
web制作会社は少数精鋭で経営している企業が多く、一番多いのは従業員が10人以下くらいの小規模な会社が多いということです。
このような中小企業においてもM&Aというスキームは活用できるのか? 少し不安に思っている経営者もいるかと思います。
新聞やテレビ、ネットニュースなどで報道されているM&Aの事例は大企業ばかりなので、そう感じるのかもしれませんが、実際のところM&Aは、中小企業にこそぴったりなビジネススキームなのです。
買い手側企業にとっては、少ない資金で、異業種参入できるということ、また売り手側にとっては、廃業を選択することなく事業を第三者へ引き継ぐことができて、そして売却益によって現金が手元に残る点です。
売り手、買い手の双方にメリットがある「M&A」について、今回は事例を含めながら紹介します。
目次
web制作オーナーがM&Aを選ぶ理由とは?
売り手企業、買い手企業にわけて、オーナーがM&Aを選ぶ理由を確認していきます。
【売り手側企業オーナーの理由】
・後継者が身内、社内から選抜できない
・オーナーの高齢化による健康問題が心配になってきた
・他の事業を始めたい、自分の時間を持ちたい(※リタイアしたい)
・今後のweb制作会社経営に不安を感じてきた
・一部の事業を第三者へ引き継いで、他の事業経営に集中したい
など、自社の事業を何とか継続できないか? と思った時に、M&Aを検討するのではないでしょうか。
【買い手側企業オーナーの理由】
・なるべく小資金で新しい事業を始めたい
・自社の事業と相性が良い事業と取り入れたい
・傘下企業を増やして会社規模を拡大したい
など、自社の成長にM&Aのスキームを役立てたいと考えているオーナーが多いのです。
売り手側、買い手側において共通する点は、「自社の事業を有効に活用したい」という点です。事業には、ブランド、ノウハウ、従業員まで含まれます。
これらを活用して、買い手側は新しい事業を取り入れてより一層業績を上げていきたいと考えます。一方、売り手側は、大切に育てたノウハウなどを第三者へ譲ることで、永遠に事業を続けることができると考えます。
M&Aに携わる人すべての人に対して利益が見込まれる仕組みこそ、このM&Aの最大のメリットと言えるでしょう。
「M&A」のスキームで、自社をより一層大きく育てたいと思った時が、検討するきっかけになります。
web制作のM&A事例
【実際にM&Aを行った企業の事例を紹介】
〇web制作会社×デザイン事務所のM&A
《譲渡企業データ:Web制作会社》
売上高:1.2億
事業内容:ホームページ制作
M&Aスキーム:株式譲渡
M&Aを行った理由:家庭の事情
《譲受企業データ:デザイン事務所》
売上高:2億
事業内容:デザイン事務所
譲渡側企業のM&A理由が「家庭の事情」のため、売却希望日が決まっていて、スピーディに譲渡しなくてはいけなかったのですが、譲渡企業が安定した売り上げがあったので、すぐに譲受企業が決定しました。
譲渡側企業は、定期的に契約している顧客が多く存在していたことが安定経営につながっていました。ホームページを制作するだけでなく、アフタフォローやコンサルティングにも力を入れていました。
〇広告業×ASP・webコンテンツ制作業のM&A
《譲渡企業データ》
業務内容:求人広告を主体とした広告業であり、人材派遣業も全国展開している広告業としては老舗企業です。
《譲受企業データ》
webコンテンツの受託制作で売り上げを伸ばしていき、当初は個人経営でしたが、1年後に法人化した成長著しいweb制作会社です。
今度は、Web制作会社が譲受企業となる事例です。
譲受企業は、受託制作で安定した売り上げはあるのですが、やはり新規開拓などの営業力が欲しいと思っていました。そこで、広告業を営む譲渡企業に強い魅力を感じ、広告事業を買い取ることにしたそうです。
譲受企業では、求人広告制作も行っていたのですが、広告業を新しい事業として取り入れることで、より一層充実したコンテンツ制作につながっていき、確実に売り上げにも反映しているということです。
このM&Aで一番気をつけたい点は、M&Aが完了した後です。
譲渡する事業内容の相性ももちろんですが、経営者同士の相性もとても大切だということです。ビジネスライクに事業面だけを話しあっていても、本当の業務提携というのは難しいのです。
M&Aを完了するまでの間に、何度も経営者同士が面談して話し合うことも大切なことです。
web制作のM&A事例から考える成功ポイントとは?
