ヘアサロンのM&A事例から学ぶ成功のポイント6つ

ご事情からヘアサロンの運営をやめたいとお考えの場合、ヘアサロンを畳んでしまうよりも、「M&A」で外部の人に譲ることで様々なメリットがあります。

また「自社だけでは事業の拡大が難しい、上場なんて夢のまた夢」という場合も、M&Aを検討すべきです。

M&Aなら、

  • 有力グループ傘下に入れる
  • 従業員の雇用はそのまま維持できる
  • 売却で資金を手にできる

など、上手く利用すれば創業者にとってお得なメリットがあるのです。

この記事では、「M&Aってどうやったらいいのかわからなくて不安」という方のために、ヘアサロンオーナーがM&Aを選ぶ理由や実際にあったM&Aの事例、成功させるポイントなどをお届けします。

 

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目次

ヘアサロン業界の現状

ヘアサロン業界のM&Aについて知る前に、まずはヘアサロン業界の現状を把握しておきましょう。

 

ヘアサロン業界は新規出店も多いが廃業も多い!?

ヘアサロン業界全体の売上高は1.5兆円ほどと言われていますが、業界全体として年々縮小傾向にあります。

しかし店舗数は毎年増加しており、限られたパイをめぐってたくさんのヘアサロンが激しい競争を繰り広げている状況です。

全体の売上高が少なくなる一方で、ヘアサロンが増えるということは、単純に計算すれば一店舗当たりの売上高は減少傾向にあり、非常に厳しい状況といえます。

開店後3年以内に、9割のヘアサロンが閉店するとも言われており、今後はより一部の人気ヘアサロンに客が集中し、その他は閑古鳥が鳴くという状況となっていくでしょう。

ヘアサロンの数はコンビによりも多く、消費者の立場としてみてみても、首都圏では新しいヘアサロンがどんどんオープンしているのを感じるのではないでしょうか?

ヘアサロン検索サービスでも、新規店舗がどんどん追加され、いつのまにかいなくなっているヘアサロンがあります。

日本人経営者が日本でオープンしたヘアサロンもあれば、海外の人気ヘアサロンが日本に上陸してできたヘアサロンもあり、国内だけの競争だけでなく、海外からのライバルの登場も競争の激しさに拍車を掛けます。

あまりのヘアサロン数の多さに、初回クーポンを使って毎回新しいヘアサロンで安く施術を受けるという人もいるくらいです。

ヘアサロンオーナーはもちろんのこと、ヘアサロン業界以外で働く人でも、競争の厳しさが分かりやすい業界なのです。

 

働き先としては不人気?ヘアスタイリストは増加だが免許取得は減少傾向

ヘアサロン数は増加傾向ですが、一方でそこで働くヘアスタイリストの数はどうなのでしょうか?

ヘアスタイリスト数は年々増加しているのですが、免許の取得数は減少傾向にあります。

これは競争が激しいことはもちろん、長時間労働、肉体労働、薄給などの理由により、ヘアスタイリストが厳しい仕事だという認識が浸透してきたこと、また少子化が原因だと考えられます。

見習いからヘアスタイリストにまで昇格できても、見習いでも、環境の苛酷さを訴える様々な声を聞きます。

  • 休憩時間がなくてお昼が食べられない
  • トイレにいく時間もなくて膀胱炎になってしまった
  • 朝は朝礼、日中は接客、夜はヘアスタイリスト同士で練習・勉強会
  • 水を使う仕事なので手があかぎれになって痛い
  • 髪を染める染料で手指が荒れる
  • カリスマヘアスタイリストになれば稼げるが、普通のヘアスタイリストでは労働時間に対して薄給
  • 道行く人に声を掛けて練習台になってくれるように依頼をしなくてはいけない
  • ヘアサロンのチラシのポスティングをしなくてはいけない
  • 技術職でありながら、接客業でもあるのでメンタルがきつい

ぱっと思いつくものでも、このくらいの不満の声がヘアスタイリストから挙がっている状況です。

ヘアスタイリストの3年以内離職率は7割ほどで、せっかく免許を取得しても別の仕事についてしまう人が多いのです。

そのため最初からヘアスタイリストを目指す人が少なくなってしまうのも納得です。

人材の確保に頭を悩ませているヘアサロンも多く、人員確保の困難により事業縮小や閉店を考えるオーナーもいます。

しかし、そのような状況でもヘアスタイリストを目指す人は、それだけ真剣にヘアスタイリストになりたいと考えている人が多いため、そのような人を雇用できれば、技術力を集客力のあるヘアスタイリストを抱えることができます。

そのような人材にも選ばれる経営手腕がヘアサロンのオーナーに求められています。

 

サービス内容は技術力アップ・関連サービス増加!?

