
ホテルや旅館の経営をしているが、そろそろ誰かに事業を承継したいと悩んでいる人もいるのではないだろうか。
事業承継を行えば、自分が経営の第一線から退いても、そのホテルや旅館は存続していくことができます。
また、後継者となる人が自分の身の回りで見つからないから、廃業する道しかなさそうだと考えがちですが、実は従業員や親族以外での事業承継ができる可能性もあるのです。
最近のホテルや旅館などの宿泊業界では、M&Aによって外部から後継者を探すことも少なくありません。
今回は、ホテルや旅館を事業承継するメリットや、注意点、成功させるためのポイントを紹介します。
今、経営から退くことを考えているなら、メリットも多い事業承継を行いましょう。
目次
事業承継のメリットとは
ホテルや旅館を事業承継することによって、現在のオーナーにはメリットがあります。
その事業承継のメリットは主に以下の3つです。
- 経営に対する重責からの解放
- 現金を得られる
- 従業員の雇用継続や待遇改善
これらのメリットは、ホテルや旅館の経営から退くにあたって非常に嬉しいものです。
それぞれのメリットについて、順番に見ていきましょう。
経営に対する重責からの解放
当たり前ですが、ホテルや旅館の事業承継をすれば、あなたは経営から退くことになります。
同時に、それによって、今まで負っていた経営者としての重責からも解放されます。
ホテルや旅館を経営するのは、日々、一筋縄ではいかないことが多く、精神的にも、肉体的にも大変な労力が必要となります。
事業承継を行って経営を誰かに引き継げば、そのような労力はなくなります。
あなたが経営から離れても、思い入れのあるホテルや旅館はしっかりと事業を存続していきます。
つまり、事業継承によって自分の負担だけを減らし、顧客や取引先などの周囲の状況は今までと同じという環境を作ることになるのです。
これは経営に対してプレッシャーを大きく感じていたオーナーにとって、大きなメリットだと言えます。
現金を得られる
M&Aによって事業承継を行う場合には、経営しているホテルや旅館を次のオーナーに売却するという方法がとられます。
その場合には条件にもよりますが、ホテルや旅館を譲渡する対価をもらえる可能性も高いです。
ホテルや旅館の売上があり、将来性が高い事業であれば、その譲渡の対価は高くなりがちです。
売却すれば現金を得られる機会に、自分のホテルや旅館を廃業としてしまうのはもったいないことです。
繰り返しになりますが、今、ホテルや旅館を廃業することを考えているのなら、積極的に事業承継を考えましょう。
従業員の雇用継続や待遇改善
次のオーナーにホテルや旅館を事業承継することによって、従業員の雇用を継続でき、場合によっては今までの待遇よりも良くできるかもしれません。
というのも、新しいオーナーならではの目線により、経営の改善を図った結果、収益が上向き、従業員の待遇改善を期待できるからです。
特に、従業員の雇用継続は現オーナーにとっても大きな問題です。
ホテルや旅館を廃業となると、従業員の仕事を奪うことなり、従業員やその家族の生活も脅かすからです。
事業承継できるのにもかかわらず、廃業を伝えることは、経営者にとって非常に苦しいものです。
したがって、ホテルや旅館の経営から離れるのであれば、できるだけ事業承継を行うほうが良いといえるでしょう。
上記3点が、主にホテルや旅館のオーナーが事業承継をする際のメリットです。
当然、ホテルや旅館を次のオーナーへ事業承継をする場合、メリットばかりではありません。
ここからは事業承継をホテルや旅館のオーナーが行う際の注意点を確認します。
ホテル・旅館の事業承継を行う際の注意点
ホテルや旅館の事業承継にはメリットばかりではなく、注意しておくべきこともあります。
実際に事業承継を行う際の注意点は、主に以下の2点です。
- 事業承継が確定するまで、従業員や取引先には話さない
- 親族や従業員以外のM&Aによる事業承継
この2点が守れないと、せっかくの事業承継が破談になるということもありえます。
それでは、各注意点について確認しましょう。
事業承継の確定するまで、従業員や取引先には話さない
