
ラーメン屋の事業承継を行う場合には、過去の事例を参考にして、成功率を高めていくことが大切です。
事業承継は、経営者が変更になる非常に大きなイベントです。
成功すれば、事業承継後もラーメン屋は発展を続けていくでしょう。
逆に、失敗すれば短期間で廃業を余儀なくされてしまうと考えられます。
ラーメン屋が事業承継を行う背景や過去の事例、成功のためのポイントについて、詳しくご紹介します。
目次
ラーメン屋が事業承継を行う背景
事業承継は、親族や従業員、外部から雇い入れた人物などに事業を引き継ぐことです。
事業を引き継ぐ背景は次のとおりです。
・現経営者の年齢や健康状態の問題
経営者は、いずれ次の世代と交代することになります。
ラーメン屋は体力勝負な面もあり、第一線で活躍を続けるためには、年齢と健康状態が適正であることが欠かせません。
経営だけの立場になり、ラーメン屋の運営は従業員に任せるという方法もありますが、経営者が店舗にいるかどうかで売上が変わるため、安易に選ぶことはできないでしょう。
そのため、事業承継によって全権限を次の世代に引き継いでしまうことが得策と言えるのです。
また、健康状態が急に悪化して、事業承継をせざるを得なくなるケースもあります。
健康状態が少しずつ悪くなっていく場合は、早い段階から後継者の選出や育成に力を入れることで、スムーズな事業承継が可能です。
しかし、健康状態が急に悪くなった場合には、後継者の慎重な選出や時間をかけた育成が難しくなります。
このような場合は、事業承継ではなく第三者へ事業を譲り渡す事業譲渡を検討した方がいいでしょう。
・経営状況が思わしくなく状況を打開したい
経営状況が思わしくないが、どうすればいいかわからないといった場合には、思い切って次の世代へ店を承継するのも1つの手段です。
ラーメン屋の客層と自分の年齢が合っていない場合、客が何を求めているのかが理解できず、売上が低迷する場合があります。
客層が若い場合は、若い経営者に席を譲ることで、打開策が思い浮かぶかもしれません。ラーメン屋の経営のノウハウを持っていない場合は、しばらくはサポート役といて店を支えていく必要があります。
また、事業譲渡も1つの手段です。
客層に合わせた戦力を立案できる企業に事業譲渡すれば、V字回復も期待できます。
・経営のプレッシャーから逃れたい
ラーメン屋は常にブームを巻き起こしています。
お酒を飲んだ後は、締めにラーメン屋に行くということが定着しているため、深夜帯に営業しているラーメン屋は収益が上がります。
しかし、儲けやすい業界は常に新店が出続けており、高い競争率の中で戦わなければなりません。
それだけ廃業を余儀なくされるラーメン屋も多く、プレッシャーに押しつぶされそうになっている経営者も多いのです。
事業承継によって経営者ではなくなると、ラーメン屋の経営状況に関与する必要がなくなるため、プレッシャーから解放されます。
・悠々自適の隠居生活に入りたい
ラーメン屋を事業承継した際には、役員退職金として現金を手元に残すことができます。
廃業する場合と比べて多くの現金が残りやすいため、悠々自適の隠居生活に入ることも可能です。
より多くの現金を手元に残したい場合は、事業承継よりも事業譲渡の方がおすすめです。
高く売却できれば、それだけ多くの現金が手元に残ります。
それを資金にして、新たな事業に挑戦することも可能です。
このように、事業承継には様々な背景があり、ラーメン屋によって異なります。
事業承継の目的を明確にすることで、モチベーションをキープして準備を進められるでしょう。
ラーメン屋の事業承継の事例
二代目に引き継ぐことを事業承継といいます。
このことから、ラーメン屋の事業承継は非常に多く行われていることがわかるでしょう。
事業承継後のラーメン屋には、「二代目になってからラーメンの味が変わって客足が遠のいた」、「新しいメニューや内装の変更などによって客足が伸びた」など、様々な変化がみられます。
また、事業承継ではなくM&Aによって事業拡大を目指した例もあります。
事業拡大のためには人手が足りずM&Aによって資本業務提携を行い、店舗数を増やした事例があるのです。
事業承継できる優秀な二代目がいない場合には、資本業務提携で店舗拡大をして、安定化を図るのも1つの手段です。
