IT企業の事業譲渡【事例から読み解くポイント】

「IT企業の事業譲渡を考えているが、だれに相談してよいか分からない」

「具体的に、何から始めればよいのだろう」

このような悩みを抱えるIT企業のオーナーもいらっしゃるのではないでしょうか。

 

この記事では、IT企業のオーナーが事業譲渡を選択するメリットや実際の事業譲渡事例、押さえておきたい注意ポイントを解説します。

IT企業の事業譲渡を検討するうえで、ぜひご活用ください。

 

IT企業が事業譲渡の道を選ぶメリットとは

事業譲渡とは、事業の一部ないし全部を、企業などの第三者に譲り渡すことです。

IT企業のオーナーが、事業譲渡という道を選ぶメリットとしては、主に次の点が挙げられます。

・経営のプレッシャーから解放される

・後継者問題の解決

・事業や店舗の拡大

・従業員の雇用安定や待遇改善

・譲渡による現金獲得

 

経営のプレッシャーから解放される

IT企業のオーナーは日々、経営の大きなプレッシャーを抱えています。

原材料や部品など仕入費の高騰、人手不足による人件費の上昇やライン人員確保の困難化、元請けや下請けとのトラブル、資金繰りなど、ストレスは尽きません。

 

事業譲渡によって、オーナーはそうしたプレッシャーから解放されます。

廃業を選んでも解放はされますが、同時に事業もなくなってしまいます。オーナーとして、事業を良い形で卒業できた満足感や達成感は得られません。

企業などの第三者に事業譲渡する場合、買い手に資本力があれば、自分が手がけていたときよりも事業が成長・拡大していく可能性が高いです。

経営のプレッシャーから解き放たれると同時に、事業の成長を見届けることができるという喜びも生まれます。

 

後継者問題の解決

中小企業庁によれば、中小企業においては60歳以上のオーナーの約半数が、事業を引き継ぐ後継者がいない問題を抱えています。IT企業のオーナーにおいても事態は同じです。

子どもがいない、いても自社より将来性のある企業に勤めているなどの事情で事業を継ぐ意志がない、またはオーナーを任せるだけの度量がないためIT企業を継げないなど、子どもなどの親族がスムーズに事業を継ぐのは、一般的に予想されているよりも困難です。

子どもが事業を承継する場合でも、IT企業のオーナーとして求められるだけの知識や実地経験を重ねるには、数年スパンの後継者教育が必要となります。

こうした背景から、後継者問題で悩んでいるオーナーが事業譲渡を選択するケースが増えてきています。

 

事業や店舗の拡大

IT事業に将来性があるのに、事業を拡大するために必要な資金を捻出できない場合、事業譲渡は有効な解決策となります。

資金だけではなく、事業拡大に必要な企画力や技術をもった人材が確保できない場合も、大手企業への傘下入りにより、自社では採用できない高レベルな人材を派遣してもらえることが可能です。

 

従業員の雇用安定や待遇改善

事業譲渡を検討していて、譲渡後における従業員の処遇が気になる場合は、従業員の雇用継続を最優先条件として、その条件に理解と共感を示してくれる買い手を探すことができます。

買い手の資本力が自社よりも大きい場合は、事業譲渡によって、従業員の福利厚生や待遇の改善も可能です。

中小・零細企業では、従業員の福利厚生まで力を入れるのは難しいため、そうした効果を狙って事業譲渡したケースも存在します。

 

譲渡による現金獲得

事業譲渡におけるメリットのひとつとして挙げられるのは、譲渡益として、ある程度の金額の現金(創業者利益)を得られることです。

IT事業の価値には、純資産額だけではなく、技術やサーバー運営などのノウハウ、高い技術をもった優秀な人材、取引先リストなど、帳簿上の数字では表せない無形資産(のれん)が含まれます。

買い手は、事業譲渡によってIT事業の将来性を買うため、無形資産が高く評価されれば、純資産額にのれん代が加算され、オーナーがこれまで出資してきた資本分を上回る譲渡益が手に入る可能性があります

