
タクシー会社の事業承継を成功させるために、過去の事例からポイントを読み解くことが大切です。
事業承継には、現経営者や後継者だけではなく、従業員も深く関係します。
いずれか1人が得をするような方法では、事業承継後に会社の収益が下がる可能性があります。
そのため、成功のポイントを押さえ、正しい方法で事業承継する必要があるのです。
タクシー会社の事業承継を行う背景や過去の事例、事業承継を成功させるためのポイントについて詳しく解説します。
目次
タクシー会社が事業承継を行う背景
タクシー会社が事業承継を行う背景には、次のような事情があります。
経営者が経営を続けられない状態になった
どれだけ優秀な経営者でも、年齢には勝てません。
高齢になると、健康上の問題も起こりやすくなるため、満足に経営できなくなることがあるのです。
経営者が不在な日が増えると、会社の収益が落ちる恐れがあります。
従業員としても、経営者が不在だと不安な気持ちになり、仕事に支障をきたすかもしれません。
そのため、ある程度の年齢になってくると、後継者に会社を引き継ぐ経営者が増えるのです。
また、まだまだ若くて健康上の問題もなかったはずが、急に病気になるケースもあります。
そのため、早い段階から後継者を育てておき、急病で退任を余儀なくされても会社への影響を最小限に抑えられる状況を作ることが大切です。
経営者が早く経営のプレッシャーから解放されたい
どれだけ高い収益を挙げられていても、経営のプレッシャーからは逃れられません。
誰もが知っているような有名企業でも、時代の流れとともに収益が下がり、倒産するケースもあるのです。
また、倒産すれば従業員が路頭に迷うことになるため、申し訳ない気持ちに押しつぶされそうになることもあるでしょう。
このようなプレッシャーから早く解放されたいため、早い段階で事業承継する場合もあります。
実際のところ、早く経営者を辞めたいという気持ちで経営を無理に続けても、収益アップのための施策などは思い浮かばないでしょう。
経営者としてのモチベーションを保てなくなる前に、フレッシュな後継者に会社を引き継ぐことが大切です。
後継者に引き継ぐことで収益が上がる見込みがある
経営者よりも後継者の方が、これからの時代は経営に向いているといったケースがあります。
IT化が進み、新しいサービスも次々と導入されています。
例えば、スマートフォンからタクシーを配車したり料金を調べたりできるアプリの導入などは、収益を加速させられる可能性があります。
アナログの時代からタクシー会社を経営してきた場合は、デジタル無線の導入などにも追いつかないケースもあるでしょう。
若い後継者に会社を引き継ぐことで、時代の波に逆らわず新しいサービスや技術、設備を導入できるようになるのです。
タクシー会社の事業承継の事例
タクシー会社の事業承継の事例はたくさんありますが、今回はその一部をご紹介します。
多くの負債を抱えていたタクシー会社が後継者に会社を引き継いだ事例があります。
到底、取り返すことができないと思われるほどの負債を負っていましたが、不採算の拠点の見直しやタクシードライバーの募集広告を打つなど様々な施策を行った結果、黒字転換に成功したのです。
経営では、大きな金額が動くため、1つの工夫で赤字を黒字に転換できることがあります。
前の経営者が同じ施策をしても黒字転換できたかもしれませんが、実際に行動できたのは後継者の考え方や行動力によるものです。
そのため、会社の再建が必要な場合に事業承継の準備が整っている場合は、実行に移すことも視野に入れた方がいいでしょう。
タクシー会社の事業承継のポイントとは
タクシー会社の事業承継を成功させるためには、事前に経営しやすい状況を整えておく必要があります。
収益が右肩下がりの状況で、何の対策もなく後継者に引き継いでしまうと、会社経営に慣れていない状態で大きな問題を抱えることになります。
そのまま収益悪化が続き、やがて倒産に追い込まれるかもしれません。
タクシー会社の再建や収益アップを目的とする場合は、次のようなポイントを押さえましょう。
タクシードライバーの稼動率の見直し
タクシードライバーの稼働率が高すぎる場合、モチベーションの低下によって収益が下がる可能性があります。
残業や夜勤は割増賃金が発生するため、無駄に稼働時間を長くしても収益には繋がりません。
むしろ、ドライバーへの支払いが増えることで収益が下がることも懸念されるのです。
タクシードライバーの稼働率を見直し、適正な支出で大きな収入を得られるようになれば、黒字転換も可能です。
営業区域とドライバーごとに乗客の人数や収益などをリストアップして、収益が上がっていない時間帯の労働をカットしましょう。
そして、収益が上がっている時間帯に多くのドライバーを集中させることで、収益アップが期待できます。
営業区域の見直し
営業区域は慎重に決めなければなりません。
タクシーの需要が低いのに大量のドライバーを投入することになれば、他の営業区域の売上と打ち消すほどの赤字になるでしょう。
逆に、不採算の営業区域から撤退して、利益を最大限に得られる範囲でのみ営業すれば、黒字転換も可能です。
営業区域が多いと、知名度も上がります。
しかし、営業区域が広範囲であればあるほどに、管理が難しくなります。
不採算の拠点の管理ができておらず、黒字転換のための邪魔になってしまっているケースも珍しくありません。
