
日本でM&Aは売り手市場といわれています。しかし残念ながら全ての業種が売り手市場というわけではありません。あまり人気のない業種も存在します。
たとえばM&A市場では「製造業」はあまり人気がないと言われています。
なぜかいうと、海外製品に押されて売上が低迷している上に、工場などを持つ必要があり設備投資がかさんでしまって、金融機関などからの借入金が重くのしかかっている企業が多いという点が挙げられます。
すべての製造業がこのような状態ではありませんが、中小企業の製造業には共通する特徴ではあるようです。
今回取り扱う「システム開発業」は、ある意味「製造業」ではありますが、工場を持つ必要はありませんし、大きな設備投資ということもありません。
優秀な技術者がいれば経営ができるということになります。
このような業種には買い手企業が集まるので、すなわち売り手市場となります。
今回は、いまM&A市場で人気の「システム開発会社」の事業売却についてお話していきます。
目次
事業売却でシステム開発オーナーは得をする?
事業売却をすることで、本当にオーナーは得をするのでしょうか?具体的なメリットについてご説明していきます。
金銭的メリット
事業を売却することになりますから、当然のことですが、売却代金が入ってきます。
これは廃業を選んだ場合よりも、大きな金額を手に入れることも可能です。
その上、節税効果もあります。
廃業の場合と比較しますと、廃業に伴い清算して残った配当所得などには、金額により幅はありますが、10~50%の所得税がかかります。
また処分した資産などにも法人税が30%課税されます。2度も税金を支払う必要があるのです。
一方、M&Aで受け取った譲渡金額には、20%の所得税がかかるだけです。
不動産なども処分せずに済みますから、売却益が課税されることもあません。
結論、廃業には税金だけでなく様々な費用がかかりますが、事業売却なら様々な金銭的メリットを受けられます。
精神的メリット
中小企業の社長となると、事業資金を借り入れる際に、自宅を担保にしていることもあるでしょう。すなわち「個人保証」です。
事業売却に関して、「個人保証」を解除することを条件にしておくと、もう自宅を取られるといった心配が必要なくなります。
事業売却を行う際は、売却金額で返済することもできますが、条件によっては、債務引継ぎの交渉によって、個人保証を外せる可能性が高くなります。
個人保証や個人資産の担保を解除できるかどうかということは、中小企業の社長にとっては非常に大きな点です。会社の売却を進める際には、買い手や金融機関と十分交渉して、条件を設定する際も盛り込むようにしておくことをお勧めします。
時間的メリット
ここでも廃業と比較してみたいのですが、もし廃業を選択した場合、役所への届け出も煩雑になりますし、行政書士や司法書士に依頼すれば、印紙代、手数料を支払うことにもなります。外部の専門家に頼むことはスピーディーに進めるように思いますが、事業内容、書類などをいちいち説明する必要があり、意外に手間と時間がかかってしまうのです。
また、従業員に対しても解雇を通知しなければいけませんし、退職の手続き、新しい職場の斡旋なども必要です。これも意外に時間をとられてしまいます。
M&Aでの事業売却を選択した場合は、事業がそのまま引き継がれますので、廃止の手続きがまず省かれます。
名義変更の手続きは必要ですが、廃業と比較すればかなりシンプルになってきます。
従業員の雇用継続も可能で、退職金の支払い、新しい職場を斡旋する必要がなく、その時間が節約されるということです。
システム開発の事業売却でまず始めにすること
では、事業売却を検討するにあたり、何から始めればいいのでしょうか。
M&Aは最初が肝心と言われています。確実なスタートからM&Aを成功へと導きましょう。
なぜ事業売却したいのかを明確に
本当に会社を売ってもいいのだろうか?と悩んでしまう経営者は多いともいます。
長年にわたり大切に続けてきた会社ですから、決断を下すまでに数年かかることは当たり前です。しかし、ここで申し上げたいのは、その悩んでいる間も事業を磨いておいていただきたいということです。
自分の代で会社を辞めようと思っているならば、廃業より会社売却を選んだ方が得です。いずれは売るときが来るということです。
それならばその日が来るまでの間は、少しでも高く売却する努力をする必要があります。事業を磨きながら、事業価値を高めていって、もう売るタイミングかなと思ったら、スピーディーに行動へと移していただきたいと思います。
M&Aはオーナーの単独行動になることが多いのですが、M&A専業のエージェントに相談してみることもおすすめです。事業価値を的確に判断してくれますし、専門家として交渉に関してもサポートしてくれます。
また、どうして売却することになったのか?一緒に悩んで、寄り添ってくれます。
売却完了までの期限を設定する
事業売却において、買い手候補を見つけるところから、最終的な売却の完了まで、トータルで1年程度かかります。
その期間を考慮して、いつごろまでに事業売却を終えたいか、期限を設定しておくことが重要です。
スケジュールを設定したら、その通りに動くようにしてください。買い手希望者から問い合わせがあるのに、返答を先延ばしにするような時間の無駄遣いもダメです。
ぐずぐずと時間ばかりをかけているようでは、せっかく見つかった買い手もいなくなってしまいます。現在が、売り手市場だと言っても、すぐに同じような条件の買い手が見つかる保証などないのです。
時間を無駄にせず、最初に設定した期間は必ず守ることがM&A成功の鉄則なのです。
売却事業の強みを明確に
システム開発会社の「強み」とはどういったものでしょう?
