
「ホテルや旅館の事業譲渡を行いたいけれど、その前に知っておくべきことはないのかな?」と、考えている人もいるのではないだろうか。
ホテルや旅館といった宿泊業の事業譲渡を行うのなら、その前に知っておきたいポイントが3つあります。
そこで、今回はホテルや旅館の事業譲渡を行うためのポイントや、事業譲渡を行う詳しい手順などを紹介しましょう。
目次
事業譲渡って何?
本題に行くまえに、そもそも事業譲渡とはどのようなものなのかが理解している人も少ないのではないでしょうか。
事業譲渡とは、ズバリ、自らの事業を他者に譲渡することです。
無償で譲渡する場合もありますが、ほとんどの場合は売買という方法によって行われます。
事業を譲渡する範囲も契約で決めることができるので、買い手側と売り手側のお互いが納得するのであれば事業の一部分だけを譲渡することも可能です。
例えば、ホテルの飲食部門だけを他社に譲渡することです。
もちろん、事業のすべてを完全に譲渡することも可能です。
前述したとおり、ホテルや旅館の事業譲渡を行おうと思っていても、今までに事業譲渡を経験したことがあるというオーナーは多くないと思います。
事業譲渡は専門的な知識も必要になり、時間もかかります。
したがって、簡単には決断できるものではありません。
また、事業譲渡だけではなく、廃業という選択肢も検討しているホテルや旅館のオーナーもいるかもしれません。
事業譲渡は手間がかかりそうなイメージがあることから、廃業が良いと思っているからです。
実は、廃業するにも手間やコストがかかるのです。
そこで、誰かに譲渡できる機会があれば、それをするのもひとつの選択肢です。
何といっても、事業譲渡をすることで一般的に経済的なメリットを得る場合が多いからです。
経済的なメリットとは、ホテルや旅館を売ることによって得られる売却利益です。
同時に、事業譲渡という選択肢は、経営者から退こうとしている人にとっては非常にメリットがあるでしょう。
そこで、次章からホテルや旅館の事業譲渡を行うにあたって、事前に知っておくべきことを3つ挙げていきます。
ホテル・旅館の事業譲渡を行う前に知っておくべきポイント
ホテルや旅館の事業譲渡を行う前には、以下の3つのポイントを理解しておくべきです。
・まずは事業譲渡について専門家に相談する
・事業価値を譲渡先に伝える
・事業譲渡を行う目的を明確にする
これらの3つのポイントを抑えたうえで、事業譲渡の準備をしましょう。
逆に、3つのポイントを理解せずに事業譲渡の準備をしても、話し合いが途中で暗礁に乗り上げ、失敗する可能性が高まるはずです。
せっかく今まで経営してきたホテルや旅館を事業譲渡するなら、あなたの理想の形になるように最善の尽くすことが大切です。
それでは、それぞれのポイントについて、詳しく確認していきましょう。
まずは事業譲渡について専門家に相談する
ホテルや旅館の事業譲渡をするのであれば、最初にM&Aアドバイザーなどの専門家に相談してみましょう。
というのも、その道のプロ経営者を除き、事業譲渡をするにあたって、経営的な視点や財務会計的な視点など、専門性の高いさまざまな視点で物事を考えなければなりません。
ホテルや旅館の事業譲渡についての知識が足りていないまま、強引に事業譲渡を進めていこうと思っても細かい契約や法律でミスしてしまい、あなたにとって不利な事業譲渡になってしまうからです。
そうは言っても、今まで相談したことのない専門家に頼るのにはなんだか抵抗があるというオーナーもいるでしょう。
率直に、事業譲渡のアドバイザーは、あなたが今まで経営してきたホテルや旅館の事業譲渡のお手伝いをしてくれる頼れる存在です。
当然のことですが、主導権を持ち、最終的な判断をするのはあなたです。
同時に、ホテルや旅館の経営を今まで通りに続けながら、あなただけで事業譲渡を行うのは肉体的にも精神的にも非常に大変なことです。
もしあなたにぴったりの専門家を見つければ、ホテルや旅館を事業譲渡する際に心強いパートナーになってくれます。
一方で、あなたの考えに合わない事業譲渡のアドバイザーに相談することになったのであれば、そのアドバイザーとの話し合いを打ち切ればいいだけです。
事業譲渡のアドバイザー選びのポイントは、平易な言葉を用い、真摯に対応してくれる専門家を選ぶことをお勧めします。
事業価値を譲渡先に伝える
あなたのホテルや旅館の事業価値がどんなに高くても、譲渡先にそれが伝わらなければ意味がありません。
たとえどれだけ良い売上があったとしても、譲渡する相手に伝わらなければ伝わっていないと等しいです。
それは、売上以外でも同じことです。
つまり、ホテルや旅館の事業譲渡をするにあたって、事業の価値を買い手側にうまく伝えることは非常に重要となります。