施術別の売上高を見ると、女性に絞ってみてみると、ヘアサロンの基本的なサービスである、ヘアカット、カラー、パーマなどは減少傾向にあり、一方でトリートメントやヘッドスパ、ヘアセット、着付けなどは増加傾向にあります。

最近ではただ髪を切るのではなく、いかにキレイな髪か、という点を気にする女性が増えたことが原因だと考えられます。

また、着付けやヘアセットなどの関連サービスを提供することで売上を伸ばしているヘアサロンも増えてきました。

基本的なサービスでの売上減少に対して、新規サービスを模索していることがうかがえます。

成人式や結婚式など、晴れの舞台できれいな姿でありたいという女性からの需要があるためでしょう。

一方で男性はヘアカラー以外はすべて増加傾向にあります。

男性の美容に関する意識の高まりを受けて、と考えられます。

しかし現代では社会人男性、とくに会社員の男性が髪を染めるのはあまり受け入れられておらず、今後もそのような考え方が一般的である限りはヘアカラーの売上を伸ばすのは困難といえるでしょう。

 

今後のヘアサロン業界の課題

以上踏まえると、今後、ヘアサロン業界では独自性や柔軟なサービス対応、カリスマヘアスタイリストの在籍など、何かしらの差別化を図った店舗でなくては生き残っていくのが難しくなると考えられます。

人が生きる限り、ヘアサロンの需要はなくなりはしないでしょうが、少なくとも少子化と人口減の進む日本では、ターゲット数の母数が減少していきます。

とくに地方での人口減がこれから一気に進んでいくといわれており、地方でのヘアサロン営業は顧客がそもそもいないということにより厳しくなっていくでしょう。

また大都市では大都市で人口が集中するため、ヘアサロン同士の競争が激しくなっていきます。

今後の生き残りのためには、例えば高齢化が進み高齢者が多いので、高齢者向けサービスと一緒にヘアサロンのサービスを提供したり(例.老人ホームへの出張サービスなど)、ヘアサロン同士が統合して規模の大きい企業となったり、今とは異なるあり方が必要とされます。

 

この記事では、そんなヘアサロン業界における今後の活路として、「ヘアサロンのM&A」について詳しくご紹介していきます。

ヘアサロンオーナーで、今後の経営について不安を抱えている方や、今後業界で人気のヘアサロンをバリバリと経営していきたいという方の参考になれば幸いです。

 

M&Aの現状

ヘアサロン業界のM&Aについて詳しく説明していく前に、そもそもM&Aの現状について説明したいと思います。

企業間の合併や買収のことを指すM&A。

普通はM&Aを行ったことのある企業経営者やこれから行おうとしている経営者、M&Aの仲介を行っている人たちくらいしか、触れる機会のないものです。

その他の人がM&Aと聞くと、ニュースやドラマに出てくるM&Aをイメージし、派手な話題になるものとして認識しているかもしれませんね。

有名企業が有名企業に対して敵対的M&Aを仕掛けた、会社が他社に買収されそうで主人公がそれを阻止するために奔走する、など世間をにぎわせたり創作物に出てくるM&Aというものは、人目をひくような派手な企業間の戦いです。

しかし、敵対的M&Aというのは実は数が少なく、世の中のM&Aのほとんどが友好的M&Aなのです。

買収する方も、される方も、お互いが望んで、交渉を重ねて、納得した上で行われるものなのです。

それではM&Aの件数や世の中の動きなどについて詳しくみていきましょう。

 

M&Aの件数は?

日本企業が関わったM&Aの件数は、2019年に初めて4,000件を突破して、4,088件となりました。

なお、日本企業同士のM&A、日本企業による海外企業のM&A、そしてその逆である海外企業による日本企業のM&Aの数です。

意外と多いと思ったのではないでしょうか。

年間のM&A件数は、80年代に数百件規模でしたが、バブル崩壊後、年々件数を増加させ、1999年には1,000件を突破しています。

その後も件数を増やし、数千件の規模に膨らみます。

リーマンショック後に件数が減少しますが、2011年を境にまた件数が増加してきており、2019年の4,000件突破となったのです。

 