十分に安定した状態で事業承継することで、経営者が変わっただけで業績が大きく落ちるリスクを抑えられます。
ラーメン屋の事業承継のポイントとは
ラーメン屋の事業承継ないしは事業譲渡をする場合には、現在の状況を整理する必要があります。
そして、事業譲渡の場合は高い売却額がつくように、根拠を提示したうえでアピールすることが大切です。
事業承継、事業譲渡を成功させるために押さえておくべきポイントをご紹介します。
ビジネスモデルや強みを整理する
事業承継、事業譲渡のどちらを行う場合も、ビジネスモデルと強みの整理が必要不可欠です。
ビジネスモデルは、継続的に収益を得られ続けるために必要なものであり、ビジネスモデルに問題があれば継続的な収益は挙げられません。
ラーメン屋は非常に多いため、それだけ完成度の高いビジネスモデルを作る必要があります。
十分な収益を挙げられており、今後も経営状況が安定することが予想される場合は、ビジネスモデルに問題がないと考えられるでしょう。
ビジネスモデルと一緒に明確化が必要な「強み」については、今後ラーメン屋を存続させることができるどうかに深く関係しています。
同じようなラーメン屋はたくさんあります。
そのため、他のラーメン屋との差別化が必要なのです。
差別化することができる部分のことを「強み」だと言えるでしょう。
たとえば、周辺のラーメン屋が挑戦していない原料を使ったスープを使っていたり、駐車場が隣接していたりすることなどが挙げられます。
強みが明確になれば、その強みをさらに伸ばしつつ、新たな強みを見つけるという今後の方針を決められます。
そして、強みを伸ばすために必要な行動を考え、後継者にアドバイスしましょう。
現経営者にしかわからないことは非常に多く、書類上の手続きだけで引き継ぎを終わらせてしまうと、業績が下がってしまう可能性があります。
逆に、ビジネスモデルと強みを活かし続けることができれば、ラーメン屋を発展させ続けることができるでしょう。
このような、ビジネスモデルと強みは事業譲渡の際にも重要な項目となります。
事業譲渡では、ラーメン屋に値段をつけて売却することになるため、価値が高いことを示す根拠が必要です。
ビジネスモデルと強みが十分なものであれば、それだけ高い売却額がつくでしょう。
M&Aにおいて譲れない条件をはっきりさせる
事業譲渡や資本業務提携などM&Aによって外部の人間に事業承継を行う場合には、相手の企業に対して譲れない条件を提示しておくことが大切です。
事業譲渡をした場合、相手の企業が自分のラーメン屋を経営することになります。
もし、様々なところに問題がある企業に事業譲渡をしてしまった場合、残された従業員が苦労することになるでしょう。
思い入れのあるラーメン屋も廃業に追い込まれてしまう可能性もあります。
そのため、買い手企業選びにおける譲れない条件と、譲渡に関する譲れない条件を明確にしておくことが大切です。
例えば、資本金3,000万円以上で純利益が1億円以上、従業員数100人以上といった条件が挙げられます。
買い手企業の規模が小さくても、ラーメン屋の発展に繋がるのであれば、問題はないかもしれません。
しかし、買い手企業の性質を見極めることは容易ではないため、事業承継の失敗の確率が高まります。
譲渡に関する譲れない条件は、ラーメン屋の経営状況や従業員の状況などに合わせて決めましょう。
資金不足によって従業員の給与水準が低いのであれば、従業員の昇給を譲れない条件に含めてもいいかもしれません。
その際には、具体的にホールスタッフは5,000円、厨房スタッフは6,000円、店長は10,000円など具体的な条件を提示しましょう。
売却先候補に事業の強みや価値が伝わる説明を
どれだけ強みのあるラーメン屋を経営していても、強みを買い手企業に伝えられなければ、売却額は高くなりません。
強みを示すためには、根拠となるデータの提示が必要です。
それぞれ、次のようなデータを提示しましょう。
・他にないスープを扱っているという強み
全国のラーメンのスープの主な材料を調べ上げ、そのデータを提示しましょう。
特に、周辺地域で同じようなスープを扱っているラーメン屋がいないことを示すことが大切です。
今後、同じような原料を使ったスープを作れるラーメン屋が出てくる可能性を示すために、スープを完成させる難しさがわかるデータがあるといいでしょう。
・立地が良いという強み