引退までに受取が予想される役員報酬総額を、譲渡益が超えるのであれば、事業を譲渡してアーリーリタイアを満喫する資金に譲渡益を充てることも可能です。

 

IT企業の事業譲渡の事例

それでは、IT企業における事業譲渡の事例を紹介します。

 

事業譲渡により、事業の選択と集中を実現

アルムは2018年8月、顧客行動分析AIツール「FollowUP」に関する事業を、データセクションに2億5000万円で事業譲渡する旨を発表しました。

アルムは、デジタルコンテンツ配信における著作権保護に関するソフトウェア開発を目的として、2001年に旧名スキルアップジャパンとして設立されました。

以降、スカイパーフェクト・コミュニケーションズやフジテレビジョンの動画配信事業に対する、配信ソリューションの提供などを行ってきましたが、2013年に動画配信プラットフォーム事業を、スキルアップ・ビデオテクノロジーズに事業承継しています。

2014年に、医療関係者向けのコミュニケーションアプリである「Join」提供をスタート、本格参入と機に、アルムに商号を変更しました。

「Join」は、院内にいない医師から指示がほしい場合などに、医療用画像管理システムなどとの連携のもと、リアルタイムで医療情報を共有できるアプリです。

ほかにも、介護や看護分野でも同様のアプリ「Kaigo」「Kango」などを展開しています。

 

事業譲渡する「FollowUP」は、店内のビデオカメラを通した高度な画像認識により、店舗の入店・退店者数を自動カウントする小売店向け店舗分析ツールです。

譲渡先のデータセクションは、画像解析エンジン開発などのAIソリューションや、ソーシャルメディア分析・風評リスク対策などを展開しています。

この事業譲渡により、アルム側は事業の選択と集中を行った結果、医療関連事業への更なる集中、データセクション側はAIソリューションにおける製品ラインナップの拡大を実現しています。

 

事業譲渡により、更なる事業拡大や現金獲得を実現

Labitは2014年4月に、「すごい時間割」と学生領域に関する事業を、リクルートホールディングスの完全子会社であるジョブダイレクトを事業譲渡する旨を発表しました。

譲渡額は非公開で、事業譲渡に伴う人事異動などはありません。

Labitは、鶴田浩之氏が大学在学中に設立した会社です。

「すごい時間割」は、大学の時間割をスマートフォンを通して友人などと共有できる無料アプリで、2014年時点でユーザー数は累計約20万人に達していました。

総務省によると、2012年時点で大学生は約256万人であり、鶴田氏が事業譲渡を決めた理由として、更なるユーザー数獲得のためにマスに向けた施策が必要な点を挙げています。

ジョブダイレクトは、求人サイト「ジョブダイレクト」(2017年に閉鎖)運営や、営業リスト作成や高精度名寄せなどのWebクローリングサービス、データ管理・活用サポート事業を提供する企業です。

Labitは、2012年にリクルートの投資子会社を引受先とした第三者割当増資の実施により、リクルートとの縁ができました。

以降、新卒向けサービスを運営するリクルートグループとの相互送客や共同プロモーションなど、双方メリットを感じ合う取り組みを通して、ジョブダイレクトに事業譲渡することを決定しました。

 

鶴田氏は「すごい時間割」譲渡後も、「Game8」(Gunosy社へ譲渡済)や「ブクマ」など次々に新規事業を展開し、2017年にはメルカリに参画、子会社ソウゾウの執行役員として新ステージに挑戦しています。

 

IT企業の事業譲渡の事例から見る注意点

ここまで、IT企業における事業譲渡の事例を紹介してきましたが、実際にIT企業の事業譲渡を行ううえで、押さえておきたい注意ポイントを解説します。

・社員のスキルや年齢によって譲渡額が左右されやすい

・譲渡先にとってのメリットを明確にする

・長い時間が掛かる場合もある

・事業譲渡は人対人

 

社員のスキルや年齢によって譲渡額が左右されやすい

一般的に、IT企業においては、高いスキルを持った比較的若い社員は貴重な無形資産とみなされ、抱えている社員のスキルや年齢によって、譲渡額が左右される傾向があります。