なぜこのような件数の増減があるのか。

そこには少子化と景気の問題があると考えられます。

よくドラマやニュースで「創業者一族の内紛」のような話題が取り上げられます。

とくにドラマでこのような内容が取り扱われるのは、日本では親族経営の中小企業が多く、ドラマの設定にしたときに視聴者に受け入れられやすい設定である、ということが1つでしょう。

多くの日本企業が一族経営の中小企業で、代々子どもや孫が後継者になることが当然のように考えられていたのが昔の日本です。

仮に子どもや孫が後継者になれない状況だったとしても、新卒からずっと1つの企業に勤めることが一般的だったため、従業員の中から後継者を選ぶのもそこまでハードルの高いことではなかったのです。

そして、戦後から人口は増加、内需も高まり、景気が良かったのです。

銀行の融資も今に比べると得られやすい時代でした。

企業がM&Aを選択せざるを得ない状況になることも少なく、そのような理由から日本のM&A件数はアメリカに比べて少なかったのです。

しかしバブル崩壊により、状況が変わります。

景気が悪くなり、バブル崩壊前から問題視されていた少子化に歯止めがかからなくなりました。

リストラも増え、新卒から定年まで従業員を雇える企業も少なくなります。

そのような状態から転職するハードルが以前よりも低くなり、余計に長く勤める従業員が減っていきます。

後継者となる親族や従業員がいない、業績が悪く会社の存続が難しい。

そのような状況のなかで、経営者が目をつけたのが、アメリカでは一般的な経営手段であるM&Aだったのです。

M&Aの件数が増加していく中で、M&Aのメリットが経営者の中で広く知られるようになり、M&Aの道を選択せざるを得ない状況以外に、望んでM&Aを選ぶ経営者も増えてきたのです。

そうして今では年間4,000件ほどのM&Aが実施されているのです。

 

このM&A需要の高まりは、M&Aの仲介業者やプラットフォームなども生み出しました。

M&A市場が形成され、新規参入する企業もそこで取り扱われるM&A件数も増加の一途です。

 

M&Aで損をすることはないのか?

M&Aでは多額の資金が移動します。

つまりそのお金を狙っている人も増えるわけです。

M&Aの仲介業者にも様々あり、中には詐欺まがいの仲介者も現れてきます。

M&Aを悪用して金儲けを考えている人に仲介を依頼してしまった場合、経営者は損をしてしまうでしょう。

そのため、M&Aを選択する前に、一度冷静によく考える必要があります。

 

まずM&Aを選ぶ目的です。

目的なくM&Aを行うことはありません。

そしてM&A自体は目的ではなく手段です。

「M&Aを経験してみたい」というのも、その裏には「経営者として経験や知見を増やしたい」「今後のキャリアのため」「資金を得たい」などの理由があるはずです。

その目的を達成するための最適な手段が、果たしてM&Aなのか。

しっかり検討しましょう。

 

そして、もしM&Aが最適な手段だという結論が出るのであれば、きちんとした仲介業者を見極めることが重要です。

上場企業や会計事務所がM&Aの仲介を行ってくれる場合は、基本的に問題ないでしょう。

経営者自身でM&Aの相手を探そうとすると、M&Aに関する情報が流れやすく、また身元の不確かな仲介業者が近づいてくる恐れがあります。

一方で上場企業は株主がいるため犯罪や犯罪まがいのことがしづらく、また会計事務所は資格の剥奪などの不利益をこうむりたくないという考えから、基本的にしっかりとした仲介サービスを行ってくれます。

そのため企業価値の算出も、確かな知識と目線で行ってくれるので、本来の価値よりも低い金額でM&Aを行ってしまうことが起こりにくいのです。

そしてM&Aを成功させるために、譲受先企業として身元の確かな企業を探してくれます。

そのようなM&Aあれば、基本的に損をすることはないと考えていいでしょう。

 

ただし、損をしないということは、莫大な利益が得られるということとイコールではありません。

将来性のない市場や事業だと判断されれば、算出される企業価値は低くなるのは当然のことです。

もしお金を得ることが目的なのであれば、“売れる”会社にするための努力や工夫が必要です。

 

M&Aの基本的な点を押さえた上で、それではここからはヘアサロン業に絞って、M&Aについて説明していきましょう。

 

ヘアサロンオーナーがM&Aを選ぶ理由とは?

