
事業売却と言えば、メーカーや商社、工場などがするものというイメージがあるかもしれませんが、美容室でも売却は可能です。
事業売却は、その名のとおり事業丸ごと、あるいは一部を売却することを指します。
簡単に決断できることではないので、まずは事業売却のメリットを確認しましょう。
事業売却を決断したら、売却に成功するために、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
ここでは、美容室の事業売却のメリットと成功のためのポイントについてご紹介します。
目次
事業売却で美容室オーナーは得をする?
全国チェーンの大手美容室が事業売却したケースがあります。
事業売却は、後継者不足を解消する方法として知られていますが、他にも様々なメリットがあるので確認しておきましょう。
金銭的メリット
事業売却の際には、美容室に値段をつけて売却します。
そのため、美容室の価値が高ければ高いほどにオーナーの手元に現金を残せるのです。
例えば、後継者不足によって廃業か事業売却のどちらかを選択することになった場合、廃業では手元に借金が残るケースがあります。
そうなれば、廃業後も借金の返済を続けることになり、今後の生活に支障をきたすことも考えられます。
事業売却によって手元に現金を残すことができれば、その金額によっては悠々自適の生活をおくれるようになるのです。
精神的メリット
美容室の数は非常に多く、競争率が高い業界となっています。
優秀な人材を育てあげても、マーケティングがうまくいかなければ、客数を増やすことは難しいでしょう。
このように、美容室の経営には、美容師としての知識や技術だけではなく経営のノウハウなどが必要なのです。
また、高い業績を挙げていたとしても、そのまま業績が安定するとは限りません。
そのとき限りではなく、リピーターがいなければ収益を挙げ続けることはできないのです。
売上が落ちて廃業せざるを得なくなった場合、自分だけではなくスタッフにも迷惑がかかります。
スタッフの年齢によっては他業界への転職が難しく、美容室への転職もうまくいかない場合があります。
このように、人の人生を自分が握っていることに大きなプレッシャーを感じている経営者は少なくありません。
事業売却によって経営者の立場から退けば、業績を挙げ続ける必要があることによるプレッシャーから解放されます。
時間的メリット
美容室のオーナーは、経営者の立場でありながら美容師としても活動するケースが多くみられます。
独立開業前からの顧客に施術するため、複数の店舗を1日中移動している方もいます。
また、場合によっては、スタッフが美容師のコンクールに出場するということで、特別レッスンを行うこともあるでしょう。
それに加えて経営者としての仕事をこなすことになるため、時間的な余裕がほとんどないことが多いようです。
事業売却によって経営者の立場から退けば、時間的な余裕が生まれるでしょう。
美容室の事業売却でまず始めにすること
美容室の事業売却を検討する際には、なぜ事業売却したいのか、いつまでに売却したいのか、どのようなことを強みとして交渉するのかを考えることが大切です。
それぞれ、詳しくご紹介します。
なぜ事業売却したいのかを明確に
事業売却の際には様々なメリットがありますが、その中でも自分は何を得たいのかを考えることが大切です。
例えば、金銭的なメリットを最も得たいと考えており、時間的な余裕や経営のプレッシャーからの解放については求めていない場合、想定した程の売却額がつかない際には、事業売却を再検討する必要が出てくるでしょう。
事業売却の理由を曖昧にすると、思っていたような結果にならず、売却したことを後悔するかもしれません。
金銭的なメリットを最も得たいのであれば、売却額について入念な交渉が必要となります。
事業売却を専門家に相談する際にも、このような目的や交渉で譲れないポイントなどを伝えなければなりません。
また、本当に売却してもよいのか今一度考えるためにも、事業売却の理由の明確化が必要です。
理由が明確化されれば、事業売却に向けて積極的に行動できるようになり、よりよい結果となるでしょう。
売却完了までの期限を設定する
事業売却の交渉は長引くケースがあります。
いつまでに売却完了したいかを明確化しなければ、思っている以上に時間がかかり、その間に業績が低迷する可能性も考えられます。
