製薬会社のM&A事例から学ぶ成功のポイント4つ

製薬会社とは、薬事法に基づき厚生労働大臣から許可を得て、医薬品の製造を行っている会社のことを指します。
医薬品は、病気の治療や予防に欠かせないものであり、医薬品を研究開発する製薬会社業界は、他業界に比べて景気に左右されることの少ない安定した産業といわれてきました。2018年度の統計では、日本国内にある製薬会社の売り上げは約10兆円程とされており、世界でトップ3をキープする市場規模となっています。
しかし現在の日本は、国民皆保険制度により世界最高レベルの平均寿命と保健医療水準を実現した代わりに、高齢化などによって増え続ける医療費の問題を抱えています。政府は薬価の引き下げや、ジェネリック医薬品の推進などの対策によって、医療費を抑制しようとしています。

現在、製薬会社業界では、小規模M&Aでの事業譲渡や、大規模なM&Aによる買収、売却など、さまざまな形のM&Aが行われています。これは、ジェネリック医薬品や薬価の引き下げによって売り上げが低迷している製薬会社が、新薬の研究開発にかかるコストや、新しい人材の確保のためにM&Aを繰り返しているからだといわれています。今回は、製薬会社業界でM&Aが行われる理由や、実際のM&A成功事例から見るM&A成功のポイントなどを見ていきたいと思います。

 

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製薬会社オーナーがM&Aを選ぶ理由とは?

製薬会社のオーナーがM&Aを検討する理由とは、一体どのようなものがあるのでしょうか。売却側企業の理由と、買収側企業のM&Aを選ぶ理由を、それぞれご紹介します。

売却側がM&Aを選ぶ理由

売却側の企業がM&Aによって事業譲渡を行う理由として挙げられるのは次の5つです。

大資本による研究開発

M&Aを利用して事業譲渡などを行うことで、売却側の企業は大資本の傘下に入り、医薬品の研究開発を発展させることができる可能性があります。また、買収企業が所有する優れた開発環境で、新薬の研究開発をできるようになるため、売り上げを大幅に伸ばすことを見込めます

創業者はM&Aによる売却益を得る

廃業を考えている創業者や経営者が、事業譲渡によって業界から身を引いた後の資金を確保することを目的に、M&Aを行うことがあります。
事業譲渡によって得た資金は、売却益となり創業者や経営者の手に渡ります

後継者問題の解決

少子高齢化にともなう後継者不足は、経営者にとって大きな問題です。
高齢になった経営者が後継者を見つけることができずに、廃業に追い込まれるといったケースも増えています。M&Aによる事業譲渡は、後継者不足で廃業の危機にある製薬会社にとって、問題を解決する有効な手段として利用されています。

借入金や担保の解消

経営している製薬会社が、貸入金や担保などの負債を抱えていた場合、経営者が負債を解消するためにM&Aを行うことがあります。M&Aで得た現金や株式を負債の支払いに当てることで、売却側は安心して事業を行うことができます。

研究員・営業社員の雇用維持

経営不振や後継者不足により、経営していた企業を廃業しなくてはならなくなった場合、経営者は自社で雇用していた研究者や営業社員などの今後を考えなくてはなりません。
M&Aによる事業譲渡を行うことによって、売却側の経営者は、雇用していた社員を買収側の企業に引き継ぐ事ができます。これは、売却側の経営者にとって、大きなメリットと言えるでしょう。

買収側がM&Aを選ぶ理由

次に、買収側がM&Aを選ぶ理由はどのようなものがあるでしょうか。買収側がM&Aから得ることができるメリットは、次のようなものが挙げられます。

有能な研究員・営業の確保

買収側にとって、M&Aの1番のメリットは、即戦力になる人材を確保できることです。買収側は、売却側の企業で働いていた専門知識を持った人材を確保することにより、新しく人材を育成する時間と資金を削減することができます