ヘアサロンオーナーがM&Aを選ぶ理由は様々です。

 

  • 早期リタイアしたい
  • 後継者がいない
  • 個人の事情により事業から撤退したい
  • 大手グループの資本力の元で経営、管理がしたい
  • 事業は順調だが、他事業にチャレンジしたい
  • IPOを目指しているが自社単独では難しい

 

このような事情を抱えたヘアサロンオーナーは、単にヘアサロンを廃業したりIPOを目指したりするよりもM&Aを選んでいます。

 

では、M&Aを選ぶメリットを見てみましょう。

売却を考えているオーナーがM&Aを選ぶメリットは、5つ。

 

  1. 廃業のコストがかからない
  2. 後継者問題を解決できる
  3. 激しい競争の中で生き残っていける
  4. 売却で資金を手にできる
  5. 事業の拡大や成長ができる

 

ということが主に挙げられます。

詳しく見ていきましょう。

 

廃業のコストがかからない

通常、事業から撤退する場合には、物件の原状回復などの諸経費がかかります。

雇用していた従業員がいる場合には、解雇に伴う諸手続きや経費がかかります。

廃業のためには膨大な費用が必要になってくるのです。

 

M&Aでは、このような廃業コストが必要ありません。

ヘアサロンの物件はもちろん、雇用していた従業員などもそのまま譲渡できるからです。

譲渡される側にとっても、

 

  • 物件の改装の必要がない
  • 従業員を探さなくてもいい
  • 顧客をそのまま引き継げる
  • よいビジネスモデルを取り入れることができる

 

というメリットがあるため、双方にとってM&Aは利益のある売却システムなのです。

 

後継者問題を解決できる

「ヘアサロンの経営は順調なのに、後を継げる人がいない。従業員も顧客もいて、廃業を選択するデメリットが大きすぎる」という場合にM&Aがおすすめです。

人は必ず年をとるので引退を考えるときがやってきますし、早めにリタイアしたいという方もいます。

しかし廃業を選べば、働いている従業員の雇用や通ってくれるお客様に対して影響を与えないわけにはいきません

ヘアサロンのM&Aでは事業の形は残しつつ、譲渡先へ経営権が譲渡されますので、従業員も雇用したまま営業し続けることができます。

 

激しい競争の中で生き残っていける

ヘアサロンが日本にどれだけあるかご存知でしょうか?

なんと、24万超ものヘアサロンが存在しています。

街中にたくさんあるコンビニでさえ5~6万件ですので、その4倍もの数があるヘアサロンは自ずと競争の激しい業界となります。

他のヘアサロンと差別化を図るために、各社様々なサービスを展開しています。

髪を切ったり染めたりするメニュー以外に、例えば子どもを預かるスペースがある、映画を見ながら髪を切れる、漫画が充実しているなど特徴をもった店舗が誕生していますが、やはりどこかのヘアサロンがやり始めれば他のサロンも真似をし、結局大した差別化にならないという状況に陥ってしまいます。

また、ヘアサロンの仕事は人が生きる限りなくならないといわれる一方、少子化による人口減を考えれば、自ずと店舗数も少なくなっていくでしょう。

売上拡大や成長はせずとも現状をキープできればいい、というヘアサロンも現状維持すら難しい時代がやってきてしまいます。

そこで他のヘアサロンとM&Aで1つになることで、資金力や経営力を安定させ、今後も厳しいヘアサロン業界で生き残るのです。

 

売却で資金を手にできる

M&Aでは、売却した利益をオーナーが得ることができる、売却利益があります。

ヘアサロンのM&Aで得た利益は退職後の貯えとしたり、新規事業立ち上げのための資金に充てたりすることもできます。

ヘアサロンを経営している方の中には、ネイルサロンなどの他サロンサービスやアパレル・和装関連、健康関連などの事業を展開している方もいます。

ヘアサロンをM&Aによって手放し、その利益で残った事業を成長させることも可能です。

廃業は支出しかありませんが、M&Aであれば最終的にプラスになることもあるのです。

 

事業の拡大や成長が可能

経営者としての目標の1つにIPO(上場)があります。

上場することで市場から資金を集め、事業に投資し、さらなる成長や事業拡大を狙うことができます。

会社の認知度やブランド力も向上し、そこで働く従業員のモチベーションのアップやさらなる顧客獲得にも繋がります。

 

