製薬会社のM&Aを検討中のオーナーが気をつけたい3つのポイント

現在、日本における労働者人口の減少や国内消費の停滞などによって事業再編を迫られる企業は増加傾向にあります。

製薬会社もその例外ではなく、多くの企業が企業間の競争や激しい需要の変化にさらされています。

本稿では、M&Aの概要や一般的な実施方式に触れた後、各方式のメリット・デメリット、M&Aが有効な承継手段となる状況、最後に実際の手続き過程における注意点を解説します。

 

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製薬会社のM&A

製薬業界はM&Aによる買収や事業売却が活発に実施されている業界です。

事業の承継を目的とした小規模な事例に加え、近年は大規模な買収・売却事例が多くみられるようになっています。

 

M&Aとは

M&Aは「Mergers and Acquisitions」の略であり、「合併と買収」を意味する経済用語です。

複数の会社を合併すること、もしくは買い手側からのアプローチによる買収事例を指すことが一般的です。

しかし近年ではM&Aという言葉の定義が変わりつつあり、事業の再編と統合を目的とした企業間の買収・売却事例全般に対して用いられるようになっています。

一例として、直接的な資産の移動を行わず、事業ノウハウや流通ルートなどを共有する契約を結ぶ「業務提携」もM&Aの一種とされます。

バブルが崩壊した1990年代前半以降から、日本の経済構造には大幅な変革が起こり続けています。

経済の変革の過程で業界再編が行われることは多く、再編と統合を実現する手段として数多くのM&Aが実施されてきました。

製薬会社について言えば、株式譲渡または事業譲渡のどちらかの方法でM&Aが実施されます。

それぞれの特徴に関しては後述します。

 

事業譲渡や株式譲渡を行うメリット

M&Aで用いられる手法は数多くありますが、株式譲渡事業譲渡はポピュラーなM&A手法といえます。

ここではそれぞれの手法のメリットをご紹介します。

 

事業譲渡のメリット

事業譲渡は会社の一部の事業だけを売却するM&Aの手法の一つです。

事業譲渡の主なメリットは下記の通りです。

 

・主要な事業に集中できる

売却側にとっては、十分な利益をあげていない事業や不要だと判断する事業を手放すことで、コア事業に専念して経営することができます。

言い換えれば、必要な事業などの資産は手元に残すことができるのです。

 

・必要な事業のみを獲得できる

買収側にとっては、会社全体を買わなくても必要だと思う事業だけを買収することができます。

事業よりもさらに細かく狙いを絞り、特定の商品や工場だけを買収することも可能です。

 

・債務や負債などを請け負わずに済む

売却側に債務や負債があった場合でも、条件次第ではそれらを請け負わずに契約を成立させることができます。

売却側がこれらを含めた契約の成立を希望した場合は交渉をする必要がありますが、初めから債務や負債を含めて自社のものになることが決まっている契約と比べるとリスクが低い契約形態であると言えるでしょう。

 

株式譲渡のメリット

株式譲渡は、株主が会社の株式を売却することで会社の所有権を移転させるM&Aの手法の一つです。

株式譲渡の主なメリットは下記の通りです。

 

・簡単な手続きで成立させることができる

株式譲渡は契約書の作成のみで譲渡手続きを完了することができます。

手続きに伴う株主総会の承認も不要である場合が多く、他のM&A方式に比べて簡易かつ迅速に交渉を進行、成立させることができます

ただし、非上場企業の株式を譲渡する場合は個別に複雑な計算を行う必要があります。

とはいえ、中小規模の案件であれば計算に要する時間が手続きに影響を与えることは稀です。

 

・社名を含めて会社を存続させることができる

あくまでも会社の所有者の変更であるため、売却元がブランド力のある企業であればその社名も継続して使用できるケースも少なくありません。

最終的な決定権は買収した企業にあるため、社名の継続を希望する場合は買収した企業と交渉することになります。

 

・多くの創業者利益を得られる

経営者個人が株主でもある場合は、売却側企業は売却した資産の評価額に加えて、のれんを上乗せして獲得できます。

のれんは企業が築いたブランドイメージや事業ノウハウ、取引先との関係など無形の資産を数値化したものです。

のれんの金額は交渉を行っている企業間が各々計算を行った数値をすり合わせて算出することが一般的です。

のれん代を得やすくするには、独自の事業ノウハウや優良な取引先など買収側企業にとって需要の高い要素を強化することが有効です。

 

