システム開発の事業譲渡【事例から読み解くポイント】

M&Aというビジネススキームが日本の中小企業間でも活発に行われるようになってきました。

売り手と買い手という2つの立場を見てみると、買い手希望者が多い状態で、現在は、空前の売り手市場と言えます。

 

しかし、買い手が集中する業種というものがあります。どのような業種に集中するのかというと、

・ストック型ビジネスで安定した売り上げが毎月ある
・特定の領域を少数のものだけで独占しているような業種(いわゆるニッチなもの)
・その市場自体が伸びていて、成長が著しい業界である

というものです。

 

これらの特徴を持ち合わせた業種が存在ます。

例えば、介護業界、ビルメンテナンス、そして今回ご紹介していく「システム開発会社」です。この業種は今、超売り手市場と言われています

 

これらの業種では、上記以外にも次のような特徴があります。

それはずばり「人手が不足している」業種です。

つまり人手さえそろっていれば、儲かる業種ですから、買い手が従業員込みでの事業を譲り受けたいと集中しています。

 

今回は、システム開発会社の事業譲渡事例をご紹介しながら、M&Aを成功させるポイントについてご説明します。

 

システム開発が事業譲渡の道を選ぶメリットとは

この項目では、システム開発会社が事業譲渡を実際に行うことで享受されるメリットについてお話していきます。

 

経営のプレッシャーから解放される

システム開発会社の経営を継続させるには、常に技術者の確保、新しい技術を取り入れる体制などに気を遣う必要があります。

また、システム開発会社では、契約が取れたらそれでおしまいということはありません。受託したシステムについて、実際に稼働するまで対応する必要があります。

ここが一番システム会社経営で気を遣うところではないでしょうか。ユーザーとの間で行き違いがあると、訴訟にまで発展することがあります。

このまま経営を継続させていくことに不安を感じてしまうオーナーも少なくありません。

社内の従業員に後を任せるというのも、また難しい問題です。経営を任せられるか?という視点で採用を行っていませんから、従業員が経営者に育つということは難しいと言われているからです。

このような状況から、社外の第三者へ経営を譲る手法、M&Aが執り行われるようになってきたのです。

 

後継者問題の解決

日本の経営者にも高齢化の波が押し寄せてきています。

経営者の定年と言われている70歳に近づいても、まだ後継者が決まっていないという企業は増加傾向にあります。

少子化問題も関係していますが、経営者が高齢になっても第一線から退くことがなく経営を続ける風潮にありますから、すでに子供が40代に差し掛かっていて、他の仕事に長く就いている場合が多くあります。

慣れた仕事を辞めさせてまでも、仕事を継がせようとは思わない経営者は多く存在するでしょう。

後継者が不在だから、このまま廃業するというのは、あまりにももったいない話です。M&Aでオーナーを交代すれば、まだまだ経営が継続できます。

後継者不在問題に関しても、解決してくれるのがM&Aでの事業譲渡です。

 

事業の拡大や支社数の増加

事業譲渡することで、譲渡代金が入ってきますから、別の事業に資金投下することもできます。また新しい事業を始めようと思っても、一からすべてを準備していては、初期費用が膨らんでしまいます。そして実際に事業を始めてみて、かかったコストを回収することができなかったら、それは資金超過してしまい、経営が失敗に終わることになります。

初期費用を抑えるためにも、すでに経営している事業をそのまま譲り受けるという手法があります。それがM&Aでの事業譲渡ということです。

新しい事業を始めるとき、同業者同士のM&Aの場合、今まで支店のなかったところで、事業を譲り受けて新しい支店として組み入れることもできます。

 

従業員の雇用安定や待遇改善

システム開発会社での大きな事業価値と言えば、技術者です。

どれだけ優秀な技術者を抱えているかで、事業を売却する金額が変わってくると言っても過言ではないでしょう。

ですから買い手企業としては、従業員込みで譲り受けたいと考えます。譲渡の条件として従業員の雇用継続と待遇改善については盛り込んでおくことが必要です。

従業員にとっても、慣れ親しんだ職場を離れるのはつらいことです。待遇まで改善してもらえて、そのまま働きづけることもできるなら、離職してしまう従業員はいません。

売り手側は、高く売るために、買い手側は、既存の事業とのシナジー効果を得るためにも、従業員の雇用継続と待遇改善は図っておく必要があります。

経営者だけでなく、従業員もハッピーになれるのが、M&Aを行う最大のメリットなのです。

 

譲渡による現金獲得

事業譲渡することで現金が入ってきます。廃業に比べると、手元に残る現金が大きくなることがM&Aを行う上でのメリットです。

自営業者には退職金というものがありませんから、事業譲渡して手に入れた現金は退職金代わりになり、第二の人生に使うこともできますし、新しい事業を始める元手にもできるわけです。

事業譲渡するというと、経営に失敗したように感じる経営者もいらっしゃるかもしれません。しかしこの考え方は大きく間違っています。事業に成功したからこそ、第三者へ事業譲渡できたのです

事業を譲渡して手に入れたお金は、成功した証だと思っていただきたいのです。

 

システム開発の事業譲渡の事例

ここでは実際にシステム開発会社での事業譲渡の事例をご紹介していきます。

 