しかしIPOは容易ではありません。

IPOには資金も、人材も、知識も必要です。

無事にIPOできたとしても、その後の経営では市場・投資家から評価されるような結果を出す必要があります。

すべての経営者がIPOに耐えられる企業づくりができるとは限りません。

資金の問題もあれば、人材の問題もあり、そもそもビジネスモデルが市場から評価されにくいというケースもあります。

ヘアサロンの場合は特に人材の問題があります。

営業時間外の勉強会や練習などもあり、1日中立ちっぱなし、トイレに行く暇もないというくらいに美容師の仕事は激務であり、給料は安い傾向にあり離職率は高い業界です。

美容師の離職率は1年目で50%、3年目で80%、10年目で92%といわれています。

IPOを目指して会社を成長させたくても、人が入っては辞めていく状態であれば、そのような余裕はありません。

 

そこでM&Aです。

ヘアサロンの運営会社はM&Aによって大企業の傘下に入り、その資本力や経営力を使って事業を成長させていくという道を選ぶことができます。

上場企業の傘下に入った場合は従業員の待遇も改善しやすく、IPOしなくても実質IPOをしたような状態になるのです。

 

以上のようなメリットのあるM&Aは、ヘアサロンの廃業を検討している方やヘアサロンの成長を考えている方にはぜひ視野に入れて欲しい選択肢です。

では、ヘアサロンをM&Aで譲り受ける側にとってのメリットにはどんなものがあるのでしょうか。

譲り受ける側のメリットを知っておく事も、美容室のM&Aを行う上で重要です。

次に美容室を譲り受ける側にとってのM&Aのメリットを見ていきましょう。

 

譲受先企業がヘアサロンのM&Aを選択する理由とは?

ヘアサロンオーナーでM&Aの道を選んだ場合、譲受先企業にとってのM&Aのメリットを知っておくことは、相手の心理を知ることに繋がるので譲受先選びや相手との交渉において役に立つはずです。

ぜひヘアサロンオーナー自身のメリットだけでなく、M&Aの相手にとってのメリットをも把握しておきましょう。

 

譲受先企業は2つのタイプに分けることができます。

すでにヘアサロンの経営をしているか、していないかです。

それによってM&Aでヘアサロンを獲得する理由が異なってきます。

すでにヘアサロンを経営している場合にM&Aで新たにヘアサロンを獲得する主な理由は、

  • すでにヘアサロンを経営していて規模拡大を図りたい
  • すでにヘアサロンを経営していて美容師を確保したい
  • すでにヘアサロンを経営していて客層を広げたい

というものがあります。

一方、既存事業にヘアサロンの経営がない企業の場合、

  • 参入のハードルが低い
  • 複数事業を持つことで経営の安定性を高めたい
  • 既存事業との相性が良い

という理由があります。

それでは、それぞれ詳しくみていきましょう。

 

すでにヘアサロンを経営していて規模拡大を図りたい

すでに経営しているヘアサロンが軌道に乗っている場合、事業をさらに拡大したい、店舗を増やしたいという理由により、M&Aで他のヘアサロンを譲り受けることで実現しようとするケースがあります。

例えば関東を中心に店舗展開をしているヘアサロンが関西を中心に店舗展開しているヘアサロンをM&Aで譲り受けるケースなどです。

すでに特定の地域に出店をしているヘアサロンを譲り受けることで、譲り受けたヘアサロンでのブランドと、既存で運営しているヘアサロンブランドの両方で新たな地域で営業することができます。

 

対象になりやすいヘアサロンの例として、譲受先企業がすでに展開しているエリアと異なるエリアでヘアサロンを運営している企業や独自の強みを持っているヘアサロンです。

基本的には譲受先企業と異なるエリアで、かつ譲受先企業が欲しいと思うような企業となるため、そのエリアでの知名度の高いヘアサロンであることが望ましいでしょう。

また、独自の強みを持っていれば、ヘアサロンのM&A後もそのエリアで戦っていけると判断されやすく、M&Aの譲受先探しも有利になることでしょう。

 

すでにヘアサロンを経営していて美容師を確保したい

事業を拡大させたい、店舗数を増やしたいという理由以外にも、すでにヘアサロンを経営している企業がM&Aで他のヘアサロンを欲しがる理由があります。

それは美容師です。

美容師は朝から夜まで縛られ、1日中立ち仕事、お昼を食べたりトイレにいく時間も取れなかったり、とハードワークです。

そのため美容師の離職率は高く、またより良い待遇のヘアサロンに転職してしまうなど、常に人材確保が問題となる業種です。

求人を出して人を採用するよりも、M&Aで獲得してしまえば一度に経験者を複数人獲得することができます。

 