製薬会社がM&Aを行うケース

それでは、製薬会社はどのような目的をもってM&Aを実施するのでしょうか。以下では代表的なM&Aの目的をご紹介します。

 

後継者がいないが引退したい

健康面や体力面などが要因になり、現在の経営者が事業を続行することが困難になるという問題は遅かれ早かれ確実に発生します。

中小企業の経営者は親族や社員に後継者がいないケースも多々ありますが、M&Aを活用することで第三者へ事業を引継ぐことが可能にあり、後継者問題を解消することができます。

 

事業規模を成長させたい

事業規模の拡大は多くの業種でM&Aの主目的となりやすいものですが、特に医療に対する需要は国内外を問わず固定的なものが多く、製薬会社は事業規模の拡大による恩恵を得やすい業界であると言えます。

まず、相手企業との間で製薬技術をすり合わせることで、新たな知識や技術を獲得しやすくなります。

提供できる医薬品の種類が増えたり、従来よりも製薬コストを抑えたりすることができれば、会社の信用や売り上げにプラスの作用をもたらすことが見込めます。

また、製薬会社の業務は専門性が高く、社員教育や実務経験の蓄積には多くの時間とコストが掛かります。

M&Aが成立すれば、実務経験を積んだ社員を同時に複数人雇用できるため、買収側企業は社員を新規で雇用し教育する場合と比べて研修コストや時間を大きく削減できるメリットがあります。

経営が軌道に乗った場合、製薬会社の強みとなる新薬開発に振り分けられる人手や資金も増加します。

より高度な事業設備を整えたり、老朽化した事業設備を建て直したりするといった判断も行いやすくなるのです。

 

経営状況が思わしくない

製薬会社の運営には新薬開発や設備投資などで多額のコストを必要とします。

そのため、中小企業の経営者が会社の経営を建て直すためにM&Aによる売却を図る事例は数多く存在します。

株式譲渡では会社自体を売却することになるので、大手企業の子会社となって多くの問題を解決することができます。

M&Aが成立した後、交渉次第では売却側企業の経営者が会社で引き続き経営を行うことも可能です。

 

優れた事業ノウハウを持った中小企業は多く、M&Aの成立によって得た資金と売却先企業の経営基盤とを共有することで、当面の債務を解消するだけでなく、収益力強化による中長期的な経営の改善も見込めます。

近年は大手企業への経営資源の集約が進んでいるので、将来的に収益を維持することが困難になることを見越した中小企業の経営者が、M&Aを活用して早めに売却を図るケースが増加している傾向にあります。

 

製薬会社のM&Aでオーナーが得られるメリットとは?

心理的負担の軽減(経営、後継者)

製薬会社の経営には総合的な能力が求められます。

競合他社の動向や市場の状況などを常に把握して時代に適応した事業展開を行うには、視野の広さと決断力が必要なだけでなく、多くの作業量をこなす体力、従業員や取引先との折り合いをつける粘り強さなども必要となってきます。

M&Aを行えば、既に経営力を持った第三者企業の経営者が承継先となるので、安心して事業を引き継いで上記のような心理的な負担を減らすことができます。

 

金銭的メリット

後継者不在や経営難で廃業を選択した場合、事業設備や在庫などは売却または処理する必要があります。廃業時点で債務を抱えている場合は元経営者個人で対処する必要があります。

一方、M&Aによって事業を売却できれば、事業価値に見合った現金を得ることができます

製薬会社は事業に用いる設備や従業員の業務スキルが高額で評価されやすい傾向にあるので、他業種よりも売却額の相場は高い傾向にあります。

 

新事業への挑戦や引退後の生活

経営者を務めるには体力と気力が充実していることが不可欠です。

経営者の平均的な退職年齢は68~70歳とされており、事業承継に必要な期間を考慮すると50~60歳台には承継方式を考えて準備を始める時期と言えます。

経営者の親族や従業員、役員に後継者としたい人物が居る場合、他業種に就いていたり株式譲渡の買い手になる資金力がなかったりして承継を断念せざるを得ないケースも少なくないため、早めに本人への意思確認を行う必要があります。

