人材サービス業の事業譲渡【事例から読み解くポイント】

「人材サービス業の事業譲渡を検討しているけれど、具体的にどうしたらよいか分からない」

「相談できる人がいない」

そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

人材サービス業の事業譲渡について学ぶには、実際の事例にあたるのが最も効果的です。

 

この記事では、人材サービス業のオーナーが事業譲渡を選ぶメリットや、実際の事例、事例から学ぶ注意点などを解説します。

事業譲渡を検討するうえで、ぜひ参考にしてください。

 

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人材サービス業が事業譲渡の道を選ぶメリットとは

事業譲渡とは、事業の一部もしくは全部を、第三者に譲渡することを指します。

人材サービス業のオーナーが事業譲渡を選ぶメリットとして、次が挙げられます。

 

  • 経営のプレッシャーから解放される
  • 後継者問題の解決
  • 法令への対応強化
  • 従業員の雇用安定や待遇改善
  • 譲渡による現金獲得

 

経営のプレッシャーから解放される

人材サービス業のオーナーは、経営のプレッシャーに日々苦しんでいます。

昨今の人手不足によって競合他社との価格競争が激化しスタッフが確保できないこと、労働関連の度重なる法改正とそれに伴うコスト増など、悩みは尽きません。

 

事業譲渡を行えば、オーナーはそうしたストレスから完全に解放されます。

廃業を行っても、経営のプレッシャーは消えますが、事業も消滅してしまいます。

そのため、オーナーとして事業をやり切った達成感や満足感に浸ることができません。

 

また、第三者への事業譲渡においては、譲渡先の資本力が自社よりも大きければ、事業が今後も成長・展開していく可能性が大きいです。

経営上の重責から解放された状態で、事業が今度どう成長していくかを客観的な目で見守るという楽しみも生じます。

 

後継者問題の解決

中小企業白書によると、60歳以上のオーナーが経営する中小企業の約5割が、後継者の不在に悩んでいます。

それは、人材サービス業のオーナーにおいても同じ状況です。

オーナーに子どもがいない、いたとしても別の会社で働いているなどの理由で事業を継げない、もしくは子どもにオーナーとしての素質がなく人材サービス業を継げないなど、子どもや親族が事業を承継するのは実はなかなか難しいのです。

また、子どもが事業を継ぐ場合も、オーナーに必要な知識や経験を積むのには、年単位の教育が必要となり時間がかかります。

 

このような事情から、後継者不在だけれど事業を存続させたい場合に、事業譲渡を選択するオーナーが増加してきています。

 

法令への対応強化

人材サービス業とは切っても切れないのは、法改正への対応です。

たとえば、派遣法改正によって登録スタッフへの教育訓練が義務化されたため、自社でセミナーを実施したりなどのコストがかかります。

ほかにも、特定派遣事業からの切り替えには、新制度への対応や環境整備など、さらなるコスト増が必要です。

今後も、法令への対応がより強化されていくことが予想され、コストと人員を割ける余裕がない場合に、事業譲渡を選択するケースもあります。

 

従業員の雇用安定や待遇改善

事業譲渡後に、従業員の雇用がどうなるかが気にかかる場合は、従業員の雇用継続を条件に掲げ、条件を受け入れてくれる譲渡先を探すことも可能です。

さらに、譲渡先に資本力がある場合、雇用継続にとどまらず、従業員の待遇や福利厚生が改善するケースもあります。

人材サービス業は、登録スタッフの福利厚生が充実しているかどうかもスタッフが登録してくれる決め手となるため、事業譲渡により登録スタッフ増加も見込めます。

 

譲渡による現金獲得

事業譲渡を選んだ場合、創業者利益として一定額の現金を入手できることがあります。

人材サービス業の事業価値には、純資産額に加えて、登録スタッフの質・人数・定着率や、スタッフを派遣している顧客リストやネットワークなどの、帳簿からは計れない無形資産(のれん代)が含まれます。

