
学習塾を経営している方は、事業売却について知っておくことをおすすめします。
学習塾の事業売却は増加傾向にあり、多くの企業が学習塾を売却しています。
適切なタイミングで事業売却することで、大きなメリットを得られるでしょう。
事業売却は、どのようなタイミングに行うべきなのでしょうか。
また、どのようなことに注意して事業売却を進めていくべきでしょうか。
事例をもとに、そのポイントを詳しくご紹介します。
目次
学習塾の事業売却を行うのは、こんなとき!
事業売却をするタイミングは経営者が自由に決められます。また、学習塾ごとに事情が異なるため、他社が売却するタイミングに合わせる必要はありません。
しかしながら、どのような場合に学習塾を事業売却することが多いのかを知っておくことで、自社に当てはめて、より最適なタイミングで事業売却できるようになるでしょう。
学習塾の事業売却は、次のようなタイミングで行われています。
業績が思わしくないとき
学習塾の業績は、年度によって大きく異なる場合があります。
1つの部屋に数十人の生徒が集まり、1人の講師による授業を受けるスタイルが主流ですが、近年ではマンツーマンの個別指導が人気です。
従来のスタイルで業績が高い学習塾であっても、急に業績が悪化することがあります。
個別指導が良いという口コミが広がれば、地域の子供の多くが個別指導の学習塾を選ぶようになり、業績が大きく落ちる可能性があるのです。
単純に、講師の質が低く、業績が年々落ちていくケースもありますが、これは新しい講師を雇うことで対処できるでしょう。
しかし、集団授業から個別指導に切り替えるためには、講師を多く雇い、生徒の数を減らすことになります。
すぐに個別指導に切り替えることができず、そのまま業績が低迷し、廃業に追い込まれる恐れがあるのです。
事業売却することで、買い手企業が持つ資金力やコネクションを駆使した学習塾に生まれ変わり、業績アップが期待できます。
買い手としては収益柱が増え、売り手としては業績が低迷する可能性がある事業を売却できるというメリットがあります。
オーナーがリタイアしたいとき
学習塾の経営をやめたいと思ったときに、事業売却を選択するオーナーが多くみられます。
学習塾の経営をやめる方法は、事業売却や事業継承、廃業などです。
事業継承は、次の世代に経営権を引き継ぐことで、役員退職金を受け取れます。
廃業もある程度の現金は残せますが、大金を手に入れることはできません。
そして、事業売却は学習塾の業績や将来性、講師の質、難関校への合格率などに基づいた売却益を得られます。
学習塾の経営をやめた場合、次に何をするのかが重要です。
今後、一切働くことなく老後を迎えるのか、新たな事業に挑戦するのか、投資家を目指すのかなど、目的に合わせてオーナーをやめる方法を決めることが大切です。
次の何をするにしても、ある程度の現金が必要です。一切働くことなく老後を迎えたいのであれば、年齢によっては数千万円もの現金が必要でしょう。
事業の立ち上げに関しては、1,000万円もあれば足りるケースがほとんどです。投資家を目指すのであれば、できるだけ多くの現金が必要でしょう。
廃業や事業継承では、オーナーをやめた後の目標を達成できるほどの現金を得られないことが多いため、事業売却を選ぶことが大切です。
別の事業に注力したいとき
別の事業に集中したい場合にも、事業売却が向いています。1つの事業の経営の責務から解放されれば、別の事業に集中できる時間的な余裕ができます。
また、体力面や精神面にも余裕ができるため、別の事業の経営状況が良くなる可能性があるのです。事業売却で得た現金を投入すれば、さらに事業の幅を広げることができるでしょう。
注意したいのは、事業売却した業種の事業を新たに立ち上げられないことです。
別の事業に注力して十分な収益を挙げられるようになったら、再び学習塾の経営を始めるといったことはできません。
別の事業に注力するために事業売却するのであれば、学習塾の経営から完全に手を引くことになります。
学習塾の事業売却の事例を見てみよう
学習塾の事業売却は活発化してきており、様々な事例があります。
難関校への受験専門の学習塾として高い実績を挙げてきたA社は、本業である不動産業に対する資金投入を目的に学習塾を事業売却しました。
また、親から借りていた資金を兄弟に振り分ける必要が生じ、できるだけ早く現金が必要となったことも重なり、事業売却に踏み切りました。
このように、事業売却する理由は、業績不振やオーナーがリタイアしたいときだけではないのです。一般的な事業売却の理由に当てはまらなかったとしても、事業売却することは可能です
学習塾の事業売却を行う際に気をつけたいポイント
学習塾の事業売却には、様々な注意点があります。間違った方法で事業売却したり、十分な準備ができていなかったりすると、高い売却益を得ることができません。
それどころか、講師が何人も退職したり、生徒も辞めてしまったりする恐れがあるのです。
このような事態が起こると、買い手企業にも迷惑がかかり、交渉が決裂する可能性があります。
売却できないうえに経営状況が悪化し、そのまま廃業に追い込まれることも懸念されるでしょう。
学習塾の事業売却の際には、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。
塾講師を確保する
塾講師を十分に確保しましょう。
学習塾の事業売却によって経営者が変わると、方針も変わる可能性があります。
大きく方向転換するわけではなくとも、新しい経営者に反発して退職する講師が出てくるのです。
1人も退職せずに、事業売却を完了できる可能性は低いと考えておきましょう。
また、1人が退職すると、その講師と仲がよかった講師まで辞めてしまう恐れがあります。
そのため、塾講師を十分に確保したうえで事業売却を進めることが大切です。
また、できるだけ退職する講師を減らすために、1人ずつ面談するようにしましょう。
売却後も変わらずに力になってほしい気持ちを伝え、必要に応じて待遇アップすることも確約することをおすすめします。