・優秀な技術者が長年にわたり在籍している
・取引先の中には大手企業も数社存在する
・社内でトラブル対策などが徹底していて、組織化している
・システムに関してクライアントと徹底的に打合せをする
・営業担当者と技術者がお互いに尊重して仕事を進めている
上記にご紹介した「強み」は、全て高い事業価値へとつながっていくものです。
M&Aにおいて、デューデリジェンスという項目があるのですが、これは財務状況など書面を調査して判断します。事業価値を帳簿の価格から割り出してしまうのです。
中小企業の事業価値は、帳簿からは計上できません。ある程度の指標はわかりますが、本当の事業価値を判断するのは、上記に挙げた「強み」から判断してもらうべきなのです。
上記の強みは、経営者が説明して、相手側に理解してもらわなければいけません。
経営者は日ごろから、社内に無数に存在する「強み」を見つけてアピールできようにしておいてください。
専門家の相談・査定を受ける
先程の項目でご紹介した「強み」について、的確に判断してもらう方法があります。
それはM&A専業のエージェントに相談することです。
エージェントの選定のポイントは、システム開発会社のM&A実績があるかどうかです。業界について精通していることが必要なのです。
システム開発について知識があると、強みをしっかり把握してくれて、事業価値についても的確に判断してくれます。
一人で悩まずに、システム開発会社M&A実績のあるエージェントに相談されることをお勧めします。
システム開発の事業売却を行う際のポイントは
システム開発会社の事業売却を成功させるためのポイントについてご紹介していきます。
ポイントを簡単にまとめてみると、
①事業売却はタイミングが重要
②オーナーが単独で動くことが重要
③売却した後のことを決めておく
この3つとなります。早速、詳しくご説明していきます。
①事業売却はタイミングが重要
先程の項目でも、M&Aでの事業売却を完了させるのに、トータルで1年ほどかかるとお伝えしました。
かなりの時間を要するので、検討したらすぐに取り掛かる必要があります。
大切な事業を売却するのだから、じっくり取り組みたいと思うかもしれません。しかし、このM&Aには相手、つまり売却先企業がいます。相手がいる取引ですからタイミングがとても重要なのです。
あまり長い時間がかかってくると、せっかく決まりかけていた事業売却を断られる事態もありえます。
M&Aというのは企業間の結婚と言われています。二つの企業が結びついて、ハッピーになれることから結婚と表現されるようになったのです。
結婚もタイミングがとても大切です。せっかく出会った運命の相手をみすみす逃してしまわないように、日ごろから準備して、検討したらすぐに行動に出てください。
②オーナーが単独で動くことが重要
自分の事業を売却できるということは、ビジネスの成功者と言われています。
しかし、一般にはまだまだ「買収」と聞くと、何となく「乗っ取られて、買いたたかれている」「事業に失敗したのでは?」というイメージがあるのです。
それは間違った解釈なのですが。在籍している技術者からすれば、
「事業がうまくいかなくなったのでは?」「給料未払いが起こる?」「新しい職場を探さないと!」という思考をしてしまう可能性もあり得ます。
大切な事業価値である技術者が、事業売却前に、多数離職されるような事態だけは避けたいものです。
対策として、M&Aを検討する段階に入ったら、まずはオーナーの単独行動をお勧めします。
経理的な資料や契約書、人事の書類などを事務スタッフに指示してすぐに見られるようにファイルしておくことは必要ですが、事業売却の為だからと従業員にわざわざ言う必要はありません。
もっと詳しくは、事業価値を判断する財務資料も顧問税理士に頼んでおいた方がいいでしょう。
ある程度、自分のシステム開発会社の事業価値がわかってきたら、M&Aに対する実績豊富なエージェントを探すことです。
そしてここからは、エージェントとオーナーの1:1で事業売却について検討していってください。売却先が決まってから、最後の最後に従業員へ公表しても遅くはありません。
新しい経営者になったからと言って、従業員の雇用も継続され、待遇が改善されるとなれば、だれも文句を言う人はいません。むしろ感謝されることでしょう。
③売却した後のことを決めておく
後継者不在に悩んで、会社を売却したけど少し後悔しているという方もいらっしゃるかもしれません。
今まで忙しくしてきたけど、事業を第三者へ売却した途端、今まで仕事にかけていた時間を何に使えばいいのかわからなくなってしまうのです。
どうして後悔するのかというと、売却した後の計画をしていないからです。
システム開発会社は、取引先とのコミュニケーションをとることがとても重要な業種です。買い手企業にとっては、長年取引してきた顧客に対して、引継ぎもかねて残って欲しいと考えているかもしれません。
売却するときの条件に、自分が残るのか、それとも売却が決まったら会社から去るのかをしっかり盛り込んでおく必要があります。
事業売却後は、まったく違う事業を始めることもできますし、リタイアして自分の為に時間を使うこともできます。
M&Aを考えたら同時に、自分のセカンドステージはどうするのかを並行して考えておくことを勧めします。
システム開発の事業売却の相談先
システム開発会社の事業売却を相談するなら、やはりM&A実績の豊富なM&Aエージェントがおすすめです。
特に、システム開発会社のM&A実績があるエージェントなら、業界について一から説明する必要もなく、業界に関しての知識が豊富なスタッフが対応してくれます。
システム開発会社のM&Aを成功へと導いてくれるエージェントの特徴は、
・当初の相談は無料で、完全成功報酬制をとっている
・システム開発会社のM&A実績がある
・当初は、匿名で買い手を探してくれる
・システム開発という事業を深く理解しているスタッフが在籍している
これらの特徴があるエージェントを探してみることからとりかかってみて下さい。
M&Aを成功させる秘訣として、買い手を探すよりも、自身の会社を理解してくれるM&A実績が豊富なエージェントを探すことが先と言われています。
M&A完了まで責任をもって寄り添ってくれるエージェントを探してみてください。
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