
SES(システムエンジニアリングサービス)の経営者が事業売却をしたいと思った際には、事業売却のメリットを確認することが大切です。
自分にとってメリットがなければ、無闇に事業売却することは避けた方がいいでしょう。
また、メリットを確認したうえで事業売却をしたいと思った場合は、売却完了までの手順や注意点などについて確認することが大切です。
ここでは、SES(システムエンジニアリングサービス)の事業売却をしたいと思ったときに確認しておくべきメリットや手順、注意点について解説します。
目次
事業売却でSES経営者は得をする?
事業売却は、SES(システムエンジニアリングサービス)の経営者にとって金銭的なメリット・精神的なメリット・時間的なメリットがあります。
ただし、売却してしまえば自分が経営者ではなくなるため、継続的に利益を得ることはできなくなります。
目先の事業売却のメリットだけを追い求めると、事業売却したことに後悔することになりかねません。
事業売却後は継続的に利益を得られなくなることを踏まえたうえで、メリットについてみていきましょう。
金銭的メリット
事業売却のメリットの中でも廃業との差が大きいのが、金銭的なメリットです。
廃業した場合、手元に残るお金はそれほど多くありません。
事業売却した場合は、事業価値に基づいて青天井で値段がつけられます。
そのため、廃業とは比べものにならないほどの現金を得られることもあるのです。
多くの現金を残せるということは、それを元手に新たな事業を興したり投資したりできるということです。
そこからさらに多くの現金を生み出し、また事業売却するという方法もあります。
また、リタイア生活に入りたい場合にも、金銭的なメリットを感じられるでしょう。
リタイア生活には多くの現金が必要ですが、事業売却によって多くの現金を得られれば、今後働かずに暮らせる可能性もあります。
精神的メリット
SES(システムエンジニアリングサービス)の経営者は、他社にシステムエンジニアを派遣するサービスの代表です。
システムエンジニアは激務であるため、従業員が体調を崩したりトラブルが起きたりすることは珍しくありません。
小さな会社であれば、経営者自ら取引先に謝罪するなどの対応が必要になるでしょう。
このような精神的な負担を感じ続けることで、次第に経営者を辞めたいと思うようになる方もいます。
事業譲渡で経営者の立場から退ければ、経営のプレッシャーから解放されるため、精神的な健康を取り戻すことができるでしょう。
廃業だと手元に残る現金が少ないため、今後の生活のことを考えて事業を継続することになる場合もありますが、事業譲渡であればそのような心配もほとんどありません。
また、SES業界の競争が激化することで経営が苦しくなり、やむを得ずリストラや減給などをするケースもあるでしょう。
今は十分な利益を得ていても、急に世の動向が変わり業績が右肩下がりになる可能性もあります。
このような見えない未来に対して精神的なストレスを感じる経営者は少なくありません。
経営者の立場から退ければ、事業の未来に不安を覚えることもなくなります。
時間的メリット
経営者は、社内の書類の承認作業や取引先の社長との会食など様々な業務に追われています。
残業することは少なかったとしても、朝早くから緻密なスケジュールをこなし、休日も接待などをすることになるのです。
そうなれば、自分の時間を持つことができなくなり、ストレスを発散できなくなるでしょう。
どれだけ収益を挙げていても、その金銭を使える時間がなければ稼いでいることに対する喜びが少なくなります。
経営者の立場から退けば、時間的な余裕が生まれ、これまで忙しかった毎日が一変します。
海外などに長期滞在して人生を楽しむことも可能です。
また、仕事に追われる毎日であったために家族との時間を確保できなかった場合は、経営者を辞めることで家族とゆっくり過ごす時間を作れます。
ゆっくりと過ごした後は、事業売却によって得た現金を元手に新たな事業を始める準備を進めるのもいいでしょう。
SESの事業売却でまず始めにすること
SES(システムエンジニアリングサービス)の事業売却をすることを前向きに検討している場合は、事業売却の目的を明確化し、売却完了までの期限を設定しましょう。
そして、少しでも高い売却額をつけるために、売却事業の強みを明確にします。