待遇アップを確約する場合は、事業売却の条件に講師の待遇アップを含めましょう。
売却先との親和性を考える
売却先の会社が学習塾の経営に向いているか考えましょう。次のようなポイントをチェックすることが大切です。
資金力
資金力がなければ、学習塾の経営に力を入れることができません。同時に、高い売却益を得られない可能性が高くなります。
資金力がなければ、学習塾の価値に対して妥当な額で買収できません。また、従業員の待遇アップを求めても対応できない恐れがあります。
資金力がないということは、展開している事業において成功していると言えないでしょう。経営の手腕が今一つの可能性があり、学習塾の業績低迷に繋がることが懸念されます。
これまで育て上げてきた学習塾を廃業させてしまうような企業には、売却したくないというオーナーは多いでしょう。
資金力からは、会社の様々な事情を読み取れるため、十分に考慮したいところです。
社風
学習塾の経営に向いているかどうかを知るために、買い手企業の社風を確認しましょう。
学習塾の経営には、堅実な社風よりも挑戦的な社風が向いています。
より良い指導法を積極的に導入し、難関校への合格率を高めていかなければ、他の学習塾との競争に負けてしまうでしょう。
ただし、堅実な部分も学習塾の経営に必要です。頻繁に方針が変わると、学習塾の質が安定せず、良い評判が広まりにくくなります。
展開している事業
教育系の事業を展開している会社は、学習塾の経営にも理解があると考えられます。
しかし、教育や学習に全く関わらない事業しか展開していない場合は、学習塾の経営のポイントがわからず、最初は戸惑うことになるかもしれません。
学習塾の競争率は高く、一度経営状況が悪くなると、立て直せずに廃業するケースもあります。
自分が育ててきた学習塾を廃業させないためにも、買い手企業が展開している事業をチェックしておくことをおすすめします。
資料やデータを十分に用意する
売り手は、買い手に対して希望売却額を提示します。
希望売却額とは、いくらで買い取ってほしいかを示す金額のことで、買い手が納得しない場合は交渉することになります。
なぜ、その希望売却額になるのか根拠を示すために、資料やデータを十分に用意することが大切です。
数字だけを提示されても納得することはできません。交渉が無駄に長引くことになるため、できるだけ多くの資料やデータを用意しましょう。
業績の前年比や来年以降の見通しなどを示すデータの他、学習塾がある地区の競合のデータ、生徒数や難関校への合格率などの資料も必要です。
非常に細かいところまで希望売却額に反映させることになるため、膨大な資料を買い手に提示することになります。
また、買い手が求める資料やデータも提示するようにしましょう。しっかりと買い手の要望に応えることで、信頼関係を築くことができます。
事業売却のコンサル企業の力を借りる
事業売却を経営者1人の力だけで進めることは困難です。
必ず、事業売却のコンサル企業の力を借りましょう。
長年の経験と専門知識により、買い手にも売り手にもメリットのある良い取引をサポートしてくれます。事業売却のコンサル企業の力を借りるメリットは次のとおりです。
妥当な希望売却額を算出できる
専門家に売却事業のデータや資料を提示することで、希望売却額の算出をサポートしてくれます。妥当な希望売却額を算出できるため、買い手に不信感を持たれる心配もありません。
希望売却額には、学習塾への思い入れによる金額も含まれるため、高い額になってしまいがちです。
専門家のサポートを受けることで、現実的な希望売却額かどうか判断してもらえます。
信頼性が高い買い手企業とマッチングできる
実体のない企業や信頼性が低い企業に学習塾を売却すると、様々な問題が起こる可能性があります。途中で交渉が決裂するリスクも上がるでしょう。
事業売却は10~12ヶ月程度を目安に行う必要があるため、交渉が決裂することは売却時期が遅れる原因となるのです。
専門家に相談すれば、信頼性が高い企業とマッチングが可能です。
それだけ交渉が決裂するリスクが低いため、スムーズな売却が期待できます。
不明点を専門家に質問できる
事業売却するうえで、様々な疑問点や不明点が出てきます。
疑問やわからないことを解決しないまま進めると、後悔することになるかもしれません。
専門家のサポートを受けることで、事業売却に関しての疑問点や不明点をいつでも相談できます。事業売却がスムーズに進み、後悔するリスクも抑えられます。
交渉のサポートを受けられる
事業売却には交渉がつきものですが、交渉が下手だと損をする恐れがあります。
専門家は、交渉のサポートをしてくれるため、損をしたり買い手に有利な条件を飲んでしまったりするリスクを抑えられるのです。
お互いに譲歩しつつ交渉することで、買い手にとっても売り手にとっても良い結果となります。
専門家は、買い手と売り手の間に立ち、良い事業売却になるようサポートしてくれるのです。
学習塾の事業売却でお悩みなら
学習塾の事業売却をするかどうか迷っている、失敗しないか不安といった場合には、専門家に相談するといいでしょう。
過去の事例や事業売却の基礎知識、注意点などの情報を得られます。事業売却に迷っている段階で相談することも可能であるため、後悔しないためにも疑問点や不明点を解決しておきましょう。
専門家にサポートを依頼する際には、着手金と成功報酬の両方がかかる傾向があります。
ただし会社によっても様々で、例えば当サイトでおすすめしているM&Aコンサルティング社であれば、完全成功報酬型でサポートしてもらえるので、着手金はかかりません。
専門家の過去の実績を確認し、費用と比べたうえで依頼先を決めることが大切です。
事業売却は、何の知識もない状態で進めることは難しく、売却したことを後悔する場合もあります。
事業売却する場合は、できるだけ専門家のサポートを受けて、希望通りの結果になるよう進めていきましょう。
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