
匿名ですが、2016年にブログでアップされた「保育園落ちた日本死ね!」というフレーズがあります。
これを読んで衝撃を受けた方は多いのではないでしょうか。
そのブログの一文に、「子供産んで、子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言っているのに、日本は何が不満なの?何が少子化だよクソ」というものがありました。
言葉使いは悪いですが、この一文に共感した子育て世代は数多くいたと思います。
そして、このブログの最後のほうに、「どうすんだよ、仕事辞めなくちゃならねーだろ」と続きます。
少子化だ、子供を増やせといわれても、受け皿がなければどうにもなりません。
「せっかく子供ができたけれど、子供を預けられない、そしたら仕事ができなくなる」ということは、仕事にやりがいを持つ女性にとってとても不幸なことになってしまいます。
妊娠出産がハッピーな出来事ではなくなっているのです。
これ以上深刻な事態を招かないためにも、後継者不足で廃業を考えている保育園経営者の方々にはM&Aによる事業譲渡という選択肢を知っていただきたいのです。
後継者不在だからと廃業して保育園をたたむ必要はなくなったのです。
日本の保育園を減らさない手立てとして、「M&Aによる保育園の事業譲渡」についてお話してきたいと思います。
目次
保育園が事業譲渡の道を選ぶメリットとは
「保育園を事業譲渡して本当にメリットはあるのか?」ということをこの項目では確認していきます。
この事業譲渡を選ぶメリットは、保育園だけでなくどの業界にも共通するメリットでもあります。
経営のプレッシャーから解放される
まず一番に挙げるメリットといえば、経営のプレッシャーからの解放ではないでしょうか。
保育園経営というのは、子どもの安全・安心が求められる現場ですから緊張感が少なからずあります。
事業譲渡することで、この緊張感からも解放されます。
また、経済状況でもオーナーが自宅などを担保に借入金をしている場合があります。
個人保証というものです。
しかし、事業譲渡することで、借入金などもいっしょに譲渡することができます。
個人保証の解除ということも契約条件にも盛り込むことがでます。
廃業を選んだ場合、不動産や設備などを売却した代金から借入金を返済する必要がありますが、M&Aによる事業譲渡の場合は、譲渡代金から借入金を返済する必要がないのです。
しかし、契約条件にきっちり盛り込んでおく必要はあります。
後継者問題の解決
保育園事業は、本当に難しい事業ですし、適性などもとても大切です。
従来では後継者が不在となると保育園は廃業して畳むしか選択肢はありませんでした。
それに最近では、実子が保育園を継いで当たり前とは言えません。
すでに違う仕事についている場合があります。
在籍している保育士の中から選抜するというのも難しい問題です。
保育と経営では全く違います。
両方をこなせる人間というのはなかなかいるものではありません。
M&Aによる事業譲渡を選択した場合は、第三者へ事業を譲渡することになりますが、今まで育ててきた保育園はしっかり引き継いで行ってもらえます。
冒頭でお話した保育園不足による待機児童問題への貢献にもなるでしょう。
事業や店舗の拡大
最近は、保育事業を行っている企業もM&Aによる事業譲渡、合併を行っています。
事業を拡大しようと一から土地を探して新たな保育園を建設してとなると、時間とお金が膨大にかかってきますが、既存の保育園を買収することで、初期費用を抑えて保育園を増やすことが可能になりました。
「自分はそろそろ現役を引退したい、でも保育園は残したい」と思っている方は、このように事業拡大を考えている他の保育園オーナーに事業譲渡することを検討してみてはいかがでしょうか?