対象になりやすいヘアサロンの例として、採用力が高い、離職率が低いヘアサロンが挙げられます。

やはりそのようなヘアサロンを運営する企業には、採用・人事の面で強み・ノウハウがあります。

それを横展開できれば、他のヘアサロンも同じように採用力の高い、離職率の低いヘアサロンにできるかもしれないからです。

「ヘアサロン業界=離職率が高い、人が集まらない」とあきらめずに、どうすれば多くの人が働きたいヘアサロンになるかを考え続けたオーナーには、M&Aのときに相手から欲しいと思ってもらいやすいというメリットがあるのです。

 

すでにヘアサロンを経営していて客層を広げたい

多くのヘアサロンにはそれぞれブランドコンセプトがあり、ターゲットとする客層が決まっています。

そのため経営しているヘアサロン次第で客層が決まり、客層を広げるには別のブランドでヘアサロンを経営するのが主です。

既存のヘアサロンでも客層を広げられないわけではありませんが、あまりにもかけ離れた客層に広げるとなると、今のブランドコンセプトを大きく変えることになり、既存顧客の流出につながります。

そこで、客層の違うヘアサロンをM&Aで獲得し、客層の幅を広げるのです。

客層を広げれば単純に売上があがりますし、他にも、例えば30代の子どもを持つ女性を主なターゲットとしているヘアサロンが、子どもや男性の集客が得意なヘアサロンをグループ化すれば、既存顧客の女性を通してその夫や子どもも顧客にできるかもしれません。

 

対象になりやすいヘアサロンの例として、ターゲット層が明確であること、特徴がとがっていることが挙げられます。

ターゲット層が明確でないヘアサロンでは、譲受先の既存ヘアサロンとターゲットが同じなのか違うのか、判断ができません。

ターゲット層を絞ると、それだけ売上アップの可能性を狭めてしまうことにはなりますが、その分そのターゲット層に刺さるヘアサロンにすることができ、M&Aにおいても譲受先に刺さりやすいヘアサロンにすることができます。

 

参入のハードルが低い

ヘアサロン経営をしていない企業がヘアサロン業界に参入するには、新しくお店を立ち上げて一から始めるか、すでにあるヘアサロンをM&Aで譲り受けるかの2択です。

一から始める場合、お店を用意し、美容師を採用し、集客しなければなりません。

ヘアサロンはコンビニよりも多く、ブランド力もない無名のヘアサロンが一からやっていくのは簡単はことではありません。

それならば、すでに美容師も顧客も十分に抱えているヘアサロンをM&Aで譲り受ける方がハードルは低くなります。

ヘアサロンの仕事は、人間が髪を切る限りなくならない仕事です。

人口減によって需要の全体数は減っても、完全にゼロになることは考えにくいのです。

ヘアサロンは経営が軌道にのれば十分に利益を生み出すことができます。

ただ、参入の際のリスクだけは可能な限り低くしたいと考えるのです。

 

対象になりやすいヘアサロンの例として、現時点で軌道に乗っている・十分な利益を出せているなどの好条件であることはもちろん、ヘアサロン経営が初めての企業でも運営できるよう、店舗経営の方法がマニュアル化されているお店が好まれやすくなります。

特定の既存従業員や経営者に依存したヘアサロンをM&Aで譲り受けても、新オーナーが運営できずに経営が悪化、廃業の道を選ばざるを得なくなるからです。

オーナーのカリスマ性で経営ができているヘアサロンは確かに魅力的ですが、M&Aの譲受先企業にとってはあまりいい条件とはいえないのです。

誰でも運営できる、というのは意外と重要な項目です。

 

複数事業を持つことで経営の安定性を高めたい

事業を1つに絞ってしまうと、その事業が傾いたときに会社は倒産の危機にあいます。

そこで、複数の事業を持つことで経営の安定性を高めるということができます。

もし片方の事業の状況が悪くなっても、もう片方の事業で利益を生み出せていれば、厳しくはなっても倒産にまで追い込まれずにすみます。

前述したように、ヘアサロンは人が生活していく限り、需要がゼロになることはない産業です。

そしてどのくらいの利益が1店舗から出るか、どのくらいの経費がかかるか、計算がしやすいのも特徴です。

会社を安定して経営させるには、毎月の利益が計算しやすいというのは強みとなります。

 

対象になりやすいヘアサロンの例として、 これもヘアサロン経営が初めての企業でも運営ができるよう、ある程度マニュアル化されて、軌道に乗っているヘアサロンが挙げられます。