設備投資の低減

医薬品の研究開発をするには、開発環境の設備への投資が必要な場合があります。設備の破損や老朽化により、修繕費が必要になる場合もあります。
M&Aで製薬会社を買収すると、買収側は相手の企業の設備を利用することができるため、設備費用への投資を削減することができます。

新薬の特許切れが近づいている

新薬の特許が切れると、後発医薬品メーカーから、新薬と同じ有効成分を持ったジェネリック医薬品が販売されます。ジェネリック医薬品が販売されることは、新薬を研究開発した製薬会社にとって、売り上げの低下につながります。
製薬会社はM&Aを行い、新たな人材や知識を手に入れ、さらに新薬を研究開発しようと考えるのです。

新規事業への参入

新規事業を開拓する場合、雇用している社員の教育と、新事業に対するノウハウの蓄積が必要になります。M&Aで事業買収を行うことで、買収側は売却側が持っている事業のノウハウの習得や、社員の教育にかかる時間の短縮、コストの削減を期待できます。
新たな事業を始めるには、産業の情勢推移に対してすぐに適応する力が必要になります。M&Aによる事業買収は、変わり続ける情勢に即座に対処する方法なのです。

事業を大きく拡大

M&Aの事業買収は、すでに行っている事業を拡大させる事にもつながります。
製薬会社業界は日々進歩しており、情勢の推移がはやい業界です。その速さに追いつくために、M&Aによる迅速な事業拡大は、効果的な方法です。

製薬会社のM&A事例

近年、製薬会社業界では、M&Aが多数行われています。
中でも、大手製薬会社が大規模なM&Aを行う傾向が増加しており、様々なM&Aの成功事例が報告されています。今回ご紹介するのは、国内最大価格でのM&Aを成功させた、武田薬品工業株式会社とシャイアーの事例と、製薬会社と健康食品会社がM&Aを行った、小林製薬株式会社と株式会社梅丹の事例です。

武田薬品工業株式会社によるアイルランドの大手製薬メーカーシャイアー買収事例

武田薬品工業株式会社は、アイルランドにある大手製薬メーカーシャイアーの完全子会社化を発表、2019年1月8日にM&Aが成立しました。

武田薬品工業株式会社と、シャイアーとは

買収を行った武田薬品工業株式会社は、製薬会社メーカーとしては国内最大規模で、栄養剤や感染予防などの分野で国内シェアを拡大してきた企業です。
売却側のシャイアーは、ロンドン証券取引所やMASDAQに上場している大手製薬バイオテクノロジー企業で、注意欠如多動性障害、過食障害、ヒト遺伝子療法、再生医療などの治療薬の開発、製造を行っています。
2016年度の世界の医薬品売上高ランキングでは、武田薬品工業株式会社が17位、シャイアーが22位という、ほぼ同等の売り上げがある企業同士のM&A事例です。

M&Aの目的

武田薬品工業株式会社は、消化器疾患やオンコロジー、ニューロサイエンスなどの領域を強化することを目的に、シャイアーに買収提案をしました

M&A成立の経緯

2018年3月、シャイアーの株価変動を受けた武田薬品工業株式会社は、シャイアーに買収提案をしました。しかし、武田薬品工業株式会社が提示した企業価値は過小評価だとして、シャイアー側が受け入れず、武田薬品工業株式会社はシャイアーの企業価値を再検討しました。その結果、2018年5月、両社はイギリスのスキーム・オブ・アレンジメント制度(※)を使い、M&Aを行うことで合意をしました。
2018年12月、武田薬品工業株式会社が臨時株主総会、シャイアーが株主集会、株主総会をそれぞれ開催し、シャイアーの買収が承認決議されます。
この決定により2019年1月8日、武田薬品工業株式会社はシャイアーの全株式を取得し、M&Aを成立させました。
買収価格が日本円で約6兆8000億円という巨額買収の成立によって、武田薬品工業株式会社は売上高を3兆3000万とし、世界でトップ10に入る日本初のメガファーマとなりました。

