
「病院・クリニックを経営しているけれど、M&Aを行いたい」と、検討しているオーナーさんは多くいらっしゃいます。
M&Aをしたい理由はオーナーによって異なると思いますが、何か意図があるはずです。
しかし、M&Aを行うことは簡単ではないので、実際に行うかどうかすぐに決められず悩んでいるオーナーも多いでしょう。
そこで今回は、病院・クリニックのM&Aについての基礎的な知識から、M&Aのメリット、そして行う際に気をつけるべき3つのポイントをご紹介していきます。
病院・クリニックのM&Aをする際は、メリットを知った上でポイントをしっかりおさえて、M&Aを成功させましょう。
目次
病院・クリニックのM&A
M&Aと言っても、実際に今までに経験したことがあるオーナーは少ないと思います。
一生のうちに一度しか経験しないという経営者も多いです。
したがって、病院・クリニックのM&Aとはそもそもどのようなものか具体的にわかっていない人も多いのではないでしょうか。
まずは、病院・クリニックのM&Aについて、基礎的な知識から確認しておきましょう。
M&Aとは
M&Aとは、「merger and acquisition」という言葉の略です。日本語にすると「合併や買収」という意味となります。
たまにニュースなどでM&Aという言葉を見ただけですと、M&Aには敵対的な買収のイメージを持っている人も多いかもしれません。
しかし、実際に行われているものの中では、友好的なM&Aも少なくありません。
友好的なM&Aであれば、買い手や売り手、その従業員など、取引に関わった全員にメリットがあることもよくあります。
せっかく今まで経営してきた病院やクリニックでM&Aを行うなら、友好的なM&Aになるように努力するべきです。友好的なM&Aなら、関係者全員が笑顔になれるからです。
さて、M&Aを行うための方法ですが、代表的なのは『事業譲渡』と『株式譲渡』です。
それぞれの手法のメリットをご紹介します。
事業譲渡や株式譲渡を行うメリット
病院やクリニックのオーナーがM&Aで事業譲渡や株式譲渡を行うメリットは、たとえば以下のような3つのものが考えられます。
・自分がリタイアしても事業を継続させられる
・M&Aをして対価を得ることができる
・譲渡した事業が譲渡先で発展を遂げる可能性がある
これらのメリットは、今まで経営してきた病院やクリニックを手放すとしても、嬉しいメリットになると言えます。
もしもM&Aをしたとしても、事業が継続していれば今まで働いてくれた従業員を雇い続けることも可能です。
せっかく今まで病院やクリニックの経営を助けてくれていたスタッフの仕事をなくすのは心苦しいと考えるオーナーも多いでしょう。
そのような場合は、M&Aで事業を続けていく方法は適しています。
また、M&Aならスタッフの生活だけではなく、自分の生活を守ることもできます。
病院やクリニックを譲渡して買い手から対価を得ることで、M&A後の新たな経営や、新たな生活への資金にすることが可能です。
このように、病院やクリニックのM&Aにはメリットがたくさんあります。
しかし、「M&Aをやってみたい気持ちはあるけれど、どういうときに検討するべきかわからない」というオーナーも多いはずです。
ここからは、病院やクリニックのオーナーがM&Aを行う理由となった事柄について、実際のケースを見ていきましょう。
病院・クリニックがM&Aを行うケース
病院・クリニックがM&Aを行うケースは、主に以下の3つの場合です。
・後継者がいないが引退したい
・健康問題で経営を続けられない
・治療はできるが経営は不向き
特に後継者問題や健康問題は深刻で、多くのオーナーがこの問題に頭を悩ませています。
もし1つでもこれらのケースに当てはまるのであれば、一度M&Aができないのかを考えてみることをおすすめします。
では、それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。
後継者がいないが引退したい
病院やクリニックのオーナーをやっているものの、引き継いでくれる後継者がいないというのはよくあるケースです。
後継者不足で廃業を選ぶ病院やクリニックのオーナーは珍しくありません。
しかし、後継者がいないからと言って、廃業しかないと考えてしまわないでください。