次のオーナーへのホテルや旅館の事業承継が完全に確定するまでは、その従業員や取引先には秘密にするべきです。
心の準備をしてもらうためにも、早めに周りの人たちに告知していきたいというオーナーもいると思います。
しかし、事業承継の途中で従業員や取引先にその話が漏れてしまうと、従業員が途中で辞めたり、取引先との関係が悪化する可能性もあるからです。
そのようなことになると、この事業承継自体も難しくなってしまいかねません。
したがって、その事業継承の話が最終的に決まった後に、適切なタイミングを見計らって従業員や取引先には告知すべきです。
センシティブな話なので、事業承継の話は慎重に手続きを進めていってください。
親族や従業員以外のM&Aによる事業承継
事業承継と聞けば、親族や従業員にお店を引き継いでもらうものだと考えている人も多いと思います。
しかし、身近なところに後継者候補となる人がいない場合もあります。
そのようなときでも、事業承継を諦める必要はありません。
なぜなら、親族や従業員などに事業承継をする以外にも、M&Aという手段があるからです。
M&Aを行えば、親族や従業員ではない外部からホテルや旅館の後継者を探すことができます。
多くの場合、諦めなければM&Aによって後継者が見つかります。
以上が、ホテルや旅館の事業承継を行う際に注意するべきことでした。
上記の注意点を踏まえた上で、ここからは具体的にホテルや旅館の事業承継を成功させるポイントを見ていきましょう。
ホテルや旅館の事業承継を成功させるポイント
ホテルや旅館の事業承継を成功させるポイントは、主に以下の5つです。
- 準備を早めにする
- 譲歩できない条件を明確にする
- 事業の真の“強み”を伝える
- 3者にとって最も良い着地を目指す
- 事業承継の専門家に相談する
これらのポイントをおさえることで、あなたのホテルや旅館の事業承継を成功させられる可能性が高まります。
それでは、それぞれのポイントを順番に見ていきましょう。
準備は早めにする
ホテルや旅館の事業承継を行うなら、現オーナーはできるだけ準備は早めに行うべきです。
ご存知のとおり、事業承継は経営者としての権利を後継者に渡したら完了するというわけではありません。
後継者には、経営についての知識や実務経験を十分に理解してもらう必要があります。
そのステップをせずに、いきなり後継者に経営権を渡しても、事業承継を成功させることは難しくなってしまいます。
例え後継者であっても、適任ではない人に経営権を渡すと、一気にそのホテルや旅館の経営状態が傾く可能性もあります。
正直、ホテルや旅館の経営の知識や実務経験は、個人差にもよりますが、一朝一夕につくというものではなく、ある程度の時間を要します。
そのためには、後継者をしっかりと育て上げていく時間が必要です。
つまり、事業承継の準備は早く行えば行うほど、次のオーナーが育った状態で事業を引き継げるので安心だといえるでしょう。
譲歩できない条件を明確に
ホテルや旅館の事業承継をするなら、絶対に譲ることのできない条件は明確にしておくべきです。
後継者が見つかったら、どのような条件で事業を引き継いでいってもらうのかを話し合うことになると思います。
そこで、どの条件は譲れないのかということをハッキリさせておかなければ、話し合いが円滑に進みません。
条件について曖昧なままなら、あとから妥協した事業承継にしてしまい悔やんでしまうということも考えられます。
事前にどの条件は絶対に譲れず、どの条件は妥協できるのかを決めておきましょう。
焦って考えると失敗しやすいので、落ち着いて冷静に考えてください。
条件について考えるとき、自分のことだけではなく、ホテルや旅館、そして従業員のことも考えることは大切です。
ホテルや旅館に関わる人たちにとって、良い条件で事業承継ができるよう、時間をかけて考えるべきでしょう。
事業の真の“強み”を伝える
事業承継をするホテルや旅館が持っている、真の“強み”を知ることも成功のためには非常に大切です。
その強みを後継者にもそれを理解してもらわなければいけません。
そうしなければ、せっかく今まで築き上げてきたホテルや旅館の良さが失われてしまう可能性があるからです。
ホテルや旅館の良さは、長年の“歴史”だと考える人も少なくありません。
