人材サービス業の事業承継【事例から読み解くポイント】

「人材サービス業を営んでいるが、後継者がいないので事業をだれに引き継げばよいか」

「そもそも、こうした問題をだれに相談してよいか分からない」

「人材サービス業の事業承継について、具体的な事例を知って参考にしたい」

このように悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

この記事では、人材サービス業のオーナーが事業承継を行う背景や、実際の事例紹介、人材サービス業における事業承継のポイントを解説します。

事業承継を検討するうえで、ぜひ参考にしてください。

 

人材サービス業が事業承継を行う背景

「事業承継」とは、オーナーが後継者に、会社や事業などを引き継ぐことです。

人材サービス業のオーナーが、リタイアしたいと思ったときの選択肢は、主には次のようになります。

  • 子どもや従業員などの、後継者に事業承継
  • M&Aなどを活用し、第三者に事業承継
  • 廃業

 

まず「事業をだれかに引き継ぐか、廃業するか」を考え、引き継ぐならだれを承継先にするか決めることになります。

廃業を選んだ場合、事業は消滅して従業員も職を失い、土地や設備などを処分してもわずかな金額しか残らないケースが多いです。

それに対して、事業承継を選んだ場合は、事業は存続し従業員の雇用も継続します。

ほかにも、オーナーが現金を入手できるなど、後述するように様々なメリットがあるため、廃業よりも事業承継を選ぶオーナーが増えつつあります。

 

だれに事業を引き継ぐかですが、中小企業白書によれば、中小企業を経営する60歳以上のオーナーの約半数が悩んでいるのが、後継者問題です。

人材サービス業のオーナーにおいても状況は同じで、子どもがいても別の会社で働いていて継がない、またはオーナーとしての素質がなく継げない、そもそも子ども自体がいないというのが現状です。

後継者がいても、オーナーに必要な知識や経験を積むための教育には年単位の時間を要します。

こうした背景から、中小企業庁によれば、子どもなどの親族以外に事業を引き継ぐ「親族外承継」が、全承継数のうち6割以上を占めるほど増えてきているという状況があります。

その一端を担っているのが、M&Aなどを活用した、第三者への事業承継です。

 

事業承継にM&Aを活用する大きなメリットは、時間の短縮です。

承継先は他企業のオーナーとなるため、後継者教育にかかる時間を短縮できます。

また、M&Aにより廃業を免れることで、自分が引退後も、事業は継続し成長を続けていく点もメリットです。

それ以外にも、「従業員の雇用継続」「売却益の入手」「経営のストレスからの解放」などのメリットが挙げられます。

従業員の雇用継続を、事業承継の最優先条件に設定し、条件に理解を示して受け入れてくれる承継先を探すことも可能です。

さらに、承継先の資本力が大きければ、従業員の福利厚生などが向上するなど、従業員にとってもメリットが生まれる可能性もあります。

売却益の入手は、M&Aを活用した第三者への事業承継においては、オーナーは売却益として一定額の現金を入手できます。

 

人材サービス業において事業価値を左右するのは、登録スタッフの質や人数などの無形資産です。

そのため、IT業界などニーズのある業界で専門知識を持ったスタッフを多く抱えている場合など、無形資産の部分が高く評価されて、大きな売却益が手に入るケースもあります。

M&Aを活用した、第三者への事業承継はメリットが多いため、自分の引退後も事業を存続させる方法のひとつとして、ぜひ検討してみてください。

 

人材サービス業の事業承継の事例

それでは、人材サービス業における事業承継の事例を紹介します。

 

互いを補う強みを持った企業間の事業承継事例

A社は、関西地方で看護師などの医療スタッフの人材派遣業を運営しています。

地方の医療・介護施設をクライアントとし、地道な事業展開を続けてきました。

A社のオーナーは50代後半になってから後継者を探し始めましたが、候補者が見つからない状態でした。

そんな折、事業承継のひとつとしてM&Aを活用できることを知り、M&A仲介会社に依頼。

承継先候補として、関東地方で医師をメインにした人材紹介業を展開する、上場企業のB社を紹介されます。

 