実際、後継者がいない場合の解決策として、M&Aが行われることは非常に多いです。
後継者は親族や従業員などの身近なところだけではなく、M&Aで外部から見つけてくることもできます。
したがって、後継者がいなくてお悩みの病院やクリニックのオーナーは、M&Aができないかどうかを試してみるべきです。
また、病院やクリニックを経営しているけれど、早期の段階でリタイアしたいというケースでも、M&Aは有効です。
早期リタイアするならば、後継者問題を早めに解決しておかなければなりません。
そして、あなたがどのような人生を今後送っていくとしても、生きていくためにはお金が必要となります。
もし経営している病院やクリニックをM&Aで売ることが成功すれば、早期リタイア後の資金を手に入れることが可能です。
どれくらいの売却資金が得られるかは病院やクリニックによりますが、少なくともそのまま廃業するよりは得になります。
なぜなら、病院やクリニックは廃業をするには、不動産を入居時の状況に戻す原状回復費用などが必要となるためです。
M&Aでうまく条件に折り合いをつければ、撤退コストをかけずにリタイアすることができます。
後継者不足に悩みつつも引退したいというときには、M&Aを行えば後継者も見つけられる上に、事業売却の対価を得ることができるのです。
健康問題で経営を続けられない
病院やクリニックを経営している最中に、オーナーの健康状態が悪くなることもあると思います。
経営者とはいえ、人間なので体調不良はつきものです。
もしも簡単に治るものではないのであれば、今後のことを考えなければなりません。
どうしてもオーナーが今までどおりに経営を続けられないのであれば、廃業をするか、病院やクリニックを誰かに譲ってしまいたいと考えるはずです。
そのようなケースでも、M&Aは活用できます。
健康問題を抱えながらの経営は大変なので、今後も病院やクリニックを存続させるためにはM&Aを視野に入れて早めに行動に移しましょう。
M&Aを使わず、自分で後継者を見つけて育てるのはかなりの時間がかかります。その間に、オーナーの健康状態にもしものことがあってはいけません。
一方M&Aを行えば既に適正のある人に病院やクリニックを引き継いでもらうことができます。
M&Aでは後継者を見つけて育てていくよりも、短時間で事業を誰かに引き継ぐことが可能なのです。
したがって、健康問題で経営が続けられそうになくなったら、まずはM&Aを考えてみてください。
治療はできるが経営は不向き
病院やクリニックのオーナーの中には、治療は得意でも経営は苦手という人もいるはずです。
今まではなんとか経営してきたものの、今後もうまくできるか不安という人も少なくないと言えます。
料金設定や治療内容を見直しても、なかなかしっくりこないオーナーもいるでしょう。
そのようなとき、今後の経営が不安で仕方がないという人もいると思います。
そのようなときに考えてもらいたいのが、病院やクリニックのM&Aです。
M&Aを行って、経営について自信と実力がある人に病院やクリニックを譲るのは1つの手段です。
売却してから、自分は医師として治療に専念することも可能です。
開業してからの自分の暮らし方や働き方に納得いっていないオーナーは、病院やクリニックのM&Aを検討してみてください。
経営に不安を持ったまま治療を続けたとして、もしも医療の品質が下がってしまうようなことがあってはいけません。
あなた本来の力が最大限に発揮できる環境に身を置くことを第一に考えるべきです。
また、もしも買い手側に資金力があった場合には、今まで導入できなかった医療器具を使えるようになるかもしれません。
経営に不安はあっても治療には自信があるというとき、M&Aは最適な選択肢です。
病院やクリニックは今まで以上に発展し、あなたも治療技術が高められます。
以上が、病院やクリニックのオーナーがM&Aを行う3つのケースでした。
M&Aを検討してみたい、と漠然と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それではここからは、病院やクリニックのM&Aでオーナーが得られるメリットについて見ていきましょう。
病院・クリニックのM&Aでオーナーが得られるメリットとは?