事例にあったLabitの鶴田氏のように、大学生が在学中にスタートアップ企業を設立し、一部の事業を譲渡したり、企業を丸ごと株式譲渡するケースも多いです。

鶴田氏と「すごい時間割」のように、オーナーやサービスの知名度が譲渡時点で高ければ、話題性も加味されて譲渡額は上がる可能性があります。

 

譲渡先にとってのメリットを明確にする

事業譲渡においては、買い手は事業を譲り受けることで、シナジー効果を期待します。

シナジー効果とは、譲り受けた事業によって自社事業の付加価値が上がるなど、譲渡前と後を比べて、事業価値が拡大することを指します。

事例で見たように、アルムはデジタルコンテンツ配信や画像認識技術という強みを持ち、譲渡する「FollowUP」事業も、画像認識により入退店数を自動カウントするAIツールという、特徴がニッチで分かりやすく、関連企業に訴求しやすい事業でした。

データセクションの事業内容は画像解析などのAIソリューションと、アルムとの相性がよく、「FollowUP」の譲り受けが看板商品の増加というメリットを生むことが簡単に予測できます。

IT企業の事業譲渡においては、自社の事業を譲り渡すことによって、買い手にどんなメリットを与えるのかを明確化してアピールにつなげましょう。

そのためには、譲渡する事業がもつ強みと弱みを客観的に分析し、明確化する必要があります。

事業譲渡を成功させるために最も重要なポイントは、売り手の事業を譲渡することでシナジー効果が見込まれる買い手とのマッチングです。

 

長い時間が掛かる場合もある

事業譲渡に際しては、シナジー効果が見込まれる相手を見つける工程に、長い時間がかかるケースもあります。

たとえば、アルムとデータセクションは事業内容の相性がよく、譲渡する事業が買い手に与えるメリットも伝わりやすかったですが、譲渡する事業の特徴があまりにニッチすぎると買い手を選んでしまうこともあります。

ほかにも、事業における着眼点がよく、大企業が資本を注入できれば業績改善が見込まれるが、業績不振や事業に関連する負債などを抱えている場合も、なかなか買い手が現れません。

最適な買い手と巡り合うためにも、準備は早めに進めるよう心がけましょう。

 

事業譲渡は人対人

事業譲渡は、最後は人対人であり、買い手のオーナーを人間として信用できるかといった観点も重要になってきます。

事例から、Labitが譲渡先としてジョブダイレクトを選んだのも、第三者割当増資で縁ができて以来、共同プロモーションなどを通して譲渡先のビジョンや考え方に触れ、育ててきた事業を委ねるだけの信頼感を抱いたという経緯もあるでしょう。

ほかにも、従業員の雇用確保を最優先条件としている場合は、条件に理解と共感を示してくれて従業員を大切に扱ってくれるかどうかといった、オーナーの人間性が最大の決め手となります。

事業譲渡などのM&Aはお見合いに例えられることもあり、最後は買い手に信頼と共感を感じるかという要素が意外にも大切なため、事業譲渡に際しては、相手の基本的な考え方や人柄を理解できるようになるまで、何度も話し合いを重ねることが必要です。

 

IT企業の事業譲渡を行うなら

IT企業における事業譲渡の事例と注意ポイントを紹介しましたが、いざ自分で行おうと思ったときに、何から手をつけてよいか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんなときは、事業譲渡の専門家であるM&Aアドバイザーへの相談をおすすめします。

IT企業の事業譲渡は非公開の事例が多く、大企業や話題性のある企業でなければニュースとして取り上げられることも少ないため、事例を収集して学ぼうとするのは難しいです。

しかし、IT企業の事業譲渡に精通しているM&Aアドバイザーに相談すれば、独自の情報ネットワークによりストックしている豊富な過去事例や、IT業界に特有の注意ポイントなどを教えてもらえます。

 

着手金不要な成果報酬型なら、事業譲渡が決定するまでは無料で相談可能です。

事業譲渡を行うかどうか検討中の段階でも相談に乗ってもらえるため、活用してみてはいかがでしょうか。

 

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より満足できる事業継承にするためにも、一度ご相談してみることをおすすめします。

 

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