはずです。
web制作会社のM&Aを相談するなら
M&Aを検討した当初は、まずはオーナー自身がそれに向けての行動することがいいでしょう。
早い段階で、他の役員や従業員に公表することは避けた方がベストです。
不必要な心配や憶測を生んでしまうからです。従業員の離職につながるかもしれません。
だからこそ、オーナーはM&A専業のエージェントの助言を得たほうが話を進めやすくなるかと思います。
そのエージェントを探す際に気を付けていただきたいのは、
・完全成功報酬制であること
・Web制作会社のM&Aを行った実績があること
・相談は無料であること
などが挙げられます。この3つの中で一番重要なのは、実際にWeb制作会社のM&Aを経験しているエージェントであることです。
Web制作会社の事業内容や、経営について理解のあるスタッフが在籍しています。一から説明する必要もなく、経営を続けながらM&Aの準備を進めることができます。
まず、Web制作会社のM&A実績があるエージェントを探して、相談してみることをお勧めします。
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