複数の事業を経営しているのであれば、100%全力をヘアサロンに向けることはできません。

既存の事業を運営しながら、ヘアサロンの経営にも乗り出すのであれば、ある程度経営状況が整っているヘアサロンであることが望ましいでしょう。

もし赤字のヘアサロンを譲り受けたとしたら、それは経営の安定性につながるどころか、それが原因で会社全体が傾く可能性すらあるのです。

 

既存事業との相性が良い

例えば、着物やパーティードレスのレンタル・着付けのサービスを提供している企業がヘアサロン事業を持てば、サービスを合わせてでも提供ができます。

このように既存事業との相性がよければ、さらなる利益拡大を狙うことができます。

ヘアサロンは身だしなみをきれいにする1つの手段を提供している場所ですので、同じく身だしなみに関する事業との相性がよいのです。

パーマをあてている時間にネイルまでできれば、女性にとってはとても楽ちんです。

一緒に利用してもらえるようなサービスがあれば、一緒に提供することで顧客単価をあげられるかもしれません。

逆にまったく関係のない事業を展開している場合は、前述の経営の安定性を高める点では有効ですが、抱き合わせでサービスを提供することはできず、あまりメリットがあるとはいえません。

 

対象になりやすいヘアサロンの例として、他の事業やお店とコラボしやすいヘアサロンであることです。

あまりにもターゲットが限定的だとしたら、既存事業とのシナジーは難しくなるでしょう。

万が一シナジーが生まれる可能性があったとしても、それをヘアサロンのM&Aの相手に納得してもらえるように伝えるのが難しくなります。

シナジーが生まれるかどうか、相手も一緒に想像できないのであれば、実現可能性が低いと判断されてしまうでしょう。

 

以上がヘアサロンを譲り受ける側のM&Aを選択する理由でした。

次に、ヘアサロンのM&A事例をもとに、M&Aで成功するためのポイントを見ていきましょう。

 

ヘアサロンのM&A事例

ヘアサロンのM&Aの成功のポイントを知るには、成功事例と失敗事例の両方から学ぶのが近道です。

ヘアサロンのM&A事例を調べておけば、実際に自分のヘアサロンをM&Aで譲り渡そうと思ったとき、どのような企業が相手になりうるのか、自分のヘアサロンのどこをアピールすべきなのかなどが分かるはずです。

「ヘアサロン M&A事例」などで検索するとニュース記事や事例を紹介する記事が見つかると思いますし、有名な大手ヘアサロンチェーンや服飾系サービスを展開している企業はヘアサロンのM&Aを経験していることが多いので、「企業名 M&A」などで検索してもヘアサロンのM&A事例を調べることができるでしょう。

様々なヘアサロンのM&Aの事例、成功したケース、思ったような結果にならなかったケース両方を調査してみました。

今回はヘアサロンのM&A事例を6つご紹介します。

 

ヘアサロン「Agu」のM&A事例

ヘアサロン「Agu」の事業譲渡に成功した、株式会社ロイネスとB-first株式会社(以下、Aguグループ)の事例から見ていきましょう。

譲渡の背景

「Agu」のブランド名で、ヘアサロンを展開するAguグループ。

フランチャイズチェーンのヘアサロンとして成長し続けていました。

経営状態はよく、今後も店舗数は伸びていく見込みで、数年内に1,000店舗を実現して日本最大手のヘアサロンチェーンとなる目標を持っています。

ですが、2017年当時、Aguグループの管理スタッフは数名で、目標実現のための人員が不足していることが問題でした。

 

オーナーは、「目標実現のための管理体制と戦略に、外部のプロフェッショナルの支援を受けることが必要」と判断し、M&Aを決断しました。

 

事業譲渡完了までの流れ

まずオーナーは、スパイラルコンサルティング社をM&Aアドバイザーとして選びました。

スパイラルコンサルティング社は最初にAguグループの事業理解を深めてビジネスモデルを分析、整理し、Aguグループの経営理念を適切に評価する譲渡先へ紹介しました。

譲渡先候補は、Aguグループのビジネスモデルを評価、賛同する企業を選んで紹介し、そこからどこと交渉するか絞って行きました。

スパイラルコンサルティング社はこのように譲渡先の紹介業務や、譲渡のための資料整理や分析などを直接的にサポートしました。

 

実際の譲渡完了までの流れは、

 