そこで、強みがうまく相手に伝わるように、説明の仕方は工夫したほうが良いでしょう。
今までずっと経営してきたオーナーである自分自身にとっては思い入れのある事業でも、まだ引き継いでいない後継者候補にとってはそこまで思い入れや情熱がない可能性もあります。
そのようなときは、具体的な数字など客観的な強みも交えながら説明すると伝えやすいです。
まずは、自分のホテルや旅館にどのような強みがあるのかを、リストアップしていきましょう。
日々の利用客数や売上を競合店との比較などから考えればリストにしやすいはずです。
自分だけではなかなか客観的に強みを考えられないというときは、従業員やM&Aアドバイザーなどに聞いてみるのも1つの方法だと言えます。
3者にとって最も良い着地を目指す
ホテルや旅館の事業承継を行うにあたって、オーナーと後継者、そして従業員といった3者にとって最も良い着地を目指すべきです。
事業承継が成功したと現オーナーが満足していても、後継者や従業員などの他の関係者が満足をしていない状態では、ベストな状態だとは言えません。
事業承継はできるだけ全員が満足する結果に終わらせなければ、ホテルや旅館の引き継ぎをした後の経営に支障が出てしまいます。
後継者にせっかく事業を引き継いでもらったのにもかかわらず、その事業が長続きしないということになるのは最終的に誰も得をしないからです。
後継者にホテルや旅館を引き継いでもらうと決めたなら、事業承継をしてからも高い志で経営を行ってもらい、今までずっと働いてきていた従業員ともうまくやってもらえるように準備をしましょう。
それをするためには、事業承継をするにあたって自分の希望だけではなく、後継者や従業員の希望も聞くことが重要となります。
全員の希望をうまく取り入れ、みんなが納得できるように事業承継を行ってください。
そのためには、こまめに関係者と話し合いを行うことが大切です。
事業承継の専門家の力を借りる
ホテルや旅館の事業承継を希望通りに成功させるには、経営や会計、法律などのさまざまな専門的知識も必要になります。
オーナーがそれらすべての知識を持っているケースは少なく、自分だけで事業承継の手続きを完ぺきにすることは難しいです。
ホテルや旅館の事業承継を成功させるためにも、M&Aアドバイザーや事業承継アドバイザーなどの専門家の力を借りることは必要コストと理解すべきでしょう。
そういったプロフェッショナルに相談すれば、自分一人だけでは思いつかなかった後継者探しや後継者育成の方法も提案してもらえることがよくあります。
したがって、成功させるためには多少の費用がかかったとしても、専門家の力を借りてみるべきでしょう。
以上が、ホテルや旅館の事業承継を成功させる主な5つのポイントでした。
全部を網羅することは難しいことではありません。しかし、実際にはご紹介したすべてのことを実際に行える人は多くないのが実情です。
もしも事業承継について少しでも悩みや不安があるなら、まずはプロに相談に行けば安心できるのではないでしょうか。
ホテル・旅館の事業承継を検討するなら
ホテルや旅館の事業承継を検討しているなら、できるだけ早めに専門家に相談しながら手続きに取りかかっていくのが良いです。
事業承継は、早い段階で動き始めれば始めるほど、成功する可能性が高まります。
後継者を探したり、安心してホテルや旅館の経営を任せられるまでに教育したりといったことをするのは、思っているよりも時間がかかるケースが多いです。
早めに取り掛かることで、時間の面で失敗する可能性を下げられます。
しかし、実際どのように事業承継を進めていけば良いのかよくわからないというオーナーも多いはずです。
そのようなときは、事業承継の専門家である事業承継アドバイザーに相談に行ってみてください。
事業承継アドバイザーに相談することでホテルや旅館の事業承継が成功する可能性は一気に高くなるはずです。
実際に話してみて安心して任せられそうだと思ったら、そのまま相談を続けるのが良いでしょう。
安心して相談できる専門家を見つけて、ホテルや旅館の事業承継を成功させましょう。
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