保育園を経営した経験がないオーナーでも、自身の事業と保育園事業との相性が良いとなると事業の一環として保育園経営を始めることができます。
例えば、化粧品メーカー、婦人服メーカー、病院内の保育園もそこで働く女性医師や看護師にとっても必要なのではないでしょうか。
従業員の雇用安定や待遇改善
事業譲渡を行う時に、契約条件として保育士の雇用継続と待遇改善は盛り込んでおくといいでしょう。
保育士が不在では、保育園は成り立ちません。
また、事業譲渡は無事終わったけど、結局ベテランの保育士のほとんどが辞めてしまったのでは、せっかく事業を譲渡されても買い手にとっては価値が半減してしまいます。
こうならないためにも、契約条件で雇用を継続して、安心して働けることは次の経営者と約束していることをちゃんと保育士に説明しておくことも必要です。
慣れ親しんだ職場で働き続けられて、その上待遇も良くなることが理解できれば、保育士が職場を離れていく心配はありません。
譲渡による現金獲得
M&Aでの事業譲渡におけるメリットの最後は、現金を受け取るという点です。
廃業でも施設や不動産などを売却した後に現金は受け取れますが、借入金の返済などがここから引かれますし、不動産を売却すると税金がかかってきます。
廃業を選ぶと手元に現金がほとんど残らなかったということが多いのです。
保育園の経営は順調で、問題なのは後を継いでくれる後継者が不在しているだけという場合なら、かなりの高額での事業譲渡が可能と思ってもいいでしょう。
事業を譲渡するということに抵抗を感じるオーナーもいらっしゃるかもしれませんが、自分が育てた保育園の事業を譲渡して現金が獲得できたということは、あなたが育ててきた保育園経営は成功したといえるのです。
事業譲渡と言えば、「経営不振による乗っ取り」ではと思う方もいらっしゃいます。
しかし、現在のM&Aは社会情勢にもマッチした、日本経済を成長させるスキームになっているのです。
保育園の事業譲渡の事例
保育園のM&Aと聞くと、有名なところでは、資生堂やJPホールディングなどの大企業同士の合併が思い浮かびます。
最近は、大手企業の傘下に入る保育園も増加傾向にあります。
上記企業以外にも、パートナーエージェントは、グローバルグループの子会社で保育園・保育施設を運営するグローバルキッズ(東京都千代田区)に保育園事業を譲渡しました。
パートナーエージェントは主力である婚活支援事業の周辺分野として、企業主導型保育事業(保育園)を展開してきました。
グローバルグループは企業主導型保育事業の大手で、社会問題化している「待機児童問題」を解消すべく保育施設を増設することを検討しています。
また、退職してしまった保育士たちにも復職するシステムも構築していく予定です。
女性の社会進出が進み、共働き夫婦が増え続けていますので、子供を預ける場所が常時不足状態です。
また、職場や住まいから遠い保育所に預けるのって結構負担になりますよね。
女性が多く働く企業では、職場内に保育施設を新設・増設することを検討してきています。
仕事中でも子供の様子を見ることができたら本当に助かりますよね。
将来性のある企業は「本当に従業員の働きやすさとは何か?」ということを常に考えているのです。
ただ、保育園を経営している企業が、大手だけとは限りません。
認可型、非認可型と合わせてもそんなに大手は少ないのです。
ほとんどが個人経営でしている保育園が多いです。
経営者が大手となれば資金面でも大きく成長できます。
施設や教育方針に関しても充実した内容になっていきます。
働く保育士たちの給料ベースアップも図れます。
深刻な保育士不足の解消にもなるのではないでしょうか。
充実した保育施設を完備して、優秀な保育を雇用継続できるということは、通う子供たちや保護者にとっても大きなメリットになるのではないでしょうか。
保育園の事業譲渡の事例から見る注意点
この項目では、前項でご説明した事例をもとに事業譲渡を行う上での注意点について4つご説明していきます。
保育士の離職を防げるか
今は世間全般に、人手不足問題が浮上しています。
これは保育業界でも例外ではありません。
賃金面、労働時間面でも保育士というのは今では人気の職業ではなくなっています。
子供が好きだけでは務まらない仕事です。
ですから貴重な人材ですよね。
