医療機器卸のM&Aを検討中のオーナーが気をつけたい3つのポイント【事例もチェック】

医療費増加に伴う医療機器メーカーの生産量増と同時に、医療機器卸売業界の市場規模が拡大しています。

そんな中、収益低下による病院数の減少や医療費を含む社会保障費の抑制により、この先の医療機器卸売業界はより厳しい状況に陥ることでしょう。

既に再編の進んだ医薬品卸売業界とは違い、各医療機関との結び付きが強い地域密着型の企業が多いという特徴もあり、医療機器卸売業界内ではいまだに再編が進んでいない状況です。

今後、大規模な業界再編が予想される医療機器卸売業界における、M&Aの近況を紹介しましょう。

 

医療機器卸のM&A

昨今、医療機器卸売業界では、大手企業が中小企業を買収する形でのM&Aが行われる事例が増えています。

医療機器卸売業界自体の市場規模は拡大しているため、大手企業がスケールメリット(経営規模が大きくなるほど生産性や経済効率が上がること)による競争力強化を図っているからです

この章では、M&Aの基本的な知識やメリットについて説明します。

 

M&Aとは

M&AとはMergers and Acquisitionsの略で、新規事業・市場への参入や企業グループの再編などを目的として行われる企業の合併・買収の総称です。

日本でのM&A実施件数は増加傾向にあり、2018年のデータではM&A成約件数は3850件と過去最多を記録しました。

中でも、中小企業を中心にM&Aを実施する企業が増加しています。

 

事業譲渡・株式譲渡を行うメリット

次に、M&Aの手法のひとつである、事業譲渡や株式譲渡について考えてみましょう。

似ているようでいて全く違う、この2つのM&Aのメリットや、どういう場合にどちらを選ぶべきなのか、という点を確認していきましょう。

 

株式譲渡のメリット

株式譲渡は買い手側の企業に対し、売り手側が所有している全ての株式を売却することです。

取締役・監査役の専任など、重要事項の決定権を買い手側の企業へ譲渡する手法になります。

主に、後継者不足に悩む非上場の中小企業など、迅速に成約を目指したい場合に活用されています。手続き自体が契約書作成のみと、簡単であることが一番の特徴です。

 

そして、株式譲渡の手法で自社を売却した際、その価格には「のれん」、つまり独自に培ってきたノウハウや優良顧客との取引関係といった無形資産も含まれます。

買い手側の「のれん」への評価によって、その価値が売却価格に上乗せされ、株式譲渡を実施した時より、売り手は多くの金額が受け取れる可能性があります。

 

事業譲渡のメリット

事業譲渡は組織の再編や事業承継、組織の拡大といった目的で行われ、売り手側は現金が得られるほか、一部事業のみの譲渡で、あなたの残したい従業員や資産は保持できるメリットがあります。

これは事業譲渡を実施する企業同士が、どの程度までの事業を譲渡・継承するのか、あらかじめ契約によって定めておくために行います。

 

前述したとおり、買い手側としては、契約の範囲で事業をどの程度まで承継するかを定めておけるので、承継したくない負債などを除き、リスクを最小限に抑えた事業の譲渡を受けることができます。

また、事業譲渡を実施した際のれん相当額(「売り手企業の時価評価純資産」と「買収価格」との差額)を5年間償却の損金扱いとし、法人税を節約することもできるのです。

そのため、企業の中にはこのようなメリットを活かし、多くの事業譲渡を実施するケースもあります。

 

課税額から見る違い

M&Aを実施すると、売り手側にはある程度まとまった現金を得られるというメリットがあります。そこで、事業売却に対する両者の課税額の違いも確認していきましょう。

 

株式譲渡によるM&Aでは、「売り手(株主)に対して20%の所得税」のみが発生します。

しかし、事業譲渡によるM&Aだと、「買い手側には消費税」、「売り手側には法人税」の支払い義務が生じます。

 