そのうえで専門家に相談して査定を受けて、どれぐらいの値段がつくのかを確認しましょう。
慌てて買い手を探して、自分で計算した希望売却額を提示してしまうと、事業売却の失敗に繋がる可能性があります。
適切な買い手に対して妥当な希望売却額を提示し、買い手の希望と相違があった場合は交渉をします。
そして、双方が納得したら契約を締結するのです。
1つずつ詳しく解説していきます。
なぜ事業売却したいのかを明確に
事業売却の目的を明確にせずに進めると、交渉の落としどころを見極められなくなるでしょう。
より多くの現金を得たいのか、それよりも従業員の待遇改善の条件を通したいのかなど、事業譲渡の目的に合わせて交渉を進める必要があります。
より多くの現金を得たいのであれば、それだけ魅力的で継続的に利益を生み出す事業に育てあげなければなりません。
そして、魅力的な事業であることを根拠とともに買い手に提示する必要があるのです。
どちら1つでも十分に達成できなければ、高い売却額はつかないでしょう。
そして、従業員の待遇改善を重視したい場合は、売却額が少し安くなってもいいので従業員の待遇を改善してほしいと伝えることが大切です。
お互いに一歩も譲らないでいると、交渉がうまくいきません。
そして、目的が明確になっていなければ、譲歩すべきところがわからなくなり、交渉決裂に繋がるということです。
事業売却の目的が複数ある場合には、優先順位を決めましょう。
事業売却は、全て思っていた通りの結果になることは稀です。
買い手も人であるため、感情やプライドといったことが絡みます。
双方にとって良い契約になるように、交渉を進めていきましょう。
売却完了までの期限を設定する
売却完了までの時間は必ず定めておくことをおすすめします。
いつでも交渉できるわけではなく、買い手の担当者にも都合があるため、思っていたよりも時間がかかる可能性があります。
事業売却にかかる期間は6ヶ月以上といわれていますが、1年程度を期限にした方がいいでしょう。
1年以上かかると世の動向が変わることで収益が下がり、売却額も低くなる可能性があります。
そのため、できるだけ1年を目安に設定することをおすすめします。
期限を短く設定すると、交渉が難航したときに焦ってしまい、良い結果にならないでしょう。
そのため、あまり早すぎる期限に設定しないことが大切です。
また、最終期限を設定したら、基本合意、契約書の締結、引き継ぎなど段階に分けて細かく設定してください。
最終期限だけでは、途中でスケジュールに遅れが生じ、交渉を焦ってしまう可能性があります。
また、1年以上かかりそうな場合は、1年3ヶ月に設定するなど取引の内容に合わせて調節しましょう。
売却事業の強みを明確に
売却する事業の強みは、売却額に反映されます。
ただし、強みを明確化して買い手に伝えなければなりません。
まずは、強みが何か考えることが大切です。
しかし、真の強みは経営者でも自覚していないケースがあるため、確認せずに事業売却の交渉をすることは避けた方がいいでしょう。
真の強みをアピールできるかどうかで売却額が大きく変わります。
強みを明確化できたら、強みを示せるデータや資料を用意しましょう。
どれだけ強みがあっても、根拠がなければ買い手の信用は得られません。
交渉の際のアピールは全てデータや資料など根拠が必要です。
専門家の相談・査定を受ける
強みがわからない場合には、専門家に相談しましょう。
これまで何十社と事業売却のサポートをしてきた専門家であれば、少しでも売却額が高くなるように強みの発見をサポートしてくれます。
強みや現在の収益、安定性などを踏まえて希望売却額を算出してもらえるので、その値段を見て事業売却するかどうかを決めましょう。
金銭的なメリットが少なくなる場合は、1年後や2年後などに再び査定を受けることをおすすめします。
1年につき100万円単位で売却額が変動することもあります。
専門家の査定を受けて事業売却を実行すべきタイミングと判断した場合は、引き続き買い手企業の選定を依頼しましょう。
条件に合致した買い手の候補をピックアップしてくれます。
自分で買い手を探すことになれば、信頼できない企業に売却してしまうことも心配されます。
また、専門家は買い手との交渉の仲介やサポートもしてくれるため、交渉決裂のリスクを減らせるでしょう。