事業売却を決めた経営者は、現在の経営への興味が失われ、それが現場のスタッフへと伝わることで現場の雰囲気が悪くなることがあります。
いつまでに売却するか期限を決め、売却までは経営者として責任を持って業務を行うことが大切です。
一般的には、4~6ヶ月以上はかかるため、余裕を持って6~7ヶ月以上で期限を設定するとよいでしょう。
売却事業の強みを明確に
事業売却において、より高い売却額をつけるためには、売却事業の強みを明確にする必要があります。
売却額は、譲渡対象となる資産や美容室のブランド(のれん代)などによって決まります。
特に、美容室のブランドによって売却額が大きく変わるため、どのような強みがあるのかを買い手に伝えることが大切です。
単純に知名度が高いだけでも売却額は高くなりますが、継続的に利益を挙げ続けることができるビジネスモデルであれば、より売却額が高くなります。
例えば、顧客獲得のための施策として、プレゼントキャンペーンやクーポン券などを活用しており、実際に客数が増えている場合、収益性が高い美容室だと判断されます。
また、客数が具体的に何%増えたのか、顧客は継続してどれだけの期間通っているかなどのデータの提示が必要です。
そうすることで、美容室の強みが明確となり、より高い売却額がつく可能性があります。
また、思っていたよりも売却額が低かった場合でも、高値がつく根拠を示せるデータがあれば、交渉を有利に進められるでしょう。
専門家の相談・査定を受ける
事業売却は、専門家に相談することをおすすめします。
事業売却に関する知識を持たないまま実行してしまうと、不利益なことが起こる可能性があります。
専門家に相談するメリットは次のとおりです。
事業売却について理解を深められる
事業売却には、株式だけを譲渡する方法、事業を丸ごと譲渡する方法などいくつかの種類があります。
どのような方法が適しているのかについても、アドバイスを受けられます。
また、具体的にどのような流れで売却するのか、どのような手続きが必要かなどの情報も得られるため、事業売却について理解を深められることがメリットです。
信頼できる買い手企業と巡り合える可能性が高い
自分で買い手企業を探すことは非常に難しく、仮に見つかったとしても信用できる人物かどうかわかりません。
専門家に相談すれば、条件にマッチした買い手企業をピックアップしてくれます。
また、買い手企業が売り手企業の売上などの情報を把握している状態で交渉を始めるため、スムーズに事が運びやすいこともメリットです。
大体の売却額を算出してもらえる
専門家に相談すると、大体の売却額を算出してもらえます。
交渉によって高くも低くもなりますが、純資産額や現在の経営状況などを加味して大体の売却額を算出してもらえるため、手元に残せる大体の金額がわかります。
この段階で、思っていた金額よりも大幅に少なかった場合には、事業売却を取りやめることも可能です。
なお、売却額の計算は非常に複雑で、自分で計算すると大きなミスをする可能性があります。
営業権(のれん代)の計算には、美容室に対する思い入れやブランドなどを加味する必要があるため、経営者だけで計算すると、必要以上に高く設定してしまうことも考えられます。
交渉の落としどころのアドバイスを受けられる
専門家に事業売却の仲介を依頼すれば、交渉の落としどころのアドバイスを受けられます。
売却額には、美容室に対する思い入れによる額が加算されます。
買い手企業としては、思い入れを考慮しつつ交渉を行います。
売り手企業は、美容室に対する思い入れが強いほどに売却額に加算しますが、加算しすぎると交渉が決裂する可能性があります。
そのため、お互いに譲歩しつつ落としどころを見つけることが大切です。
専門家は、これまでの経験から交渉の落としどころを見極め、的確にアドバイスしてくれます。
美容室の事業売却を行う際のポイントは
美容室の事業売却を成功させるためには、いつ行動を開始するか、交渉期間中の立ち振る舞いなどについて慎重に考える必要があります。
成功のポイントについて、詳しくご紹介します。
思い立ったが吉日
事業売却によるリスクは、「思っていたよりも高く売却できなかった」、「信頼できない企業に売却してしまった」、「交渉期間中に業績が低迷して売却額が下がった」といったことが考えられます。
