製薬会社の事業承継【事例から読み解くポイント】

製薬会社は、新薬の研究・開発に余念がありません。それは、未だに治療薬がない病気を患っている人間が世界中で助けを求めているからです。さらなる技術の向上と最先端の医薬品を求めて、製薬会社は、国内だけではなく海外の製薬会社とのM&Aを行うようになりました。

M&Aを必要としている製薬会社が抱えている問題や、近年の事業承継の事例で見えてくる製薬業界の今後を追っていきましょう。

 

製薬会社が事業承継を行う背景

製薬会社が、事業の拡大を狙う背景に、新薬の開発をうえでの費用・人員・設備の拡張があります。医薬品業界では、顧客のニーズに応えるため、常に新薬の開発に時間と人手をかけなければなりません。

特に経営資金が乏しい中小企業では、開発コストに大きなリスクを伴うため、大手企業との差を縮められずにいます。さらに追い打ちをかけるように、経営者の高齢化により、引退を迎えるタイミングになっても経営者として相応しいスキルを持った人間が育っておらず、後継者不足に陥るケースが多いのが現状です。

中小企業の大きな問題となっている後継者不足の対策として一役買ってくれるのが、M&Aによる事業承継です。後継者がいない製薬会社が事業承継のためにM&Aを行うケースが増加しています。

製薬会社のM&Aは世界的に見ても、大手・中堅関係なく行われています。日本の製薬会社は2000年代からM&Aを本格化するようになりました。欧米諸国の製薬会社に対して遅れは取っていますが、国内外問わずM&Aは増加傾向にあります。これから売り出す新薬の候補も少ないと言う状況の製薬会社ならば、M&Aで新たな人員やノウハウを取り入れ、さらなる新薬の研究開発に乗り出すことは充分可能です。ゼロベースから事業を始めることなく、新しい技術の習得とノウハウを取り入れるため、M&Aの事業承継が頻繁に行われるようになってきました。

 

製薬会社が事業承継を行う理由

製薬会社が事業承継を行う理由はいくつかあります。

経営者、従業員、会社に大きな恩恵をもたらす事業承継を売却側の目線に立ってお話していきたいと思います。

 

・後継者問題の解決

少子高齢化や従業員の向上心の低さから、後継者に恵まれないことがあるかと思います。良い時も悪い時も会社の一部として、従業員と苦楽を共にしてきた思い入れのある会社を、跡継ぎがいないことが理由で会社を廃業したくはありません。

M&Aの事業承継で、外部から腕利きの経営者を探し出すことが出来れば、後継者不足の悩みから解放されます。新しい後継者による経営戦略の見直しで、職場環境が改善され、従業員はこれまで以上の待遇が望めるかもしれません。

 

・規制緩和による異業種の業界参入

中小企業は、大手企業の傘下に入り市場での生き残りを目指します。そこには、企業拡大で得られる効果の期待、経営資源への集中、重複部門との合理化によって競争力を高める狙いがあります。多くの製薬会社で経営戦略の一つにM&Aの事業承継が利用されることで、とある問題が起こります。その問題が、異業種の参入や価格競争の引き金となった、業界内の規制緩和です。

今や私たちの身近にあるスーパーやコンビニエンスストアでも医薬品が取り扱われるようになりました。薬局などの専門店以外での薬の販売が可能となったのが、2009年の薬事法改正によるものです。さらに、企業規模の拡大を図り、大手調剤薬局同士のM&Aも頻繁に行われるようになりました。

このアクションが業界内での再編加速に拍車をかけ、中小企業が生き残るための術として、大手製薬会社や同業者同士とのM&Aが活発になっています。

 

製薬会社の事業承継の事例

後継者不足や他業種の医薬品業界参入など、製薬会社がM&Aの事業承継を利用する目的は様々です。中小企業は経営維持、向上のためにM&Aが利用されます。大手企業は、市場の独占、新たな事業の販路開拓のためにM&Aを利用するケースが多いです。

それでは、実際に医薬品業界でどのようなM&Aが行われたのか、三つの事例をご紹介します。

 