事業譲渡において、譲受先は事業の未来を金銭で買うという意味合いがあり、譲渡先が無形資産の価値と将来性を評価すれば、のれん代分が純資産額にプラスされるのです。

譲渡益が、オーナー引退までに見込まれる役員報酬の総額を上回るのなら、事業が高く売れるうちに事業譲渡して、第二の人生を楽しむ資金に充てることもできます。

また、金融機関からの借り入れ用に個人保証や自宅に抵当権を入れている場合、譲渡先が債務を承継してくれた場合は、個人保証からも解放されます。

しかし、廃業を選んだ場合は、人材サービス業の将来性は全く関係なく、土地や設備などを叩き売った処分価額しか入手できません。

 

人材サービス業の事業譲渡の事例

それでは、人材サービス業における事業譲渡の事例を紹介します。

 

事業の選択と集中のため、事業譲渡を選んだ事例

総合人材サービス業のクリエアナブキは、2016年に東京支店の人材派遣事業を、施設運営管理や人材サービス業などを運営するトヨタエンタプライズへの事業譲渡を行いました。

クリエアナブキは、香川県に本社を置き、中国・四国地方をメインに人材サービス業を展開する企業です。

2014年3月期には最終赤字に転落してからは、メインとなる人材派遣事業は中四国地方に特化し、競合他社との競争が激化する首都圏では、中四国地方へのUターン・Iターンのサポートや、中四国企業の採用活動のコンサルティングといった利益率の高い一部事業に特化し、収益の安定化を図っていました。

そのため、クリエアナブキは中四国地方での売上・シェア拡大に特化し、関東地方では上記の一部事業を残して人材派遣事業からの撤退を検討していました。

 

一方、関東地方での人材派遣事業拡大を目指していたトヨタエンタプライズとのニーズが一致し、事業譲渡の実現となりました。

クリエアナブキは、トヨタエンタプライズへの事業譲渡後、同じく2016年には「中国・四国UIターンセンター」を東京都渋谷区に開設、2017年には大阪市北区に開設しています。

目指したのは、人手不足にあえぐ中四国地方の企業と、大都市圏の求職者とのマッチングです。

2018年には、大阪支店の人材派遣事業を、同じく人材サービス業で大阪に本店を置くライクスタッフィング(ライクの子会社)に事業譲渡しました。

それに伴い、大阪支店を廃止して大阪市北区の上記センターに事業所を一本化し、重複するコストを削減しています。

クリエアナブキは他にも、岡山県倉敷市から事業を受託し、上記センターに倉敷市への就業サポート窓口設置や、ベトナムに駐在事務所を設置し、グループ会社の専門学校を卒業して帰国するベトナム留学生の日系企業就職サポートなどの事業を展開し、現在では増益を実現しています。

 

この事例では、事業譲渡によってクリエアナブキが、人材派遣事業における中四国地方への特化と、事業の選択・集中を進めているのが分かりやすいです。

 

業績不振により、事業譲渡を選んだ事例

人材サービス業のデータリンクスは、2016年に、リクルートグループ内の人材派遣会社であるリクルートスタッフィングに、IT派遣などの一部を除いた、すべての人材派遣事業を譲渡しました。

データリンクスは、1992年からBPOサービスのメインとして人材派遣事業を運営し、横浜・大宮・仙台と拠点を拡大してきました。

しかし、リーマンショック以降は、労働関連の法改正や派遣人員の確保難などから、売上減少が止まらない状況に悩まされます。

営業所の閉鎖などのコスト削減や営業力強化を行ったものの、派遣法の改正などによるコスト増見込みから、収益改善が困難と予測し、人材派遣事業の譲渡を決断しました。

 

リクルートスタッフィング側は、自社の営業力やスタッフリソースと、データリンクスが保有する通信業界における顧客ネットワークとのシナジー効果を期待して、事業の譲受けに合意しています。

データリンクスはこの後、2017年にシステム会社のDTSによって完全子会社化され、2017年7月には上場廃止となりました。

 