医療関係者の働きやすさを追求したいというB社オーナーの理念に共感し、A社のオーナーは事業承継を決断します。

A社は関西地方で医療スタッフの派遣業を、B社は関東地方で医師の紹介業を運営しているため、シナジー効果が生まれやすいマッチングという点も決め手になりました。

上場企業であるB社への傘下入りによって社会的な信用度が向上したのは、人材サービス業のA社にとっては大きなプラス点です。

A社の従業員はB社に好待遇で引き継がれ、A社のオーナーは譲渡益を第二の人生に充てることができ、B社は今後も事業拡大が予想されるという、双方にとって利益の多い事業承継が実現しました。

 

売り手の不採算部門が買い手にとってはメリットとなった事業承継事例

C社は、関東地方をメインにその他地方でも人材派遣業を展開しています。

C社のオーナーは、子どもがまだ若いため後継者について悩んでいました。

また、労働法関連で行政機関の指導が今後いっそう厳しくなることが予想され、人材派遣業を営む中小企業においては、リスクやコスト増が見込まれる状況でした。

そのため、C社は関東地方での事業展開に特化しようと検討します。

C社のオーナーは、M&Aの仲介会社に相談し、事業承継先を探しました。

そして、同じく関東地方で人材派遣業を運営していた、大手上場企業のD社が候補先に挙がります。

D社は資本力があり、地方での事業展開を強化したいと望んでいました。

 

結果、C社は地方の人材派遣業をD社に売却し、D社側はC社の地方支社を足がかりにした事業拡大が可能になるという、C社の不採算部門がD社にとってはメリットになるという、良い形での事業承継となりました。

 

売り手の強みに買い手が惹かれた事業承継事例

E社は、人材派遣業やIT・通信事業を運営しています。

E社のオーナーは、自らに体力・気力が残っているうちに後継者に事業を引き継ぎたいと思うようになりました。

子どもは3人いましたが、既に別業種で働いており事業を引き継ぐのが難しい状態です。

 

従業員の中にも候補者を見つけることができず、事業承継の選択肢としてM&Aを知ったオーナーは、M&Aの仲介会社に相談。

E社は業績が良かったため、ほどなく候補先としてF社が名乗りを上げます。

F社は、工場向けアウトソーシングを展開し、首都圏に本社があり従業員数は2万人近い大手企業でした。

E社のオーナーは元OBだったことから、大手通信会社をクライアントとし人脈も有しています。

通信分野の事業強化を検討していたF社によって、この点は大きなポイントでした。

また、E社は中小企業のため人材の採用が弱く、大手企業であるF社はこの点を補えるため、双方にとってメリットの大きな事業承継となりました。

 

人材サービス業の事業承継のポイントとは

それでは、人材サービス業における事業承継のポイントを解説します。

  • 登録派遣スタッフや紹介できる人材の人数や質
  • 直契約の取引先の数
  • 取引先企業の規模
  • M&Aの専門家に頼るのもアリ

 

登録派遣スタッフや紹介できる人材の人数や質

人材サービス業の事業価値は、帳簿上の純資産額よりも、登録スタッフや紹介できる人材の人数や質、定着率といった無形資産のほうが重視されます。

特に、IT関連や医療・介護関連など、ニーズがある業界で専門知識を持ったスタッフを数多く抱えていることは大きな強みです。

事例にもあったように、売り手は看護師や薬剤師、買い手は医者など、売り手と買い手が補強しあえる業界の人材を有していれば、事業承継によるシナジー効果はより大きくなります。

