
「製造業を経営しているけれど、そろそろ事業譲渡をしたい」なんて、お考えではないでしょうか。
自分が経営から退くとしても、今までやってきた会社をなくしてしまうのは避けたいところですよね。
そのために、経営者が変わる際には事業譲渡が活用できます。ある程度の規模の製造業を経営しているなら、譲渡先も見つかりやすいです。
今回は、製造業の事業譲渡のポイントを実際にあった事例から読み取っていきます。
事業譲渡のポイントをおさえて、製造業の売却を成功させましょう。
目次
製造業(メーカー)が事業譲渡の道を選ぶメリットとは
まずは、製造業の経営者が事業譲渡の道を選ぶメリットを見ておきましょう。
事業譲渡をするメリットは、以下の5つです。
・経営のプレッシャーから解放される
・後継者問題の解決
・事業の拡大や支社数の増加
・従業員の雇用安定や待遇改善
・譲渡による現金獲得
これらのメリットは、製造業の経営から退くときには嬉しいものばかりです。
なので、せっかく5つのメリットがあるのに事業譲渡をせずに廃業してしまうのはもったいないと考えられます。
それでは、それぞれのメリットについて、順番に確認していきましょう。
経営のプレッシャーから解放される
会社を事業譲渡することによって、あなたは今までのような経営のプレッシャーから解放されます。
ある程度の規模を持った製造業の経営は、毎日考えることも多く非常に大変です。
そのような状況で、経営者はさまざまなことに責任を持たなければならない立場だと言えます。
製造業は従業員数も多くなりやすいので、たくさんの人を雇っているプレッシャーを常に感じ続けなければなりません。
そのような生活を続けていると、知らないうちにストレスがたまっていることもよくあります。
プレッシャーは会社経営をしている限りずっとつきまとうものなので、少しでも負担に感じているなら自社を事業譲渡するのも1つの方法だと言えます。
後継者を見つけて育成するのには時間がかかる上に、事業の引き継ぎにより多くのプレッシャーがかかるケースがほとんどです。
しかし、事業譲渡であれば買い手側とあなたがお互いに条件に合意すれば円滑に事業を譲ることができます。
もしも製造業の経営の経験者を見つけることができたなら、安心してリタイアすることが可能です。
廃業は、従業員や取引先にも迷惑がかかってしまいます。事業譲渡を行えば、自社は存続するのでそのような心配はいりません。
製造業の経営に疲れたときは、事業譲渡を考えてみるのが良いでしょう。
後継者問題の解決
製造業の事業譲渡を行うことによって、後継者問題を解決することができます。
後継者が見つからないために、経営からリタイアすることができないという経営者は多いです。会社経営に興味のある若者が身近にいなければ、なかなか事業を引き継ぐのは難しいと思います。
特に規模の大きな製造業の場合、簡単に後継者が見つかりにくいです。
親族や従業員といった身近な人が経営を引き継いでくれない場合は、外部の第三者から自分で探さなければなりません。
しかし、後継者候補が出てきたとしても、あなたと同じレベルになるまで教育をするには時間がかかります。
そのようなときは、事業譲渡をすることによってすぐに経営に取りかかる能力のある後継者が見つかる可能性があります。
あなたの会社が魅力的なものであれば、お金を支払ってでも経営を引き継ぎたいと考える人が出てくるものです。
後継者がいないから頑張って経営を続けるか廃業するしかないと思っているなら、その前に事業譲渡ができないかを試してみてください。
廃業を避けて経営が続けば、自社の製品は今後も世の中に出回り続けていきます。
事業や販路の拡大
自社の拡大や支社数の増加をするときにも、事業譲渡は活用できます。
たとえば、ビジネス規模を拡大したいと考えているけれど、資金が足りないということはよくあることです。
製造業で新たな製品を作ろうと思えば、工場のラインを増やすなどさまざまな対応をしなければなりません。
手軽に事業の拡大をしたいなら、事業譲渡を行うのが最適です。
自社を事業譲渡することで資金が足りている買い手に経営を引き継ぐことができれば、譲渡先の資金力を経営に使ってもらうことができます。
それによって、あなたが夢に描いていたような事業の拡大や支社数の増加が叶うのです。