消費税に関しては一般的な買い物と同様、事業の買取金額に8%(2019年8月現在)を加えて計算されますが、法人税は「のれんを含めた事業の売却益」が課税対象となり、税率は地方法人税や法人住民税など、様々な要素が絡んでくるので、その税率は一定ではありません。

しかし、一般的に買取金額の30%程度でしょう。

 

しかも、課税資産に対する消費税も発生するので、単純に「のれん」の価値が高いほど事業譲渡では課税額が高く、特に「のれん」代が大きいケースでは、株式譲渡によるM&Aの方が手元に残る現金が多くなる、という特徴があります。

 

医療機器卸がM&Aを行うケース

ここまで、M&Aの基本的な情報を紹介してきました。この章では、医療機器卸売業界で行われている主なM&Aを確認していきましょう。

 

全国展開を推進していきたい企業

2016年に、「小西協和ホールディング」の傘下入りで話題となった「シップヘルスケアホールディングス」をはじめ、スケールメリットによる競争力強化と相乗効果を期待したM&Aがあります。

特に、同じ地域でのグループ化や全国展開を進めたい有力グループ同士によるM&Aが活発です。

 

経営統合を目指す特定地域の事業者

医療機器卸売業界の上位企業10社が市場シェアの約4割を占め、有力グループが精力的にM&Aをする中、中小の医療機器卸売業者の経営は厳しさを増しています。

その打開策として、M&Aを実施して大手医療機器卸売業者の子会社になる動きが増加しており、業界再編が加速しています。

 

医療機器卸のM&Aでオーナーが得られるメリットとは?

医療機器卸売業界でM&Aによる業界再編の動きが活発化している背景で、オーナー(売り手側と買い手側)が得られるメリットは、数多くあります。ここでは、その中でも主に3つの実例を挙げましょう。

 

国内外における競争力強化

スケールメリットによる競争力強化は、大手企業や有力グループが買い手側となって行うM&Aです。

売り手側としても社会的信用を維持しつつ、買い手側が持っている「のれん」を共有することができるので、経営改善や販路の拡大、営業力の強化が可能となります

 

破綻企業再生

中小企業では営業利益が出ていても有利子負債が大きく、企業として優れた点を持っていても破綻してしまうことが少なくありません。

そんなときに売り手側としてM&Aを行うことで、既存の従業員の雇用保障や自社の持つ「のれん」の維持ができます一方、買い手側も競争力の強化に繋がるのでうれしい話になるでしょう。

 

後継者問題の解決

自社で培ってきた「のれん」や従業員の雇用、経営者自身の老後の人生設計にも関わってくる事柄であるだけに、後継者不足は医療機器卸売業界のみならず、全国の中小企業にとって頭の痛い問題です。

だからこそ、M&Aを実施して信頼できる買い手へ事業承継を行うことが後継者問題の解決に繋がるのです。

 

医療機器卸のM&Aを実施する際に気をつけるべきポイント3つ

ここまで、医療企業卸売業がM&Aを実施するメリットを紹介してきました。

次からは、医療機器卸特有の事業特性とも絡めて、実際にM&Aを検討するにあたり、気を付けておきたいポイントを紹介していきます。

 

ゼロからの新規参入ではなく、M&Aで新しいエリアに参入する

医療企業卸売業は地域密着型の企業が多く、医療機関との緊密な連携が必要な業種です。

そのため、医療機器卸売業が新たに他のエリアへ参入を検討する場合には、そのエリアで営業活動を行っている会社にM&Aなどを行い、事業譲渡することが非常に大切です

 

M&Aが成立するまでは誰にも話を漏らしてはいけない

M&Aを実施する上での注意点として、検討段階であっても基本的に他言無用です

M&Aを行うという噂が一度立ってしまうと、業界の中で「あそこは業績が悪化しているのではないか」、「経営方針の変更があるのではないか」といった噂話が拡がり、話の内容も飛躍してしまうおそれがあります。