(※)スキーム・オブ・アレンジメント制度とは、企業再生を前提とした制度で裁判上の手続きを通じた公開買い付けをいいます。半数以上の株主が買収に賛成し、議決権の75%以上を占める株主の賛成が得ることができれば、買収企業は売却企業の全株式を取得できます。

小林製薬株式会社による株式会社梅丹の子会社化事例

小林製薬株式会社は、株式会社梅丹と全株式の株式譲渡契約を締結し、2019年5月14日にM&Aを成立させました。

小林製薬株式会社と株式会社梅丹とは

買収を行った小林製薬株式会社は、医薬品の製造販売のほか、トイレタリーなどの衛生雑貨の製造販売に力を入れている企業です。
売却側の株式会社梅丹は、1969年創業の老舗梅専門メーカーで、梅丹や古式梅肉エキスなど、梅成分を凝縮させた健康食品を販売しています。
今回のM&Aは、製薬会社と健康食品メーカーという、他業種企業との間でM&Aが成功した事例です。

M&Aの目的

小林製薬株式会社は、株式会社梅丹が持つブランド力と、自社のマーケティング力、研究開発力、販売力を融合させることで、健康食品分野での売り上げ拡大を目的としてM&Aを行いました

M&A成立の経緯

小林製薬株式会社は、2019年3月28日に株式会社梅丹の株式を取得する株式譲渡契約を締結し、2019年5月14日に株式の譲渡が完了したことを発表しました。このM&Aの成立で、株式会社梅丹は全株式を小林製薬株式会社に譲渡し、小林製薬株式会社の完全子会社となりました。小林製薬株式会社は、このM&A成立によって健康食品事業を強化し、3年後には梅丹ブランドの商品で売上高10億円を目指しています。

製薬会社のM&A事例から読み取る成功ポイントとは

製薬会社のM&Aが成功する要因とは、一体どのようなものなのでしょうか。製薬会社のM&A事例をもとに、M&Aの成功ポイントを見てみましょう。

M&Aを行う目的をはっきりさせる

M&Aが成功した企業の多くは、M&Aを行う目的を明確化し、その目的を達成するためにどのような戦略を立てるべきかを検討しています。目的をはっきりさせることは、自社の希望に近いM&Aの相手企業を探すためにも必要です。

M&Aを行うタイミングを見極める

M&Aを行う際には、タイミングを見極めることも大切です。
武田薬品工業株式会社とシャイアーの事例では、武田薬品工業株式会社が、シャイアーの株価変動を買収タイミングだと判断し、買収提案を持ちかけたことでM&A交渉が始まりました。刻々と状況が変わる市場では、常に最新の情報を確認し、M&Aを行う最適なタイミングを見極めることが大切です

M&A交渉はお互いが納得できるまで行う

武田薬品工業株式会社とシャイアーの事例のように、買収側が提示した条件と、売却側の希望が合致しなかった場合、お互いが納得できるまで交渉を続けることが大切です
お互いが納得しないままM&Aを行うと、トラブルが起こりやすく、M&Aの失敗につながりかねません。

M&Aのための制度を活用する

武田薬品工業株式会社とシャイアーの事例では、イギリスの制度である「スキーム・オブ・アレンジメント」が利用されました。このほかにも、今回のM&Aでは武田薬品工業株式会社は、2018年4月に改正された「産業競争力強化法」による、会社法の特例措置を利用しています。M&Aでは、制度を活用することが成功するポイントになるのです。

製薬会社のM&A事例をさらに聞くなら

近年、製薬会社業界では、大手製薬会社によるM&Aの成功事例が増えています。
また、国内製薬会社同士だけではなく、海外企業や、別業種の企業との間でM&Aを行う事例も増加しています。製薬会社業界のM&A事例をさらに聞きたいという方は、M&A事例をよく知るM&A専門会社や、M&Aアドバイザーを利用してみてはいかがでしょうか。

M&Aアドバイザーの選び方がわからないという方は、当サイトがおすすめする「スパイラルコンサルティング社」をご検討ください。

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事業売却を成功に導くためにも、一度ご相談してみることをおすすめします。

 

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