この人材を失うことは避けたいです。
もし、M&Aによる事業譲渡を早々と公表してしまうと、「経営がうまくいってないのか?」というような間違った憶測を生んでしまいます。
保育士たちに公表するのは、もっと後の方でも十分大丈夫です。
譲渡先も見つかり、譲渡代金が入ってからでもおそくありません。
まずやらなければならないのは、新しい経営者にも保育士たちの雇用継続はもちろん待遇改善もきっちり契約条件に盛り込んでおくことです。
慣れ親しんだ職場をやめることはとてもつらいことです。
しかし、職場を変わることなく、仕事内容も大幅に変更されずに待遇面だけで改善されるとなると、退職を希望する保育士は皆無になるのではないでしょうか。
譲渡先にとってのメリットを明確にする
先程お話しました、保育士の離職防止ですが、譲渡先にとってこのベテランの保育士はとても大きなメリットです。
そして今すでに通っている子供たちと、その保護者も大切な事業価値です。
子供と保護者に直接対応しているのは保育士ですから、保育士さんがしっかりしていれば保育園経営はできます。
それくらい重要なポストですから、オーナーが採用して育て上げた保育士さんの素晴らしさをしっかり説明する必要があります。
長い時間が掛かる場合もある
M&Aには様々なスキームがあるのですが、どのスキームも完了までに時間がかかります。
なるべく時間をかけずに事業譲渡を行いたいと思いますよね。
それに保育園経営は本当に忙しいです。
事業譲渡にあまり時間がかけられないのではないでしょうか。
なるべく時間をかけずに事業譲渡を行う方法はあるのでしょうか?
ずばり結論を申し上げるならば、M&Aエージェントを探すことから始めるべきです。
ほとんどの保育園経営者にとって「M&A」は初めてだという方が多いと思います。
オーナーと譲渡先企業の間に入ってもらうM&Aエージェントは必要です。
譲渡先を見つける前に、エージェントを探しておいてください。
そして、M&Aが進んでいくうちに必ず資料が必要になってきます。
普段から経理スタッフや顧問税理士と財務データを充実させておく必要があります。
事業内容の見直しも必要です。
園児に対して他の保育園とは違う教育メニューを行っているならそれもすべて書面化しておくことです。
園児の名簿なども充実させておいてください。
保育士の人事考課表などもきっちりそろえておくことをお勧めします。
普段から資料を充実させて、いつでも見られるようにファイリングしておくことが大切です。
この作業をしておくと比較的短期間でM&Aを完了させることができます。
事業譲渡は人対人
保育園は子供を育てる場所です。
ただ預かっているだけではないですよね。
その子供たちには親がついています。
その親もまだまだ子育てに関しては成長途中ではないでしょうか。
子供たちと親たちにも頼られる存在が保育園です。
そんな少し難しい業界である保育事業を、第三者に譲るということをもう一度再認識してM&Aを行いましょう。
常に通っている子供たちの立場になって、またそこで働いている保育士の立場になって考えてみると、必ず、子供たちも保育士も、そしてオーナーにとっても幸せになれる事業譲渡が行えるはずです。
保育園の事業譲渡を行うなら
保育業界は特殊で、少し難しいといえます。
しかし、このような特殊な業界だからこそ事業価値が伝わりやすいとも言えます。
言い換えれば「売れる事業」なのです。
先程からお話してきた「待機児童問題」が保育園経営を後押しています。
また、政府の少子対策も保育園増設には追い風となっているでしょう。
国は保育士の待遇改善を進めていて、保育園経営を後押ししているのです。
時勢としては、保育園は売りやすい事業なのですが、やはりM&Aの経験が少ない保育園経営者が一人で行うことはとても危険です。
保育業界に精通しているスタッフが在籍するM&Aエージェントを探して、まず相談してみることをお勧めします。
保育園の事業譲渡を相談できるM&Aエージェントの例としてM&Aコンサルティング社があります。
事業を成長させてから譲渡するスケールM&Aが特徴ですので、現状抱えている経営課題についての相談もしやすいはずです。
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