人材サービス業の事業譲渡の事例から見る注意点

それでは、人材サービス業における事業譲渡の事例から見る注意点を解説します。

 

  • 登録派遣スタッフの人数や定着率
  • 譲渡先にとってのメリットを明確にする
  • 長い時間が掛かる場合もある
  • 事業譲渡は人対人

 

登録派遣スタッフの人数や定着率

人材サービス業の事業価値においては、登録スタッフの人数や定着率が大きな要素となります。

データリンクスが、業績不振というデメリットがありながらも事業譲渡を実現できたのは、通信業界で活躍できる登録スタッフを抱えていた点が大きいです。

 

人手不足のため、登録スタッフの確保難は、人材サービス業の競合他社にも共通する悩みです。

そのため、IT事業など特有の業界に強いスタッフが多数いるなど、抱えている人材の質・数と定着率は、自社の強みに直結します。

客観的なデータで強みを提示できるよう、事前に強みを分析し準備しておきましょう。

 

譲渡先にとってのメリットを明確にする

譲渡先が、事業を譲り受けたい理由のひとつに、シナジー効果の期待があります。

シナジー効果とは、譲り受けた事業などを自社事業と統合することで、事業価値が増大することを指します。

紹介したクリエアナブキの事例では、トヨタエンタプライズが東京支店、ライクスタッフィングが大阪支店の人材派遣事業を譲り受けたのは、商圏を拡大できるという明確なシナジー効果が見込めたからです。

そのため、人材サービス業の事業譲渡に際しては、事業譲渡によって譲渡先にどんなメリットが生じるかをアピールできるようにしましょう。

それには、譲渡する事業の強みと弱みを明確化しておく必要があります。

事業譲渡の成功に最も必要なのは、事業譲渡によってシナジー効果が見込まれるマッチングを見つけることです。

 

長い時間が掛かる場合もある

事業譲渡においては、譲渡先を見つける段階で時間がかかるケースがあります。

たとえば、データリンクスの事例にもあったように、事業の売上減少が止まらないといった業績不振や、大きな債務などの経営問題を抱えている場合などです。

そのため、事業譲渡に際しては、事前に不正経理やコンプライアンス上の問題などをできるだけ解決し、帳簿と実情が乖離しない状態にしておきましょう。

また、事業に大きな問題がなくともマッチングには時間がかかるので、早め早めの準備が必要です。

 

事業譲渡は人対人

事業譲渡は高く売れれば良しというものでもなく、譲渡先のオーナーを人として信頼できるかどうかが、成功を決める大きな要素となってきます。

たとえば、従業員の雇用継続を条件としている場合、その条件に理解を示してくれ、譲渡後も従業員を大事にしてくれるかどうかが、事業譲渡の決め手となってくるでしょう。

事業譲渡はお見合いに例えられるように、最後は人対人となるため、譲渡の条件をめぐっては十分な話し合いを重ねることが大切です。

 

人材サービス業の事業譲渡を行うなら

人材サービス業の事業譲渡には様々な注意点がありますが、そもそもまず何から始めたらよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。

そうした場合は、事業譲渡のプロであるM&Aアドバイザーにまずは相談してみることをおすすめします。

事業譲渡は、大企業でない限りニュースになることは少ないため、実際の事例を探すのは困難です。

しかし、人材サービス業に精通したアドバイザーを選べば、具体的な事例とともに、業界特有の注意点をアドバイスとともに提供してもらえます。

 

さらに、M&Aアドバイザーは事業の強みと弱みを客観的なデータから分析・立証するプロであるため、譲渡先へのメリットもアピールしやすく、事業譲渡の成功につながります。

着手金がいらないM&Aアドバイザーも増えてきており、事業譲渡が確定するまでは無料で相談できます。

事業譲渡を考えている段階でも相談可能なため、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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事業譲渡を成功に導くためにも、一度ご相談してみることをおすすめします。

 

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