
まだまだ待機児童の数は多く、保育園を増やすための法案も国会で議決されています。
少子化ではあるものの、共働きの夫婦が増えることで保育園の需要も高くなっているのです。
今、この保育園オーナーたちで今まで経営してきた自分の保育園のM&Aを考えている方が増えてきています。
保育園のM&Aを考えている、売り手側、買い手側の両者にとってメリットのあるM&Aの方法について、保育園のM&A事例を交えながらご説明していきます。
目次
保育園オーナーがM&Aを選ぶ理由とは?
保育園経営というのは、本当に難しいです。
様々な理由で経営を一旦休みたい、終わりにしたいと思うオーナーも多いと思います。
考えられる理由として、
- 体力の限界を迎える前に保育園の将来について考えたくなった
- 後継者がいない
- 地域の人口不足、特に子供の人口が減ることによる経営不振が心配
- 深刻な保育士不足
などがあります。
こららは保育園経営に限らず、他業種の経営者にもありうる内容ではないでしょうか。
「後継者がいない」「健康問題、病気になる前に事業を何とかしたい」「人手不足で本当に困っている」「人口不足により顧客が減った」など心当たりがありますよね。
このような悩みは、保育業界に限ったことではないのです。
経営者なら誰でもぶつかる悩みなのです。
特に保育業界では、業務との相性がかなり重要です。
子供への対応、そして子供の親とも対応しなければいけません。
いわば人間関係のスペシャリストでなければ、保育園を運営していくのは難しいものです。
いくら保育園オーナーの子どもがその仕事をそばで見てきていたとしても、適性がなければ事業を継がせるのを躊躇ってしまう経営者も多いのではないでしょうか。
また、ベテランの従業員の中から、後継者を選抜しようと思っても、現場で保育士として働くことに関しては問題がないものの、経営面まで見ることのできる従業員は少ないと思います。
そしてこの保育事業というのは、本当に体力勝負です。
子供は活発ですからそれに付き合うには、いつも健康管理をしておかなければなりません。
健康問題に少しでも不安が出てきたら、子供たち、保護者達、従業員たちに迷惑が掛からないように、早めから進退問題について検討しておく必要があります。
保育園をM&A行うことでのメリットとは、事業をそのまま買い手側企業に引き継いでもらうことができ、今現在の利用者、つまり親や子、そして従業員に迷惑を掛けずに済む点です。
施設、預かっている児童、保育士、その保育園独自の教育法などすべてを譲るわけです。
そして、買い手側は保育園を丸ごと手に入れることができます。
「法改正に伴い、保育事業を始めたい」「会社内に保育施設を完備したい」という、保育事業をM&Aで新たに獲得したい企業は少なくありません。
保育園のM&A事例
かなり注目を集めた、大手企業同士のM&Aについてご紹介します。
化粧品で有名な資生堂ですが、保育事業にも進出しています。
保育業界の大手であるJPホールディングスとM&Aを通じて合弁会社「KODOMOLOGY」を設立し、事業所内の保育事業を展開しているのです。
JPホールディングの保育の特徴は、給食の提供、英語、体操、リトミック教室、保育用品の販売、発達支援、研修などを行って、グループ事業を最大限に活かして保育施設を運営しているところです。
- 安心&安全を第一に
- 想い出に残る施設であること
- 本当に求められる施設であること
- 職員が楽しく働けること
これら4つの運営理念に基づき保育サービスを行っているのですが、このサービス精神と資生堂の経営精神がマッチしたことによりM&Aが成立しました。
また資生堂社員の女性社員の比率は8割程度となっています。
ほとんどが女性従業員で占めていますから、女性が結婚して子供を持っても働きやすい環境づくりのためにも、事業所内保育を充実させるための合併であることが推測されます。
このように昨今の女性の社会進出が増えてきていますので、ほとんどの業界では、事業所内に優良な保育施設を保有する必要があります。
そのためあらゆる業界で、保育事業との提携、合併は今後も増え続けると考えられます。
さきほどのご紹介した「資生堂」と「JPホールディング」は、本当の一例で、保育事業を実際に行っている法人は、ほとんどが中小企業に属すると思います。
実際、資本金5000万円以上の企業は1割にも満たないと言われています。
これは法人格が社会福祉法人であっても同じです。
このような小規模な保育園が生き残っていくにはどうすればいいのか?
そして小規模保育園についてもM&Aは効果的なのか、成功へと導くポイントについて具体的に考えていきたいと思います。
保育園のM&A事例から読み取る成功ポイント4つとは
保育士の確保ができるか
保育士に必要な素養は、子供の心理と大人の心理も知っておくことです。
最近の親の傾向として、一人っ子の親が多いです。
ですから保育園に預ける年齢の子供が初めての子供で、子育てのキャリアも数年という場合が多いのです。
何もかもが初めてなので、不安もいっぱいです。
あらゆる事態を想定して、子供たち、親たちと接していかないといけません。
また、自分の子供を育てる育児と違って、他人の子供を預かるのですから責任は計り知れないものがありますよね。
しかし、「経験」はとても大切なスキルなのです。
そして経験だけでなく、子供の気持ち、親の気持ち、両方を慮(おもんばか)れる人間力も保育士には必要になってくるのです。
これだけの人間力、スキルを持ち合わせた保育士を新規募集するというのは困難極まりないことです。
既存の保育園が「M&Aをする」ということは、買い手側にとっては、このようなベテランの保育士も同時に手に入れることができるということです。
そして、売り手側にとっては、長年働いてくれた従業員の雇用を守ることにも繋がります。
両社にとってまさしくWinWinの関係になれるということです。
こどもの人口
この項目では、子供の人口の推移についてみていきましょう。
まず、下記の表をご覧ください。
《総務省統計局:男女人口5歳級の推移より引用》
黄色のラインを引いたところが、保育園に通園するおおよその該当年齢となっています。
全体の年齢に対する人口を確認して見ると、保育園に通う年齢層がかなり少ないことがわかります。
また就学児童、生徒、学生に当たる年齢も少なくなっています。
その反面、ベビーブームのあった40代、60代の人口が突出して高いことがわかります。
この統計からもわかりますが、現在36年連続で子供の人口は減少の一途をたどっているのです。
では子供の数が減っているのになぜ待機児童は増えるでしょうか?