■富士通株式会社×古河電工グループの古河インフォメーション・テクノロジー株式会社(以下、FITEC):2017年5月

M&Aスキーム:株式譲渡から業務提携へ

富士通は国内最大手のITベンダー企業であり、各種のコンピューターや情報システム、電子デバイスなどの製造販売を幅広く手掛ける総合エレクトロニクスメーカーです。情報通信技術(ICT)サービス市場において国内No.1の実績を記録している一方で、「ものづくり革新隊」と呼ばれる、ICTを通じて日本のものづくり活動の全領域を統合的に支援するサービスを提供しています。

FITECは、電子部品の国内シェアNO.1で、世界トップクラスメーカーである古河電工の情報システム部が独立してできた会社です。FITECの「ものづくり」と「課題解決」を追求している企業理念が、富士通のモノづくり活動の全領域を総合的に支援するサービスと非常に相性が良いところが見受けられます。M&A最大の成功の秘訣である、事業同士の相性が良いということになります。

富士通は、FITECと業務提携することで、古河電工のものづくり分野におけるITスキルや業務ノウハウを習得し、富士通の製造業向けソリューションの強化を図ることになりました。既存の事業を成長させるというM&Aのシナジー効果も手に入れることができたのです。

 

システム開発の事業譲渡の事例から見る注意点

システム開発会社の事業譲渡を成功に収めるために、先程ご紹介した富士通とFITECとの業務提携の事例を踏まえたうえで、注意点をご紹介したいと思います。

 

クライアントへの影響を考える

M&Aを進めていくことで、クライアントつまり取引先に与える影響を考えることが必要です。

クライアントが一番心配することは、

・今までと同じサービスが受けられるのか
・担当者がかわってしまうのではないか?新しい担当者とうまくいくだろうか

といった点です。

 

システム開発というのは、様々なトラブルが起こります。社内にシステムに詳しい社員がいないからシステムを外注するわけなので、どんな些細なことでも問い合わせしてきます。

長い間、取引関係にあると「こんな問い合わせがあるかも」と想定することができます。

取引先の繁忙期なども理解することもできます。

こんな時期は、このような問い合わせがあるし、忙しくなる前にシステムの確認をやっておこうかと気を回すこともできるわけです。

そのようなことがあるから長年、定期的に契約しつづけるということにもなります。

 

経営者が交代することになったら、担当もいなくなって対応も変わってしまうかも?と心配になるのも無理はありません。

クライアントへの影響を考慮するならば、M&Aを行うことを最後の最後まで口外しないことが鉄則となります。従業員にも秘密にしておいた方がいいでしょう。

担当者からクライアントへ漏れてしまうことがありますから。

経営者が交代して、従業員の雇用も継続されて、今までとサービス内容が何ら変わらないことをしっかり確立してから説明しても遅すぎることはありません。

 

譲渡先にとってのメリットを明確にする

次は、譲渡先企業へのメリットを明確にするということですが、すなわち譲渡先企業の既存の事業との相性とM&Aによるシナジー効果は得られるか?ということになります。

譲渡先企業は、そのシナジー効果が得られるかどうかを全力で考えてM&Aを検討しますから、売り手企業のほうが、譲渡先のメリットについてわかりやすくしておいてもらえると、強く「買いたい」という気持ちになります。

過去の決算書類でもって、どのような財務状況であるかを説明することも重要ですが、M&A完了後のシナジーを得ることを表す指標としては、今後の事業計画をきっちり立てておくことが必要です。

今までと同様、安定した定期的な契約にともない、新しい事業と共存することでどのような売り上げの伸びが出てくるかを確認しておくことです。

 

長い時間が掛かる場合もある

M&Aを完了するまでに数々の手順を踏む必要があります。

買い手企業を選定して、意向表明書をもらって、お互いの意思を確認します。

その後に、買収監査というM&Aの山場を迎えます。これは書類の審査ということになります。買い手企業から人間が来て、徹底的に調査していきます。

その後から、契約締結になり、株主総会での決議、そして引継ぎとなって完了となります。

これだけの項目を、スムーズに終わったとしても6か月は見ておいていただきたいです。

買い手が見つかってから6か月ですから、M&Aを検討し始めてからだと1年は必要かと思います。

高く売却したいと考えたならば、ある程度事業を育てておく期間も必要となってきます。何年もかかる可能性もあるのです。

時間がかかることもあるということを念頭に入れて、M&Aを検討することをおすすめします。

 

事業譲渡は人対人

M&Aは企業間の結婚に例えられます。事業同士の相性も大切ですが、特に、経営者同士の相性がとても重要なのです。

買い手企業の選定が進んでくると、売り手側の経営者インタビューがあります。口頭で事業内容や、成長度合いなどを説明していくのですが、この時、買い手側の経営者は、「どんな人が経営してきた会社なんだろうか?」ということを確認します。

例えば、学生時代にどんなスポーツをやっていたとか、趣味はどんなものか?なども興味の対象になります。共通点のある人って何となく親近感がありますし、事業を譲渡された後も引継ぎなど付き合いは続きます。相性が良い人から事業を譲り受けたいと考えてしまいます。

この人が経営してきた事業なら譲り受けてもいいかなとか、この人になら自分が大切に育ててきた事業を引き継いでもらいたいという感情はでてきて当たり前なのです。

 

会社を経営していくにも「人間力」は大切ですが、M&Aを成功させるにも「人間力」が重要だということです。

今まで経営してきた事業を譲渡してほしいという希望者が出てきたということは、その経営は成功したということです。

そして事業を高く譲渡することで、経営の集大成としてのM&A成功を収めていただきたいと思います。

 

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