派遣法改正などにより、登録スタッフへの教育訓練が義務づけられるようになりました。

専門職のスタッフを抱えている場合、セミナーや研修などの準備といったコスト増が予想されます。

こうした場合も、事業承継を活用して自社より大きな企業の傘下に入れば、登録スタッフが大企業の充実した社内教育を利用可能になるとともに、重複するコストは削減できます。

さらに、競合他社との価格競争から生じるスタッフの登録減少なども解消可能です。

登録スタッフのキャリアアップや福利厚生といった面においても、第三者への事業承継はメリットが大きいです。

 

直契約の取引先の数

直契約の取引先数がどれだけあるかは、人材サービス業の事業価値を決める、分かりやすいポイントです。

取引先数が多ければ多いほど、承継先である買い手の利益も大きくなるからです。

事業承継に臨む前に、登録スタッフなど人材の質や人数、直契約の取引先数や企業規模などを、客観的なデータとして分かりやすい形で一覧化しておくのがよいでしょう。

自社がどんな業界で取引実績があり、人材を提供できるかを把握しておけば、自社の傾向とマッチしてシナジー効果を生み出せそうな承継候補を探すのもスムーズです。

 

取引先企業の規模

大企業や上場企業を取引先に有している場合は、事業承継においても大きな強みとなります。

事業承継はマッチングが大事です。

たとえば、事例のように、買い手が事業展開を考えている業界における有力企業と、売り手が取引している場合、買い手にとって大きな魅力を感じるセールスポイントです。

 

ほかにも、地方での人材派遣業は、企業体力がなくなった売り手にとっては重荷に感じられるかもしれません。

しかし、資本力があり地方展開を検討している買い手とうまくマッチングできれば、重荷が強みに変わります。

十分な資金を持つ買い手にとっては、売り手が持つ地方の取引先は、地方展開での足がかりとなるからです。

 

このように、自社ではあまり価値を認識していなくても、買い手とのマッチングによっては強みになり得ます。

そのため、どんな企業を取引先に持っているか、業界や企業規模、所在地などを客観的に分析し、自社の強みを把握するとよいでしょう。

 

M&Aの専門家に頼るのもアリ

人材サービス業においては、登録スタッフなどの人材や取引先などといった無形資産の充実が、事業承継の成功を左右します。

そのため、自社と競合他社を比べて、どんな点が強みかを明確化し分析しておくことが必要です。

とはいえ、自社の強みを客観的に把握するのにはどうしたらよいか分からないオーナーも多いのではと思われます。

 

そうした場合は、事業承継のプロであるM&Aアドバイザーへの相談がおすすめです。

後継者問題で悩んでいるけれど、まだ事業承継を行うか決めていない場合は、事業承継を含めてほかにはどんな選択肢があるかを、プロの視点から提案します。

さらに、事業の価値や将来性についても、事業計画から見込まれるフリーキャッシュフローなど、専門的な数値を使って算出・分析します。

そして、客観的なデータから導いた結論から、事業承継を成功させるためには承継先にどう強みをアピールすればよいかをアドバイスしてくれます。

 

人材サービス業の事業承継を行うなら

ここまで、人材サービス業における実際の事業承継事例などを解説してきましたが、もっと多くの事例を知りたい方もいらっしゃるでしょう。

事業承継の事例は、大企業でない限りはニュースとして公表されることは少なく、中小・零細企業の事例については探すことが困難です。

 

そのため、事業承継の事例について知りたい場合は、人材サービス業に精通しているM&Aアドバイザーに相談するのをおすすめします。

M&Aアドバイザーは、プロとして独自の情報ネットワークを持っているため、過去に手がけたりストックしたりしている実際の事例を、具体的なアドバイスとともに提供してくれます。

また、承継の候補先をリアルタイムで紹介することも可能です。

 

最近急増している、着手金がいらない成果報酬型のM&Aアドバイザーであれば、事業承継の成立までは無料で相談できます。

事業承継をするかどうか迷っている段階でも相談できるので、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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事業承継を成功に導くためにも、一度ご相談してみることをおすすめします。

 

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