女性の社会進出が進み、結婚して出産後も仕事を続けるためには、子供を預かってもらう保育園はなくてはならない存在です。
また、社会進出が進むにつれて、離婚する世帯の数も増えてきて、ひとり親で育てるためにも、男女ともに仕事を続けるために保育園が必要不可欠になってくるのです。
昭和33年以降の高度成長期なら、男性が外に働き、女性は専業主婦になるのが普通の状態で、男性一人の収入でも世帯を養うこともできて、女性は家事と育児に専念できる環境でした。
そうなると、幼稚園までは家庭での保育をすることが当たり前になっていたのです。
1990年にその傾向が逆転して、女性の社会進出、離婚率が高くなるにつれ、子供の数が少ないのに、いままでの保育園の数では子供を預かることができなくなり、保育園に入りたくても入れない「待機児童」が増えたのです。
しかし、もちろん地域差があります。
過疎化が進む地域ではそもそもの人口が減少していくため、こどもの数も少なく、保育園の需要が低い傾向にあります。
一方、都心のように人口が集中し、特に再開発などで家族向け物件が増えている地域では子どもを持つ世帯が多く、保育園の需要も高いのです。
そのため、その保育園のある地域のこどもの数や動向は、保育園のM&Aを行う際に重要なポイントとなります。
ほかの保育園とは異なる強みがあるか
「2.保育園のM&A事例」でもお話ししました、JPホールディングですが、独自の教育メニューを開発していますよね。
リトミック教室、英語、体操、給食など他の保育園の教育メニューとの差別化を図っています。
ほかにも、日本古来の武道や、書道、茶道などを指導する保育園などもあります。
姿勢が良くなり、礼儀正しくなると保護者からも好評なのです。
独自の保育メニューを考案することにより入園希望者が殺到している保育園も多数存在しています。
この「独自の保育メニュー」というのは、一般の企業で言えば「ノウハウ」にあたります。
M&Aを行う上で、この「ノウハウ」は高い事業価値となり、独自で特殊であるほど、また人気が高くなるほど、価値が認められて、事業を売却するときには高値が付くことになります。
M&Aの専門家に頼るのもアリ
前項で説明した「ノウハウ」ですが、いくら事業価値があるといっても、買い手側にその価値が伝われなければ、売却額が上がるということはありません。
この事業価値を適正に伝えるには、この保育業界のすべてを把握している仲介業者に相談する必要があるのです。
なにも保育士経験があるM&Aエージェントが在籍している必要があるというわけでないのです。
それよりも、保育園M&Aを経験しているエージェントが在籍していることが必要です。
買い手側の希望と売り手側の希望、そして悩みなどを把握して、そして保育園の事業価値も正しく理解して、買い手側に伝えてもらわなくてはなりません。
業界の動向、将来性を熟知したM&Aエージェントが在籍する仲介業者に相談すること、アドバイスを仰ぐことは、本当に保育園のM&Aを成功させるには不可欠なことです。
買い手側を探すよりもまず、自分の事業と相性の良い仲介業者をさがすことが保育園のM&A成功の近道だと思ってください。
保育園のM&A事例をさらに聞くなら
実際に保育園M&Aを経験してきた仲介エージェントをまず探して、相談してみることです。
豊富な実績の中から、ぴったりの事例を紹介して、親身に相談に乗ってくれます。
あなたの保育園の強みを探しだして、効果的に買い手に伝えてもらえることで、適正な価格で大切な事業を譲渡することができるのです。
保育園というのは、何度も申し上げますが、大切なお子さんを預かっているところです。
早い段階で、保育園名が公表されて売りに出されているとわかってしまったら、保護者や働いている保育士たちを不安にさせてしまいますよね。
まず、匿名で買い手側を探してくれる、そして保育園経営の性質について熟知していることがとても大切だということを知っていただきたいのです。
保育園M&Aの実績が豊富なエージェントに、まず相談することをお勧めいたします。
最後に東京で保育園のM&Aについて支援を行っている会社を紹介します。
M&Aコンサルティング社は事業価値を高めてから売却するM&Aを得意としており、きっとあたなの保育園の価値を買い手企業に正しく伝えてくれることでしょう。
匿名で相談、簡易査定の依頼が可能なため、情報を外に漏らすことなく保育園のM&Aについて準備を進めることができます。
まずは気軽に匿名相談を利用してみるといいでしょう。
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