このとき、情報の伝え手と受け手が違うこともしっかり理解しておきましょう。
買い手はあなたが行ってきた事業の内情は知らないことがほとんどなので、今まであなたの思い入れや熱意量と同じはずではありません。
そのためにも、まずは自分自身が事業の真の価値を考え直し、詳しく理解しておくことが肝要です。
ちなみに、専門家を選ぶなら交渉能力の高いM&Aアドバイザーを選ぶほうが適切な判断です。
交渉能力の高いM&Aアドバイザーなら、あなたのホテルや旅館の本当の価値を理解したうえで、買い手の納得いく説明をしてくれます。
事業の良さを伝えれば伝えるほどに、譲渡した後にホテルや旅館の経営が順調に進みやすくなることでしょう。
事業譲渡を行う目的を明確にする
ホテルや旅館の事業譲渡を行う目的があやふやなままだと、事業を譲ってから後悔してしまいます。
事業譲渡を成功させるためには、最適な譲渡先を見つけて良い条件で交渉を進めていくことが大切です。
そのためには、事業譲渡をなぜ行うのかという目的を明確にしておかなければ、譲渡先の選定や条件の確定が難しくなります。
例えば、「今まで経営してきたホテルや旅館を存続させたいから、安心してこれからを任せられる後継者を探したい」、「事業拡大のために、ホテルや旅館事業の一部は経営能力のある人に頼みたい」などが考えられます。
ここで、あなたがなぜ、事業譲渡を行おうと思ったのか、そのきっかけをしっかりと考えてください。
繰り返しになりますが、専門家に相談するならM&Aアドバイザーに具体的な目的を伝えておくことが大切です。
事業譲渡で叶えたい目的を伝えておくことによって、専門家もあなたの目的を達成するために動いてくれます。
それがホテルや旅館の事業譲渡のはじめの一歩だといえるでしょう。
上記が、ホテルや旅館の事業譲渡を行う前に、知っておくべき3つのポイントです。
まだ、事業譲渡を行う際の準備については理解したけど、どのような流れで行われるのか想像できないというオーナーも多いのではないでしょうか。
実際に事業譲渡の経験がなければ、手続きのイメージが沸かないのも仕方ありません。
続いて、実際にホテルや旅館の事業譲渡を行う手順を次の章で確認しましょう。
ホテル・旅館の事業譲渡を行う手順
ホテルや旅館の事業譲渡を行うには、いくつかの手順を順番に踏まなければなりません。
多くの手続きをM&Aアドバイザーなどの専門家に任せるとしても、事業譲渡の全体の流れはオーナー自身も理解しておくべきです。
専門家の行っていることがどの段階か明らかになれば、あなたの不安を取り除くことができ、専門家に安心して任せられることでしょう。
ホテルや旅館の事業譲渡を行う一般的な手順は、下記のような手順です。
- 事業譲渡する相手を見つける
- 譲渡先候補から意向表明書をもらう
- 基本合意書の締結
- デューディリジェンスの実施
- 株主総会の承認
- 事業譲渡契約書の締結
- 事業譲渡の引継ぎを行う
※上記の手順は一般的なものであり、例外もあります。
どの手続きもホテルや旅館の事業譲渡を成功させるためには必要不可欠です。
それでは、各手続きについて1から7まで順に紹介しましょう。
事業譲渡する相手を見つける
まずはホテルや旅館の事業譲渡先を見つけましょう。
このときに考えるべきことは、ホテルや旅館を事業譲渡する目的です。
何のために事業譲渡をしようと思ったのかを再確認し、その目的に合った買い手を探していきます。
自分の身の回りでホテルや旅館の事業譲渡先が見つかれば幸運ですが、そういう場合ばかりではありません。
だからこそ、あなたに代わってM&Aアドバイザーに買い手候補を探してもらいましょう。
また、M&Aを扱っている会社もたくさん存在しているので、そのような会社のサービスを利用するというのも適切な手段のひとつです。
ホテルや旅館の事業譲渡先の選定は、あなたが納得できるよう慎重かつ、十分に行いましょう。
譲渡先候補から意向表明書をもらう
ホテルや旅館の譲渡先が見つかったら、譲渡先に意向表明書を提出してもらいます。
そのためには、譲渡先にホテルや旅館の基本的な情報を説明し、経営理念やビジネスモデルを伝えてください。
そのうえで、事業譲渡先が意欲的であれば、事業譲渡の基本的な条件を意向表明書で提案してくれるはずです。
この段階で、大まかな事業譲渡の範囲や、設備なども引き継ぐかどうか、譲渡価格などが明確になってくるでしょう。
もしも気になる点が出てきたなら、どんどん積極的に事業譲渡先やあなたのアドバイザーに質問しましょう。
曖昧で一抹の不安を残したまま、事業譲渡先から意向表明書を受け取ると、あとから問題になる可能性が高くなります。