事業譲渡と聞くと経営からのリタイアの手段だと思っているオーナーもいるかもしれません。しかし、将来の経営状況の向上を見据えたポジティブな事業譲渡もよくあります。
前向きな資金調達のために、事業譲渡を行うことも検討してみてください。
製造業なら計画的な事業や販路の拡大を行うことで、今以上に会社が発展していくでしょう。
従業員の雇用安定や待遇改善
製造業の事業譲渡を行うことによって、雇っている従業員の雇用安定や待遇改善を行うこともできます。なぜなら、買ってくれる先の資金力や人員も活用することができるようになるためです。
ある程度の規模の製造業であれば、かなりの人数を雇っていることもあるでしょう。
経営資源が豊富な会社に自社を買ってもらえば、今まで以上に従業員の待遇が良くなることは珍しくありません。
現在の資金力では簡単に従業員の待遇を改善できない場合でも、事業譲渡を行って従業員にとって良い条件で経営を引き継いでくれる買い手を見つければ、問題は解決できます。
ちなみに、従業員の待遇改善を狙って事業譲渡をするときには、買い手側との交渉をしっかり行いましょう。
買い手によっては、今までよりも従業員の待遇が悪くなる条件を提案してくることがあるかもしれないためです。
詳細な契約内容まで確認した上で、事業譲渡を行ってください。
譲渡による現金獲得
製造業を事業譲渡することによって、多くの場合で経営者は現金を手に入れることができます。そうなれば、あなたのリタイア後の生活は楽になるはずです。
さらに、今まで働いてくれていた従業員が事業譲渡にあたってやめることになったとしても、譲渡利益を手に入れることによって、退職金を支払えるようになります。
現金が得られることで損をすることはないので、経営から退こうと考えているなら事業譲渡を検討するべきです。
譲渡利益がどれくらいになるのかは、会社の規模や経営状況、業種などによって大きく異なります。
ある程度の規模の製造業であれば、高額になることも多いです。
廃業してしまうよりも得になると考えて、積極的に事業譲渡を考えてみてください。
以上が、製造業の経営者が事業譲渡を行うメリットでした。
どのメリットも会社経営をしている経営者にとっては魅力的なものです。
廃業を行う前に、事業譲渡ができないのかを冷静に考えてみてください。
そうは言っても、事業譲渡をしたことがなければあまり現実的なイメージがわいていない人も多いと思います。
そこで、製造業の事業譲渡の事例を確認しておきましょう。
製造業(メーカー)の事業譲渡の事例
製造業で実際に行われた事業譲渡の事例を確認することで、事業譲渡を行う際のポイントを知ることができます。
身近に事業譲渡を行った人がいない場合でも、事例を見ることで具体的にイメージが思い浮かぶでしょう。
今回確認するのは、富士紡ホールディングスと東京金型の事例です。
東京金型株式会社は埼玉県で金型設計製造を行っていました。東京金型株式会社は、創業者である経営者から後継者へ事業を引き継ぐときに創業者一族が持っていた株式を大手化学素材製造業だった富士紡ホールディングスに譲渡することにしたのです。
それによって、創業者一族の連帯保証や相続税といった問題を解決しました。
このように、意味のある事業譲渡を行えば、事業の引き継ぎが上手くいきやすくなります。
ある程度の規模の製造業であれば、さまざまなことに気をつけなければなりません。
たとえば、親族内承継で株式を引き継ぐときには、贈与税や相続税が高額になりやすい、などです。
税金対策をしっかりしておかなければ事業を引き継いでから後継者が資金繰りに悩むことも考えられます。そうなると、安心して会社経営を行うことができません。
なので、必要に応じて外部の第三者に承継してもらうこともポイントです。
大規模な製造業の事業承継を行うなら、今回の事例のように幅広いことを考えて引き継ぎを行ってください。
ちなみに、製造業の事業譲渡を行う際には他にもさまざまな注意点があります。
ここからは、製造業で事業譲渡を行うときに重要な4つの注意点を確認していきましょう。
製造業(メーカー)の事業譲渡の事例から見る注意点
事例から見る製造業を事業譲渡する際の注意点は、以下のようなものです。
・他者には真似できない技術や製品
・譲渡先にとってのメリットを明確にする
・長い時間が掛かる場合もある
・事業譲渡は人対人