不採算の営業区域からは完全に撤退し、営業拠点はM&Aで他企業に売却するといいでしょう。
M&Aであれば、売却益を得られるため、新たな拠点拡大の資金にもできます。
不採算の営業区域から撤退し、採算のとれている営業区域に力を入れましょう。
そして、可能であれば収益を拡大できそうな営業区域に拠点を作ることが大切です。
収益を今以上に挙げるためには、体制を整えるだけでは不十分でしょう。
新しいことにも挑戦しつつ、支出をできるだけ抑えることをおすすめします。
事業承継後の目指す目標の設定
事業承継後、経営から退いた現経営者はもう経営者ではありません(もちろん他に事業を持っているのであれば経営者ではありますが)。
今まではプライベートも仕事もほぼ一緒のもの、分けることのできないもので、経営者であるという面も自分の一部だったはずです。
そのため経営者としての地位を失うことで、アイデンティティを見失い、事業承継後の時間をどう過ごしていけばいいのか分からなくなってしまうケースもあります。
仕事が趣味だった方が定年退職後に燃え尽きてしまい、日がな一日をぼーっと過ごしてしまうのと一緒です。
ぜひ事業承継後のご自身について、承継前に考えてみましょう。
趣味に熱中するのもいいですし、家族のために時間を使うのもいいと思います。
やっぱり仕事に力を注ぎたいと思うのであれば、また別の事業を立ち上げるのもいいでしょう。
事業承継後にどのようになっていたいか目標を設定しておくことで、面倒なことの多い事業承継に対するモチベーションも維持できます。
M&Aの専門家に頼るのもアリ
事業承継を成功させたい場合は、M&Aの専門家に頼るのもいいでしょう。
M&Aは、事業売却・買収などの意味を持ち、事業の一部や全体を売却することができます。
不採算の拠点をM&Aで売却することで、資金を充填できます。
また、M&Aの専門家は子どもや従業員で引き継げる人がいないケースでM&Aによって第三者に事業承継を行うケースがあるため、事業承継に関する知識も持ち合わせています。
そのため、不採算の拠点のM&Aを専門家のサポートを受けながら行いつつ、事業承継についても相談できるのです。
事業承継とM&Aを組み合わせることで、良い状況に改善して後継者に引き継ぐことができます。
専門家に相談するメリットについて確認しておきましょう。
▼手続きをサポートしてもらえる
事業承継とM&Aは、どちらも複雑な手続きが必要です。
専門家に依頼することで、複雑な手続きをサポートしてもらえます。
経営に集中しやすくなるため、事業承継のタイミングでイレギュラーが起きても対処しやすくなるのです。
▼トラブルへの対処法をアドバイスしてもらえる
トラブルを避けるために、従業員や取引先へは事業承継が確定してから告知することが基本です。
しかし、何らかの形で事業承継することが従業員に知られてしまい、退職の意思を表明されることがあります。
人望があり勤続年数が長い従業員が退職すると、他の従業員までも退職する恐れがあるのです。
このような場合、従業員にどのように伝えればいいのか、情報を漏らさないための対策方法などを専門家に確認できます。
▼希望売却額を算出してもらえる
M&Aでは、買い手に対して希望売却額を提示します。
希望売却額が高すぎると、良識を持たない経営者だと思われてしまうでしょう。
そのため、適正な希望売却額を提示する必要があります。
しかし、希望売却額を算出するためには、事業価値を正確に見極めなければなりません。
専門家は、適切な希望売却額を算出できるため、買い手の心象が良くなるのです。
▼M&Aの交渉をサポートしてもらえる
希望売却額が妥当なものでも、多くの場合は交渉が必要になります。
譲れない条件の提示や売却額の交渉などは、専門家のサポートを受けた方がいいでしょう。
必要な資料やデータがどのようなものを指すのか、どういった交渉をすればいいのかなど、様々なアドバイスをしてもらえます。
高額で売却できれば、それだけ残った拠点への設備投資や求人広告などに使用できるため、将来的な収益アップに繋がります。
タクシー会社の事業承継を行うなら
タクシー会社の事業承継を行うのであれば、専門家に相談した方がいいでしょう。
いつから準備を行った方がいいのか、会社の状況からして、どのような形で事業承継をした方がいいのかなど、様々なことを相談できます。
相談せずに事業承継の準備を始めると、途中で重大なミスに気づき、引き継ぎのタイミングが遅れてしまう可能性があります。
専門家は、過去の失敗事例も把握しているため、失敗しないよう万全の対策を講じてもらえます。
経営者・後継者・従業員の全員にとって良い事業承継となるように、専門家のサポートを受けましょう。
少子化が進む日本では子孫が家業を代々引き継いでいくのも難しくなりつつあります。
後継者がいないという場合は、M&Aを使った第三者への事業承継も検討してみましょう。
M&Aを使ったタクシー会社の事業承継について、相談を受けている会社としてM&Aコンサルティング社があります。
いつM&Aを実施すればいいのか、タイミングを見極めつつ、より高い金額で売れるようなサポートを行っていますので、事業承継後にやりたいことがありお金が必要な方にとっては頼もしい存在となってくれるでしょう。
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