M&Aを成功へと導く4つのポイント、
- 従業員
- 取引先の数
- 取引先の規模
- 相談できる専門家
について説明していくのですが、ざっと一読を通した後、「当たり前のことじゃないか?」と思われるかもしれません。
特に、従業員の質というのは、経営を成功させるにはとても重要なことです。
優秀な従業員を雇用している企業は、成長が著しいといえるでしょう。
また、優良な取引先に恵まれることも、事業を大きく発展させていくためには不可欠な要素です。そして、経営者というのは孤独なものですから、頼りになる相談相手がいたほうがいいでしょう。
今回は、M&Aに関して知っている人もいない人も、再確認という意味で紹介します。
この成功ポイントはとても重要な項目となります。これはweb制作会社だけでなく、どのような業種にもいえることでもあります。
従業員の人数と質
冒頭部分でもお話していますが、web制作会社の特徴として、少数精鋭経営であることが挙げられるのではないでしょうか。
経営者はweb制作現場経験がある場合が多いです。
webマーケティング会社や広告代理店での営業経験がある人のほうが、これまでの自身のキャリアを活かし、web制作会社を起業している傾向が多いです。
・webコンテンツというのは、読み手が不特定多数です
インターネットというプラットフォーム上では年齢も性別も、居住地も国内に限定されません。だからこそ、webコンテンツを制作しようと思ったら、広い視野が必要になってきます。つまり、制作現場での経験は経営者には必須です。
そんなweb制作会社の経営者が若いことから、その従業員も20代や30代前半といった人たちが多く、制作者になる前は、「学生」だったということも少なくありません。
また現在、web制作の業界にいる人の中には、前職はweb制作とは全く違う業種で働いていた方もいます。
・社会経験がない若者である場合は、 読み手との距離が近い
サイトを閲覧している、特にスマホで閲覧しているユーザーは10代、20代の若者が多く、この世代の共感を得るためには、コンテンツ制作者との年齢層が近いほうが良い場合もあります。
難しいことに、コンテンツの内容によっては、豊富な社会経験が必要な場合もあります。
不特定多数のあらゆる読者層を納得させるために、少数ではありますがあらゆる読者層に対応できる人材が必要だということです。
・web制作会社の従業員の質はとても重要
web制作会社が優秀な人材を確保していることに越したことはありません。しかし、事例の項目でもお話しました通り、制作者ばかり増やすことよりも、営業のできる人、マーケティング能力のある人を増やした方が、コンテンツの質も上がります。営業力が強くなると、自然と売上が上がることは言わずもがなです。
web制作会社は、少数精鋭経営を行う必要がありますから、その従業員の質にはかなりこだわるべきです。同じ業務を行う人ばかりでなく、様々な業務を行える人材を揃える必要があります。
直契約の取引先の数
Web制作の基本は、受託制作と言われています。
受託制作のきっかけとして最も多いのが、クライアントからの「直接依頼」です。
受託を受けてから制作に取り掛かりますから、常に企業(クライアント)から注文を受ける必要があります。クライアントと深い信頼関係を結びながら業務量を増やしていかなければなりません。
どのように信頼関係を強く結びつけていくのかというと、例えば、クライアント側から「ホームページをリニューアルしたい」と言われて、ただ従来のサイトと代り映えしない内容では、次回の案件でも頼もうとは思われないでしょう。どのようにしたらアクセスが増えるか? この企業の良さを伝えられるかの対策を考えてリニューアルする必要が出てきます。
サイトを訪れた人が、「あ、すごく変わっている!面白い!」と思ってもらわなければいけないのです。
おしゃれでデザイン性のあるサイトを作る必要もありますが、それよりも売り上げアップに直結するサイトを作る必要が出てきます。