これらの注意点をおさえておかなければ、製造業の事業譲渡を成功させることは難しいです。
せっかく自社の事業譲渡を行うなら、注意点を理解して成功の確率を高めましょう。
それでは、それぞれの注意点について、順番に確認していきます。
他社には真似できない技術や製品
製造業の事業譲渡を行うにあたって、他者には真似できない技術や製品があるかどうかは非常に重要です。
自社以外も簡単に作ることのできる製品だけを扱っていても、譲渡先は見つかりにくいと言えます。
したがって、他者が真似しにくい高い技術力や、素晴らしい製品を作れるように事業の磨き上げをするべきです。
そのためにはまずは現段階の自社製品について深く考えなければなりません。
他者が行うことができないような技術があるなら、積極的にそれを譲渡先候補にアピールしていきましょう。
また、すでに人気のある商品を製造できているなら、事業譲渡においてはかなり強い武器になります。
事業を購入するだけでブランド力のある製品を手に入れられるのは、事業の買い手としては嬉しいものです。
なので、事業譲渡を考えたなら最初に自社製品について分析してみてください。
譲渡先にとってのメリットを明確にする
製造業の事業譲渡をするなら、譲渡先にとってのメリットを明確にすることが大切です。
会社を買おうと思ったとき、あなたも自社にとってメリットがある会社を売り手に選ぶと思います。したがって、自分が売り手に回る場合は相手側に対してメリットをアピールしなければなりません。
メリットが無いと判断されると、買い手は離れていってしまうのです。
たとえば製造業であれば、技術力や従業員数、工場の数などさまざまなものをアピールできると思います。
他社にとって自社を買えばどのようなメリットが出てくるのかを考え、しっかりアピールしていきましょう。
長い時間が掛かる場合もある
製造業の事業譲渡を行うなら、場合によっては長い時間が掛かるケースがあることも知っておく必要があります。
事業譲渡は経営権を譲るだけで、すぐに行えると思っている人もいるかもしれません。
確かに事業譲渡は買い手側と売り手側が条件に合意すれば行えます。しかし、そもそも一般的には、会社の譲渡先を見つけるのにも時間がかかるのです。
規模の大きい製造業の会社なら、特に譲渡先を見つけるのに時間がかかるかもしれません。
したがって、事業譲渡をすると決めてからすぐに自社を誰かに引き継ぐことができるとは思わないほうが安心です。
できるだけ早めに事業譲渡に取り掛かり、長い目で見て納得のいく相手を見つけましょう。
そうは言っても、できるだけ早めに会社を譲ってしまいたいというオーナーもいるはずです。
そのようなときは、専門家の力を借りることがいち早く事業譲渡を成功させる鍵だと言えます。
事業譲渡は人対人
製造業の事業譲渡は、譲渡先と譲渡元という2人の人間が行うことです。
譲渡利益や譲渡条件について考えることは非常に重要ですが、相手も同じ人間であることを何よりも理解しておきましょう。
人対人のコミュニケーションも、事業譲渡を行うにあたっては大切なのです。
製造業はどのような物を作っているのかもポイントになりますが、事業譲渡の際には経営者の人柄まで見られています。
事業譲渡を成功させるためには、常にていねいに接し、相手と良好な関係を築いていきましょう。
以上が、製造業の事業譲渡を行うにあたっての注意点でした。
さまざまなことに注意しなければならないことに不安に思った人も多いと思います。
したがって、事業譲渡を成功させたいなら、専門家に相談すれば安心です。
製造業(メーカー)の事業譲渡を行うなら
製造業の事業譲渡を行うなら、M&Aアドバイザーなどの専門家に相談するのが良いです。
事業譲渡のプロにアドバイスをもらうことによって、思うような譲渡にしやすくなります。
専門家に相談なんてしたことがなくて不安だと感じるオーナーもいるかもしれません。
しかし、多くの専門家はあなたの会社の今後のために力を貸してくれる存在です。
自分だけですべてを抱え込もうと思わず、一緒に事業譲渡の成功のために頑張ってくれるパートナーを見つけてください。
良いパートナーを見つけて納得のいく事業譲渡をしましょう。
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