病院・クリニックのM&Aを行うことによって、売り手であるオーナーにメリットがあります。
オーナーが受けることのできるメリットは、たとえば以下のような3つです。
・心理的負担の軽減(経営、後継者)
・金銭的メリット
・新事業への挑戦や引退後の生活
それぞれのメリットについて、順番に確認していきましょう。
心理的負担の軽減(経営、後継者)
病院やクリニックのM&Aを行うことによって、オーナーがリタイアする際の経営面や後継者の面という2つの部分での心理的な負担を減らすことができます。
今まで続けてきた病院やクリニックを廃業してしまうという思いや、後継者がうまく見つけられなかったせいで廃業するしかなくなったという思いを、M&Aで軽減することができるのです。
M&Aが成功すれば、今のオーナーがリタイアしてからも病院やクリニックは営業を続けることができます。
したがって、今まで通ってくれた患者さんやスタッフに廃業を伝えるストレスもなくて済むはずです。
病院やクリニックの経営からリタイアする際には、精神面でのストレスを感じるオーナーはたくさんいます。
M&Aをすれば、そのようなストレスは感じなくて良いのです。
金銭的メリット
病院やクリニックをM&Aによって売却することで、買い手から金銭的な対価が得られるというのもメリットの1つです。
リタイアする際に病院やクリニックを売り渡して対価を手に入れれば、今後のあなたの生活についての心配を減らすことができます。
そして、もしもM&Aをする際にスタッフがやめる場合にも、譲渡利益から退職金を支払うことができるようになるのです。
また、病院やクリニックのM&Aで得られるメリットは譲渡対価だけではありません。
病院やクリニックを廃業するのなら、撤退コストがかかります。
撤退コストは、たとえば病院やクリニックがあった不動産を入居時の状況に戻す原状回復費用です。
原状回復費用は病院やクリニックの状態によりますが、100万円以上かかることもあります。また、医療器具などを処分するのにもお金がかかります。
しかし、条件をうまく設定してM&Aを行えば、そのような廃業コストがかからなくなります。
新事業への挑戦や引退後の生活
病院やクリニックのM&Aを行えば、新事業へ挑戦したり、引退後の生活を自由に楽しんだりすることができます。
なぜなら、M&Aによって得られる譲渡対価を使えば新事業を始める資金や、引退後の生活費を貯めることができるためです。
したがって、病院やクリニックをM&Aして買い手から譲渡利益を手に入れれば、その後の生活での選択肢も広がります。
M&Aを行うことで、以上のような3つのメリットをオーナーは得ることが可能です。
しかし、病院やクリニックのM&Aを成功させるのは簡単ではありません。
病院やクリニックをM&Aするにあたって気をつけるべきポイントも存在しているので確認しておきましょう。
病院・クリニックのM&Aを実施する際に気をつけるべきポイント3つ
病院やクリニックのM&A実施の際、気をつけるべきポイントは、以下の3つです。
・準備は早めに
・売却事業の強みを明確化する
・譲れない売却先の条件を明確化する
これら3つすべて、病院やクリニックのM&Aを成功させるためには重要です。
それぞれのポイントについて、順番に見ていきましょう。
準備は早めに
病院やクリニックのM&Aを行うなら、準備はできるだけ早めに取り掛かりましょう。
M&Aは、すぐに譲渡先が見つかるとは限りませんし、相手が見つかっても条件面で折り合いがつかずに交渉が長期間に渡ることもあります。
病院やクリニックのM&Aは、一朝一夕にはできないので、早めに準備に着手するのが良いでしょう。
日々の経営や治療に追われていてなかなかM&Aの準備ができないなら、専門家に手伝ってもらうべきです。
売却事業の強みを明確化する
病院やクリニックのM&Aを行うなら、あなたの事業独自の強みを明確にしておくと良いです。
強みを明確にしておくことによって、より高い譲渡対価を手に入れることができます。
たとえば病院やクリニックなら、駅から近いことや、患者数が多いことなどです。
すぐにわからないなら、競合となる病院やクリニックと比較するとやりやすいでしょう。
客観的な強みを知りたいなら、専門家に相談するのが良いです。
譲れない条件を明確化する
病院やクリニックをM&Aするなら、どこまでなら条件を緩められて、どこからは譲れないのかという範囲を明確にするべきです。
今まで経営してきた病院やクリニックを手放すので、どの条件も捨てがたいと思います。
しかし、病院やクリニックがより良くなるためなら妥協するべき条件もあるかもしれません。
落ち着いて、条件面についてはしっかり考えてみましょう。
売却先候補との交渉段階で基礎的な条件すら悩んでしまうようでは、M&Aの成功は難しいです。事前に条件を整理しておいてください。
以上が、病院やクリニックのM&A実施の際、気をつけるべきポイントです。
しかし、そもそも自分だけではM&Aを行うのが難しいこともあるので、そのようなときは専門家に意見を聞いてみてください。
病院・クリニックのM&Aを相談するなら
病院やクリニックのM&Aを希望するなら、まずは専門家であるアドバイザーに相談しに行きましょう。
M&Aを行うなら、買い手探しをいち早く行ったほうが成功には近づきます。
したがって、M&Aをしたいと思ったらその段階で、アドバイザーに相談に行くべきです。
日々の病院やクリニックの経営は大変ですが、隙間時間を使ってでも早めに相談に行ってください。
M&Aアドバイザーに相談すれば、病院やクリニックのM&Aを行うにあたっての手続きを教えてもらえたり、買い手探しを行ってもらえたりします。
特に買い手探しは、相手とのマッチングや条件交渉など行うことが多いので、専門家に間に入ってもらったほうが円滑です。
安心してなんでも相談できるような専門家を見つけてください。
といっても、なかなか探すのも大変だと思いますので、東京でおすすめの相談先をご紹介します。
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