M&Aを活用した場合は、経営力、資金力を備えた第三者への承継が可能です。

製薬会社の買収ニーズは高く、需要と供給の一致する売却先を探し出せる可能性は充分に見込まれます。成立時に獲得した現金の一部は税金への対応も兼ねて退職金として受け取ったり、事業規模を拡大・転換する元手として活用したりと様々な使い道が考えられます。

最適な承継方法を選択して計画に沿った事業売却を実現することで、会社も個人も将来を安定させることができるのです。

 

製薬会社のM&Aを実施する際に気をつけるべきポイント3つ

では実際に製薬会社がM&Aを実施する場合にはどのようなポイントに気を付ける必要があるのでしょうか。ここでは代表的な注意点を3つご紹介します。

 

準備は早めに

まず把握しておきたいこととして、M&Aの実施には時間が掛かるという点があります。特に製薬会社は売却額が高くなりやすく、買い手が付くまでに長い時間がかかる傾向にあります。初期段階で交渉が難航している間に経営状態が悪化した場合、買い手が現れる可能性はさらに低くなってしまいます。

条件にこだわらなければ売却できる可能性はありますが、債務過剰に陥っている企業は何らかの問題を抱えていることが想定されるため、そのような買収では債務を解消できる程の評価額が見込めなくなってしまいます。

会社の経営状態の良さと信用度は比例するので、M&Aの成立を重視する場合は、売却先を検討する前に早め早めに経営を立て直す必要があります。

 

売却事業の強みを明確化する

製薬会社同士のM&Aでは成立後のシナジー効果が重要なポイントとなります。そのため、売却額の高さを重視する場合、買収側企業にとって需要の高い事業を売却することが求められます

製薬会社で特に評価されるポイントとしては、特許期間内の新薬を販売しているか、専門技能を持った従業員が揃っているか、毎年一定の新規雇用者を確保できているか、安定した取引先を持っているかといった点が挙げられます。

特定分野を伸ばすことによってこのようなアピールポイントが明確になるので、特化した事業を持っている場合や売却先が決まっている時には特に気を付けたい点であると言えます。

 

譲れない売却先の条件を明確化する

M&Aの実施過程では、売却・買収側の企業の経営者同士が直接交渉し、売却条件を調整していくことになります。売却する事業内容や負債の有無などにも左右されますが、買収側企業の意向を盛り込む過程では売却側企業が複数の点で妥協を要求されることが想定されます。

この際に重視する条件を明確に決めていなかった場合、一貫した主張ができずに相手の信頼を損なう要因になります。

また、論点が多方面に展開していると交渉期間も長期化しやすく、M&A自体を白紙撤回されるリスクも増大してきます。

交渉をスムーズに運ぶには、従業員の雇用や取得価額などから特に重視する要素を選び出し、優先順位を決めておくことが有効な手段です

とはいえ、重視する条件が競合した際には、状況に応じて最適な妥協点を見出す工夫も必要です。

 

製薬会社のM&Aを相談するなら

経営者の目的に沿ったM&Aを実施するには、会社の財務状況や事業内容、経営方針などを基に最適な売却先を探し出すことが不可欠です。

経営者個人の伝手に加え、製薬会社のM&A案件を多く成立させているM&A代行業者への相談を行うことによって、M&Aの過程を確実かつ迅速に進めやすくなります。

製薬会社の売却を検討する場合は、M&A代行業者への相談から始めることが成立への近道と言えるでしょう。

 

まとめ

製薬会社の事業設備や従業員は企業価値の向上に大きく影響する要素であり、この業界においてM&Aを活用した事業の売却は比較的成立させやすい傾向にあります。

とはいえ、M&Aの平均的な成約率は3~5割以下とされ、成立させるには交渉目的を明確化した上で事業価値の向上に努めていくことが求められます。

世間の動向や他の製薬会社によるM&A案件などにも気を配り、最適なタイミングで事業承継を成立させられるように取り組むのも、製薬会社の経営者に必要な資質と言えるでしょう。

 

スパイラルコンサルティング社

 

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