立地が良く、今後も継続的に多くの客が来店することが予想される場合は、立地が良いことを示せるデータを提示しましょう。
ファミリーでも気軽に入れるラーメン屋であれば、近くにファミリー向けのマンションや住宅街があると、「立地が良い」と言えます。
サラリーマンなどに向いている場合は、近くに駅やオフィス街があると有利でしょう。
周辺地域の状況を示せるデータを提示することが大切です。
また、今後ショッピングモールなどの建設が計画されている場合は、そのことも伝えましょう。
外部の人間に売却することで引き継ぐ際は、そのときの売上だけではなく、将来的な売上についても注目されます。
そのため、未来の情報も非常に重要になるのです。
・接客の質が高いという強み
接客の質が高いことは、ラーメン屋の発展に必要不可欠と言えます。
接客の質が高ければ、安心して来店してもらえます。
逆に接客の質が低いと、「ラーメンは美味しいけれど、気持ちよく食事を楽しめない」ということで、客足が遠のいてしまうでしょう。
接客の質は自己評価が難しいため、アンケートなどをとっておくことをおすすめします。
席にアンケート用紙を置くだけではなく、回答者にはプレゼントを用意するなど工夫が必要です。
アンケート結果からは、接客に関する改善点も見えてくるでしょう。
M&Aの専門家に頼るのもアリ
事業承継の1手段としてM&Aを検討している場合は、M&Aの専門家に頼ることをおすすめします。
事業承継するか決めかねている場合にも、専門家のアドバイスが役立ちます。
専門家は、これまで多くのM&A案件を経験してきているため、本当にM&Aを選択すべきかどうかアドバイスをもらえます。
また、事業承継の手順や注意点、メリットとデメリット、必要書類などの知識も持っています。
そのため、事業承継の手続きに問題が起きて買い手企業との交渉が決裂するような事態を未然に防げるのです。
そして、買い手企業の候補まで探してもらえるため、買い手企業の問題によるトラブルのリスクを抑えられます。
専門家への報酬は、売却額の数%に設定されているケースがほとんどです。
つまり、売却額が高ければ高いほどに、多くの費用がかかります。
売却額が少なくなって、今後の計画に支障をきたすほどの費用はかからないため、専門家に依頼するのはローリスク・ハイリターンと言えるでしょう。
ラーメン屋の事業承継を行うなら
ラーメン屋の事業継承や事業譲渡の際には、次のことを確認しましょう。
・事業承継できる人物がいるか
どれだけ親族や従業員に引き継ぎたくても、ラーメン屋に対して理解がなかったり経営のノウハウを持っていなかったりすると、今後の経営に問題が起こる可能性があります。
・事業承継の準備はできているか
事業承継のためには、後継者を育成する必要があります。
思いついたらすぐに実行できるわけではありません。
急いで準備をしても、後継者が育ち切らず、今後の経営に問題が起こる可能性があります。
・買い手企業に求める条件は明確になっているか
無責任に問題のある企業にラーメン屋を譲渡すると、残された従業員に迷惑がかかる可能性があります。
良いM&Aを実現するために、買い手企業に対して様々な条件を提示しましょう。
ラーメン屋を経営しながら、事業承継や事業譲渡の準備を進めるのは、とても大変です。
専門家のアドバイスを受けながら、早めに準備を進めるようにしましょう。
これらのポイントを押さえて、ラーメン屋の事業承継のサポートをしてくれるのが、M&Aコンサルティング社です。
他のエージェント企業との違いは、承継後のオーナーの夢に寄り添い、それを実現させるために何が必要かを一緒に考えてくれる点です。
例えば、ラーメン屋を手放して新しい飲食店を始めたい、という夢を持っている場合は、その開業資金を得られるように、承継前にラーメン屋の事業価値を高める方法を考えてくれます。
直近で事業承継の必要性に駆られているわけでなくても相談をしておくことで、将来おとずれるであろう事業承継のときを考えて事業を成長させることができるのです。
「絶対に自分の代で終わらせるんだ!」と決心している場合を除いて、事業承継について検討しておき、今のうちに専門家に相談しておくことをおすすめしておきます。
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