 

また、社内でも従業員の不安感や不信感を煽ってしまうと、現場でのミスや人材の離職に繋がってしまいます。

そうなってしまうと、噂の真偽とは関係無しに取引先との契約を切られてしまったり、顧客が離れてしまったりする可能性があり、最悪、企業価値が下がってしまいます。

 

このような事態を避けるためにも、M&A実施に関しては内外には絶対に漏れないよう、リスク管理をしっかりと行うことが大切です。

 

M&Aのコンサル会社を利用してしっかり対策を

売り手と買い手、両者が満足のいくように契約をまとめるには、専門家へ依頼をするのが一般的です。

M&A仲介会社に依頼し、間に立ってもらうことでスムーズに物事が進むと思います。こういった手法以外の部分で、どのような形でM&Aを実施するのかという点をあらかじめ決めておくのも、非常に重要なポイントのひとつです。

 

医療機器卸のM&A事例

M&Aを実施するにあたって注意すべき点を確認したところ、次は実際に行われた医療機器卸売業のM&A事例を紹介しましょう。

 

大丸エナウィン株式会社:医療用ガス販売会社を子会社化

「大丸エナウィン」では、LPガスの販売を中核とするリビング事業(オール電化をはじめとしたエネルギー関係の住宅設備を提供)を中心にアクア事業、医療・産業ガス事業も展開しています。同社は大阪など、近畿地方を中心に医療用ガス販売などを行う「サンキホールディングス」の全株式を取得しました。

これにより、今後は「大丸エナウィン」グループの医療・産業ガス事業における経営基盤強化を図っていくことになりました。

 

株式会社幸和製作所:大阪の福祉用具メーカーを子会社化

「幸和製作所」はシルバーカー、歩行車、杖などの歩行補助を目的とした製品が主力の介護用品・福祉用具総合メーカーです。

同社は介護保険対象種目となる手すりやスロープ、入浴補助具などの福祉用具の製造・販売を行う「シクロケア」の株式を取得し、子会社化することを決定しました。

これにより今後、「幸和製作所」は取り扱い製品の領域拡大・強化による業性向上を目指していくそうです。

 

朝日インテック株式会社:米国の研究開発企業を買収

「朝日インテック」は主にカテーテル治療に使用される医療機器の開発・製造・販売を行う医療機器メーカーです。

同社は子会社を通じ、医師と協力してPTCA治療(心臓の血管(冠動脈)におけるカテーテル治療)の新たな治療方法や医療機器の研究開発を進めている米国企業、「Retro Vascjlar,Inc.」の株式を取得し、子会社化することを決定しました。

これにより、「朝日インテック」は「Retro Vascjlar,Inc.」で研究されてきたプラズマ・エネルギー関連技術と自社の技術を融合させることで、治療技術の向上に繋がる医療機器の開発ができるようになりました。

 

医療機器卸のM&Aを相談するなら

医療関係事業の譲渡はその特殊性・専門性から、一般企業の事業譲渡と比較すると非常に難しいと言われています。

これまでお伝えしたとおり、M&Aを検討する上では情報漏洩対策など、リスク管理が最も重要なことです。

また、業界内で一定の成約実績があることも必要不可欠です。

そのためファイナンシャルプランナーやM&A仲介会社をはじめとした、幅広い専門的知識を持つ専門家へ依頼したほうがいいでしょう。

自社にとって理想的な条件でM&Aを成功させたいと考えるならば、まずは専門家に相談するべきです。

 

M&Aの専門家に相談するなら、スパイラルコンサルティング社への相談がおすすめです。

相談は無料なので気軽に話を聞くことができますし、成果報酬制なのでM&Aが成功するように全力でサポートしてもらえるでしょう。

豊富なM&Aノウハウを持っており、様々なアドバイスをもらうことができます。

一度ご相談してみてはいかがでしょうか。

 

スパイラルコンサルティング社

 

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