お互いが納得いくまでしっかりと話し合うべきです。
当然、事業譲渡先との話し合いがあなた自身で不安であれば、専門家に同席してもらったり、それをやってもらうべきです。
大切なことは、相手の考えを冷静に聞き、事業譲渡の話し合いを進めていくことです。
基本合意書の締結
もし、あなたがホテルや旅館の事業譲渡先からの意向表明書に了承したなら、次は基本合意書を締結になります。
基本合意書を締結することで、お互いが事業譲渡に向けてさらに前に進んだことになります。
そして、根本的な条件のすれ違いを防ぐことになります。
基本合意書は必ず行う手続きではありません。
しかし、トラブル防止のためにも多くの事業譲渡の過程で、売り手と買い手の間で締結されています。
あなたもホテルや旅館の事業譲渡を行うのであればやっておくことが得策です。
デューディリジェンスの実施
ホテルや旅館の事業譲渡について基本合意書を締結したら、次はデューディリジェンスを行います。
デューディリジェンスとは、譲渡される事業について詳しく調査を行うことです。
売り手が買い手にホテルや旅館についての資料を提出したり、実際に買い手が宿泊施設まで行ってみて調査を行ったりします。
このとき、できるだけ事業譲渡先に、あなたのホテルや旅館への現地調査を行ってもらうことがいいでしょう。
デューディリジェンスをしっかり行っておけば、事業譲渡後も揉めることが少ないです。
特に、宿泊業であるホテルや旅館は、実際に現地で施設などを見てもらうことでわかることは多いです。
面倒とは思わず、事業譲渡先にはあなたのホテルや旅館に来てもらい、現状をしっかり把握してもらいましょう。
株主総会の承認
ホテルや旅館の事業譲渡契約を締結する際、株式会社であれば、株主総会の承認が必要となります。
たとえあなたが大株主でオーナーであっても、他の株主に情報を開示し、その承認を得る必要があります。
そのために、場合によっては株主総会で承認を得る必要があるのです。
事業譲渡は株主にとって不利益が生じる可能性があり、事業譲渡に反対する株主には、持っている株式を買い取ることを請求する権利があります。
ズバリ、株については専門家でなければ難しいので、この手続きは専門家に任せましょう。
事業譲渡契約書の締結
ホテルや旅館の事業譲渡についてデューディリジェンスを行ったうえで、双方に問題がなければ、事業譲渡契約書を締結します。
事業譲渡契約を結ぶとき、最終的な条件などをお互いに細かなところまで確認することが非常に大切です。
事業譲渡契約締結後、あなたが思っていた条件と違うということになっても、ホテルや旅館を譲渡した後だと取り返しがつきません。
何か少しでも疑問があるなら解消していくことが最善の策です。
質問したいことがあるなら積極的に聞きましょう。
自分だけで判断するのが不安なら、事業譲渡アドバイザーなどの専門家に相談しましょう。
なお、事業譲渡契約を締結することが、買い手先といろいろ話し合える最後のタイミングであると肝に銘じることです。
事業譲渡の引継ぎを行う
ここまでの手続きを終えたら、実際にホテルや旅館を買い手に引継ぎましょう。
引継ぎの際には、今後の経営が円滑になるように従業員やお客様にもしかるべきタイミングで正しく告知をすることが必要です。
告知する時期や方法を誤ると、突然従業員が辞めてしまったり、お客様が離れてしまったりするかもしれません。
それを避けるために、専門家に相談しながら良いタイミングで伝えましょう。
上記の1から7が、ホテルや旅館を事業譲渡する際の手続きとなります。
あなたが思ったよりも手続きが多く、自分だけで事業譲渡を成功させられるかが不安なオーナーもいるのではないでしょうか。
さまざまな手続きを過不足なく行うために、まずは専門家であるM&Aアドバイザーに相談してみましょう。
ホテルや旅館を事業譲渡するなら、まずは相談を!
ホテルや旅館を事業譲渡するなら、まずは専門家であるM&Aアドバイザーに相談してみるのことが得策です。
当たり前ですが、専門家に頼ることにより、安心して事業譲渡を行うことができます。
あなたが頑張って経営してきたホテルや旅館の事業譲渡を応援してくれる味方だと考えて、最初は気楽に相談に行ってみましょう。
M&Aアドバイザーに相談する際、あなたができる範囲で考えや情報をまとめて整理していったほうが、建設的な話し合いになります。
同時に、ホテルや旅館についての基本的な情報や売上などをまとめて持っていけば、相談しやすいと言えます。
信頼できる専門家を見つけて、ホテルや旅館の事業譲渡を行いましょう。
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