・事例①「武田薬品工業株式会社」が、アメリカの製薬会社「アリアド・ファーマシューティカルズ」を買収

2017年に、日本の製薬業界で大きなシェアを占めている武田薬品工業が、アメリカの製薬会社アリアド・ファーマシューティカルズとのM&Aで買収に成功しました。武田薬品がM&Aを行った最大の目的は、固形ガン分野の拡大・血液ガン分野の強化で、グローバルな腫瘍学のポートフォリオとパイプラインの変革です。遺伝的な要因である非小細胞肺ガン患者を対象とする治療薬「brigatinib」、慢性骨髄性白血病および特定の急性リンパ性白血病を対象とする治療薬「Iclusig」の二つにターゲットを絞りました。革新的でグローバルな治療薬を獲得することで、オンコロジー領域において持続的、更なる成長を遂げることが可能です。収益面では、長期的な売上収益の伸長、経費削減のシナジー効果をもたらします。

 

「武田薬品工業株式会社」

・企業概要

1781年に大阪で創業以来、約240年にわたり、変わりゆく環境を先取りし、日本発祥のグローバル企業へと成長してきました。「オンコロジー(ガン)」、「消化器系疾患(GI)」、「ニューロサイエンス(神経精神疾患)」、「ワクチン」を主力領域と位置づけ、画期的な新薬創出に日々挑戦しています。

 

「アリアド・ファーマシューティカルズ」

・企業概要

アメリカのマサチューセッツ州ケンブリッジに本社がある製薬会社です。ガン患者に向けて低分子医薬品の開発・発見・商業化を行っています。難治性の慢性骨髄性白血病やフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の新規治療薬「ボナチニブ」の開発を行っています。

 

事例②「沢井製薬株式会社」が、アメリカの製薬会社「アップシャー・スミス・ラボラトリーズ」を買収

2017年、沢井製薬はこれまでに蓄積してきた製剤技術力や知的戦略を活かし、アップシャー・スミス・ラボラトリーズが持つブランド力、生産設備、販売網の活用で、米国事業への展開を図りました。アメリカのジェネリック市場において揺るぎない地位を築いているアップシャー・スミス・ラボラトリーズとのM&Aにより、ハイクオリティで付加価値のあるジェネリック医薬品を、日本・米国の患者さんに提供出来るようになりました。

 

「沢井製薬株式会社」

・企業概要

1929年に、大阪で創業しました。ジェネリック医薬品の製造販売を行っており、業界内の上場会社の中で最大手の企業です。循環器官・消化器官系医薬品を製造しています。医薬品販売会社や卸売店への販売や医療機関への直販を行っています。世界から認知されるジェネリック医薬品企業の実現に向けて、安定供給能力、コスト管理能力の強化を進めています。

 

「アップシャー・スミス・ラボラトリーズ」

・企業概要

1919年の創業以来、人々の生活向上のため、高品質な医薬品を提供している、アメリカのジェネリック医薬品業界の最大手です。経口固形製剤を中心とした約30品目の多様な製品ポートフォリオ、パイプライン製品を有しています。

 

事例③「大正製薬株式会社」が、化粧品の開発・販売を行っている「ドクタープログラム株式会社」を買収

2016年に、大正製薬が通信販売・スキンケア事業の拡大を図り、M&Aを行いました。大正製薬は、セルフメディケーション事業を成長させるために、通信販売の拡充を目標に据えました。そこで、通信販売に力を入れているドクタープログラム株式会社の買収により、既存のセルフメディケーション事業の強化、通販事業の顧客層の拡大でスキンケア事業の強化をしました。

 

「大正製薬株式会社」

・企業概要

生活者の健康でより豊かな暮らしの実現への貢献を目指し、病気の予防から治療までの幅広いラインアップでお客様のニーズに応えてきました。時代や環境の変化に柔軟に対応し、積極的にチャレンジし、一般用医薬品のリーディングカンパニーとして市場の活性化を図り、医薬事業においては会社の強みを活かした領域での展開を強化しています。

 

「ドクタープログラム株式会社」

・企業概要

2001年の創業以来、製薬発想の安全重視、効果を追及した化粧品を提供し続け、お客様の美と健康に貢献してきました。年齢や肌の悩み、肌タイプなどお客様のニーズに応えた化粧品の研究・開発、生活者視点と誠実さを持ったサービスにも徹底的にこだわってきました。

 

製薬会社の事業承継のポイントとは

自分の会社に、現在どのくらいの資産があって、将来的な価値があるのか気になるのではないでしょうか?事実、会社の価値によって売却時の収益が大きく変わります。

事業承継で会社を売却する側が抑えておくべきポイントをいくつかご紹介します。

 