これからのWeb制作会社は、サイト制作だけにとどまらず、取引先企業の徹底したリサーチ、マーケティング、ゆくゆくは店舗運営など異なる事業にも取り組んでいく必要があります。
このような深い信頼関係が結べているクライアントがどのくらい存在するのかが、web制作会社の事業価値ともいえるのではないでしょうか。
【受注を増やすためにweb制作会社ができること】
今までお話してきました通り、web制作会社は「総合力こそパワー」です。
クライアントが求めるすべての施策において、社内の全人材で対応できるかどうかなのです。中小企業がクライアントの場合だと、web制作、運営、売上アップにいたるまですべてをサポートする総合力をつけることが不可欠になってきます。
そのような総合力のある「Web制作会社」を育てることで、あらゆる理由から事業を手放すことになったとしても、高く売却することも可能なのです。
取引先企業の規模
取引先に大手企業が名を連ねていることに越したことはないのですが、取引先企業の規模にこだわる必要もあまりないのかとも考えられます。
定期的にきっちりと依頼があるといった月間の発注量にこだわる必要があります。
ここ数年で、web制作会社の仕事量は増加傾向にあります。
5年前から急増しています。反面、減少している仕事というのが、
- 単純なサイト制作
- SEO施策など
- 印刷物の制作、撮影業務
- 単純なランディングページのコーディング
このような仕事なら素人でもこなしてしまうため、自社の従業員で対応してしまうのです。
わざわざweb制作会社に頼もうとは思いません。
反面増えている仕事は
- 総合的なブランディングの案件
- 映像制作(自社ホームページに動画CMを掲載する企業が増えています)
- 構成企画やアートディレクションを含んだ制作依頼
- SNSを利用した企画
単純な制作業務は減っているにもかかわらず、このような高度な制作業務はどんどん増えています。
取引先側の企業も、超大手企業でさえも、ニッチでユニークな構成力を持ったweb制作会社を常時探している状態です。web制作会社の規模にはこだわっていません。
テレビCMを見ていても、続きはwebへとなっていて、キーワードを明記してHPに誘導する方法が増えています。
テレビCMのその先、「オチ」を制作しているのは、中小のweb制作会社だったりするのです。
構成力とマーケティング力を持っているかどうかで、どんな企業と付き合えるかが決まってくるといっても過言ではありません。
M&Aの専門家に頼るのもアリ
大手企業も、優良なweb制作会社を探しているといっても、どこの企業が探しているのか見つけるのは至難の業です。
自社の事業もM&Aのスキームが活用できるのかな?という考えが頭をよぎった時、ぜひ一度相談してほしいのが、web制作会社のM&A経験があるエージェントです。
豊富なM&A実績のあるエージェントなら、あなたの会社にピッタリの企業を探してくれます。特に、web制作会社のM&A経験があるなら、どのような企業と相性が良いのかも分析して紹介してくれます。
経営をしながら、忙しい時間の中で、相手先企業を探していても、なかなか思い通りに見つかりません。
一度、web制作会社のM&Aエージェントの意見を聞くことをお勧めします。
web制作のM&A事例をさらに聞くなら
web制作会社のM&Aの実績があるエージェントに相談すると、1-3までの話以上のさらに詳しい内容を聞くことができます。
さらに、具体的な企業の規模や会社名も公表可能なら聞くことができるはずです。
あなたの会社にぴったりなM&A事例を教えてもらうことにより、相性の良いweb制作会社を見つけることができるのではないでしょうか。
当然、M&Aを行う2者の相性ももちろん大切ですが、間の入ってもらうweb制作会社に詳しいM&Aエージェントとの相性もとても大切です。
譲渡先、譲受先、エージェントが三位一体となることでweb制作会社のM&Aを成功へと導くことができます。
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