SESの事業売却を行う際のポイントは
SES(システムエンジニアリングサービス)の事業売却は、高値で売却できれば成功というわけではありません。
事業売却によって得たメリットをその後に活かせてこそ、売却に成功したと言えるのです。
SES(システムエンジニアリングサービス)の事業売却を行う際のポイントを確認していきましょう。
思い立ったが吉日
事業売却をすべきタイミングになり、実行に移そうと思ったら、すぐに行動することをおすすめします。
リスクなどを深く考えてしまうと行動できなくなり、高値で売却するチャンスを逃してしまう恐れがあります。
思い立ったが吉日とはよく言ったもので、事業売却に対するモチベーションが高い状態で行動に移した方が、交渉もスムーズにいきやすいでしょう。
ただし、経営者が周りを見ずに独断で進めてはいけません。
事業売却は企業全体の問題であるため、経営陣で話し合ったうえで実行に移すことが大切です。
反対された場合は、お互いに納得できるまで話し合いましょう。
また、世の動向を見て現時点で事業売却すべきではないと判断できる場合も踏みとどまることをおすすめします。
事業売却は大きな取引となるため、妥協せずにタイミングを見計らうことが重要です。
売却確定まで従業員や顧客を不安にさせない
事業売却の取引を始めたら、売却が確定するまでは従業員や顧客に周知しないようにしましょう。
無闇に周知すると、不安にさせてしまいます。
その結果、仕事に対するモチベーションが落ちて収益が下がる可能性があります。
また、顧客を不安にさせることで取引をやめることになる恐れもあるため注意が必要です。
事業売却しても方針が大きく変わったり取引先に迷惑がかかったりしないように準備を進めていることを伝えましょう。
従業員に周知する場合は、情報が錯そうしないように、まずは立場が高い人物に伝えてください。少しずつ伝える範囲を増やしていきましょう。
また、事業売却に不安を感じ、退職する従業員も出てくる可能性があります。
こういった事態を防ぐためにも、売却時の条件に従業員の待遇改善を定めておくことが大切です。
事業売却をした先の目標を決める
事業売却後の目標まで決めておくことで、いつまでに売却を完了してどれだけの現金を得る必要があるのかがわかります。
事業売却をした先の目標としては、新たな事業の立ち上げや他の事業への資金投入などがあります。
新たな事業を立ち上げる場合は、世の動向を見てタイミングを見計らうことが大切です。
交渉が遅れれば、新たな事業を立ち上げるタイミングがずれてしまい、収益が低くなる可能性があります。
また、他の事業に資金を投入する場合にも、ベストなタイミングを見計らうことが望ましいでしょう。
事業売却した後の目標を達成するためにも、適切なスケジュールを設定することが大切です。
SESの事業売却の相談先
SES(システムエンジニアリングサービス)の事業売却は、これまでにM&A案件を多く取り扱ってきた専門家に相談しましょう。
売却事業の収益性や安定性などを加味して希望売却額を算出してもらえます。
そして、希望売却額や事業の種類などに合わせて適した買い手をピックアップしてもらえます。
事業売却に迷っている段階でも気軽に相談しましょう。
IT業界に詳しい人物であれば、より充実したアドバイスを得られます。
システムエンジニアは人手不足の企業が多く、SES(システムエンジニアリングサービス)は需要がある事業です。
それだけ買い手がつきやすいため、妥協せずに交渉を進めることが大切です。
事業売却の専門家のサポートを受けつつ、理想に近い結果となるよう進めていきましょう。
東京でSES業界に特化して事業売却支援を行っている会社には、M&Aコンサルティング社があります。
事業価値を高める方法、SES業界特有の事業売却事情なども把握しているので、まずは話を聞いてみるくらいの気持ちでも良いので初回相談や簡易査定を依頼してみましょう。
果たして他社に売ることができるのか、どのくらいの価格がつくのか、現在のSES事業の状況が見えてくるはずです。
もし少しでもSES(システムエンジニアリングサービス)の事業売却を考えているのであれば、まずは行動に移しましょう。
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