技術力や競合優位性があるか

製薬会社が企業を買収する時に、他社にはない技術力、競合優位性があるかどうかで事業価値を見出し、事業承継を希望する企業との事業承継を行います。

他社との差別化を図るには、競合優位性を示す必要があります会社独自の技術で製造した新薬は、技術的優位性の獲得し市場における影響力を増幅させます。その技術力をライセンスとして認可し、製品の開発・販売だけでなく権利ビジネスとして競合優位性を獲得する方法があります。

また、製品の機能や性能そのものではなく、デザインなどで差別化を図るケースもあります。このように他社との差別化を図ることで企業価値を高めます。企業価値は、市場における会社の価値となり、経営の安定、会社の将来性、これまでお話しした競合優位性があれば企業価値が高くなり、事業承継で大きな売却益を得ることが出来ます。

 

事業承継後の目指す目標の設定

事業承継で会社を売却した場合、経営権や株式などの資産が新たな後継者へと移ります。さらにもう一つ、会社には重要な目には見えない知的財産があります。経営者がこれまで培ってきた経営方針や取引先との繋がりを継続させ、従業員の雇用維持、技術やノウハウの伝承など、後継者に対して事業承継後の要望を伝えましょう。

必要であれば文書に記し、後継者や従業員と共有しておけば、事業承継後もぶれることなく会社を経営することが期待出来ます。

 

M&Aの専門家に頼るのもアリ

M&Aの事業承継は、売買する会社関係者の利害の不一致、税金が関わってくるなど、専門分野の知識が必要になってきます。M&Aの事業承継は時間がかかるので、専門家の力を借りてスムーズに事業承継を進めていきましょう

 

税理士(公認会計士)

M&Aにおける税理士の業務内容は、株主や投資の価値を評価する「バリュエーション」、売却する会社の価値やリスクを評価する「税務・財務デューデリジェンス」、M&Aのあらゆる業務を遂行する「FA(ファイナンシャルアドバイザリー)業務」などがあります。

 

・税理士に依頼するメリット…M&Aのリスクを発見できる

M&Aの際に税理士に相談すれば、簿外債務・資産価値の低下など、予めリスクとなる資産や要因を排除し、良い条件で会社売却を行えます。さらに、妥当なM&Aの価値を算出してもらうことで、後々減損などにより買い手側に対して損失を与えることはありません。自社の価値を最大限に引き出す手法を用いるため、双方に満足のいくM&Aが行えます。

 

弁護士

M&Aにおける弁護士の主な業務内容は、事業承継において売却・買収する側の株主の履歴や事業の許認可、登記関係のチェックを行う「法務デューデリジェンス」、「契約書の作成」です。

 

・弁護士に依頼するメリット…法律、交渉のプロフェッショナルを味方に付けることが出来る

法律的な観点から、M&Aで起こりうるトラブルや事後対処でも力強い存在を発揮します。同時に、普段から裁判などで交渉の機会が多い弁護士のスキルを活かし、法律的根拠に基づいた説得力のある発言で、依頼人の強い味方になります。

 

M&Aアドバイザー

M&Aアドバイザーは、マッチングや交渉の仲介といった高い交渉能力が必要な業務から、バリュエーションやデューデリジェンス、会計や契約書作成といった法務に関する専門知識も必要とされます。M&Aアドバイザーの中でも、財務(FA)・法務・税務の3種類のアドバイザーといった担当業務に分かれます。さらに、売却側・買収側双方の間を取り持つ「仲介形式」、買収側もしくは売却側どちらかのサポートをする「アドバイザリー形式」があります。

 

・M&Aアドバイザーに依頼するメリット…経験豊富で多くの知識を持っている

M&Aは、ある案件に対してはこの対処を行うといった、決まった形で進めることが出来ません。複雑な利害関係に柔軟に対応出来るM&Aアドバイザーの交渉力が必要です特に、当事者同士の事業承継の際、売却時に資産価値を低く見積もられたりする場合があります。価格交渉などで相手に足元を見られることを防ぐためにも、M&Aアドバイザーによるプロフェッショナルな判断に委ねましょう。

 

製薬会社の事業承継を行うなら

近年の薬事法改正により、異業界の医薬品の取り扱いが緩和され、医薬品業界への参入が頻繁に行われるようになりました。製薬会社は、中核事業だけで勝負することが厳しくなり、益々、医薬品業界での立ち位置が不安定になってきています。市場で生き残るための経営戦略としてM&Aを活用した事業承継を検討してみませんか?

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より満足できる事業継承にするためにも、一度ご相談してみることをおすすめします。

 

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