このようなリスクを十分に踏まえたうえで、事業売却をするかどうか決めることが大切です。
そして、事業売却を思い立ったら、できるだけ早く行動を始めましょう。
行動を先延ばしにすると、状況や考え方が変わり、事業売却を取りやめることになるかもしれません。
事業売却を思い立ったということは、そのときがベストな状況と言えるため、できるだけ早く行動を開始することが大切です。
最初に、専門家に相談しましょう。
もしくは、事業売却の経験がある知人に話を聞くことをおすすめします。
事業売却がどのような流れで行われるのか、理想と現実の差を知ることができれば、失敗のリスクを抑えることができます。
売却確定まで従業員や顧客を不安にさせない
事業売却することを従業員や顧客に知らせるタイミングについては、十分に考慮しなければなりません。
美容室の場合、オーナーに憧れて入社する人物もいます。
そのような従業員は、事業売却によるオーナーの退任を機に退職してしまうケースがあるのです。
美容室の顧客は、美容師を指名することがほとんどです。
つまり、顧客を多く抱える従業員の退職は、美容室の経営悪化に直結します。
また、オーナーが変わると、顧客が離れてしまうことも考えられるでしょう。
事業売却を思い立ち、何も決まっていないような状態で従業員や顧客に伝えると、不安にさせてしまいます。
従業員のモチベーションの低下や顧客離れによって、経営が悪化する可能性もあります。
だからと言って、実際に事業売却が完了し、引き継ぎ期間に入ってから告知すると、混乱させてしまうでしょう。
このような事態を防ぐために、売却完了の数ヶ月前までには伝えておくことが大切です。
その際には、どのような企業に売却するのか、今後どのような体制になるのか細かく伝えておきましょう。
従業員には、引き続き働いてもらいたい旨を伝え、不安にさせないよう情報を開示することが最善策と言えます。
顧客にも、引き続き変わらないお付き合いをしていただきたい旨を伝えましょう。
美容師が変わったりサービスが悪くなったりする心配はほとんどないことなど、不安にさせないよう伝えることがポイントです。
事業売却をした先の目標を決める
事業売却後、手元に残った現金をどう扱うのかを決めましょう。
生活費にあてるのか、株やFX、不動産投資などの資金にするのかなど、具体的な使い道を決めておくことが大切です。
その方が、事業売却の交渉に対するモチベーションが高くなり、よりよい結果となる可能性があります。
また、事業売却によって得た現金を資金として、新たに会社を立ち上げるのも1つの選択肢です。
美容室以外にも、ネイルサロンや脱毛サロン、化粧品販売など美容関連の事業を展開している場合、美容室の事業売却で得た資金を元手に事業拡大を狙うこともできます。
このように、事業売却によって得た現金の扱いを決めておくことで、具体的な売却希望額を割り出せます。
売却額が売却希望額よりも大きく下回るということは、当初の目的を達成できないということであるため、交渉の中止を視野に入れた方がよいでしょう。
美容室の事業売却の相談先
美容室の事業売却を検討する際には、M&Aや事業承継の専門家に相談しましょう。
専門家に相談せずに事業売却をする場合、全く知識を持たない状態で買い手を探し、交渉することになります。
適切な売却額を算出できず、相場よりも安く売却してしまう可能性もあるでしょう。
そうなると、事業売却のメリットを十分に得られず、後悔することになるかもしれません。
事業売却は、専門家に相談し、事業売却の流れの説明や売却額の算出、交渉のアドバイス、売却の手続きの代行などのサービスを受けましょう。
特に売却額をできるだけ高くして事業売却を行いたい場合は、M&Aコンサルティング社に相談するのがおすすめです。
M&Aコンサルティング社は、事業価値を最大化してから売却することを得意としています。
美容室の事業売却の相談に乗った経験もあるので、美容室のオーナーの方にとっては相談がしやすいのではないでしょうか?
匿名で相談や査定依頼ができるので、最初に美容室の事業売却について相談する相手としてはぴったりだと思います。
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