【1】ビジネスモデル、独自性、優位性等の整理

【2】適切な企業価値の算出

【3】譲渡先候補の紹介・意向表明提出・選定

【4】譲渡交渉

【5】譲渡先の決定

 

といった順で行われ、スパイラルコンサルティング社へ相談してから譲渡成立までに約1年がかかりました。

結果的に100億円超で交渉が成立。

双方が満足できる譲渡額・条件での譲渡が成立しました。

 

創業者のM&Aへの評価まとめ

当初の目的にあったように、オーナーは譲渡後も1,000店舗実現のために譲渡先の支援を受けながら、社長としてヘアサロン経営に関わっています。

オーナーはスパイラルコンサルティング社がAguグループのビジネスモデルを深く理解してM&Aを進めていけたことに満足しているそうです。

譲渡先であるサンライズ・キャピタルとの交渉もスムーズに行われ、オーナー側、譲渡先の双方が満足するM&Aが行われました。

 

  • M&Aアドバイザーがビジネスモデルを深く理解してくれ、その魅力を譲渡候補先に伝えてくれた
  • ビジネスモデルを正当に評価してくれていたからか、スムーズに交渉が進んだ
  • 譲渡完了し、オーナーは社長としてサンライズ・キャピタルとともに順調に経営にあたっている

 

ヘアサロン「La Bonheur」のM&A事例

ヘアサロン「La Bonheur」を首都圏中心に運営している株式会社L.B.Gは、株式会社ヤマノホールディングスに株式を譲渡し、2019年10月にヤマノホールディングスの連結子会社となることとなりました。

 

譲渡元である株式会社L.B.Gは、20代~30代女性をターゲットとした中高価価格帯のヘアサロンとして「La Bonheur」の店舗を運営しています。

創業者であり代表取締役でもある鈴木宏幸氏は、「美容業界を変えたい、美容業界で働く人の待遇を底上げし、顧客へのさらなる価値提供を」という考えのもと、会社設立からたったの5年で15店舗に増やし、スピードのある事業成長を進めてきました。

高い集客力や安定したスタイリストの確保の実現により、ヘアサロンの従業員を正社員雇用し、全店舗直営店という運営方針を掲げています。

その高い集客力とスタイリストの安定確保を支える、市場分析力、自社アプリを利用した既存顧客の囲い込み、webマーケティング力などが株式会社L.B.Gの強みであり、今後もさらなる店舗拡大が見込まれています

 

譲受先であるヤマノホールディングスグループでは、美容室の運営やネイルサロンの運営、和装品や貴金属等の加工および販売、健康関連器具の販売を行っています。

美容事業では、ファミリー層や中高年層を中心に、低中価格帯のヘアサロン展開を行い、和装宝飾事業と連携して着付けサービスの拡充や低価格帯新ブランド店舗の出店開始など、商品以外のサービス機能拡充により競合他社との差別化を図っています。

今回の株式会社L.B.Gの連結子会社化により、ヤマノホールディングスは現在展開している美容事業全体の成長スピード加速を目指していきます。

ヘアサロン「La Bonheur」を社会保険完備の正社員採用というモデルでありながら、5年で15店舗にまで拡大させた成長力が評価されたといえるでしょう。

 

譲渡元である株式会社L.B.Gは、ヤマノホールディングスの連結子会社になることで、経営管理のノウハウの提供やコンプライアンス体制の強化、人材教育の強化等を受け、全国規模の出店に積極的に臨んでいく予定です。

資本力、経営力のある企業とのM&Aによって事業の成長を加速させることができるといういい事例ですね。

 

ヘアサロン「RAY Field」のM&A事例

ヘアサロン「RAY Field」は、東海、九州、北陸、中国地方を中心に展開するヘアサロンです。

運営会社のレイフィールドグループは、ヘアだけでなく、ネイルやアイラッシュ等のサービスも展開するトータルビューティーサロンとして、強固な顧客基盤と利益率、高いリピート率と顧客満足を実現していました。

そしてさらなる成長を遂げて次のステージに進むためには、経営管理手法の導入、コンプライアンス体制の構築・強化、ESGの推進、収益力の強化などが必要と考え、投資ファンドである日本産業推進機構の傘下企業と資本業務提携を結ぶことにしました。

日本産業推進機構は、レイフィールドグループがこれまでに築き上げてきた事業基盤を生かしつつ、独自の経営支援パッケージやメンバーが培ってきた知見や国内外のネットワークを活用・提供することでレイフィールドグループを支援していくことに決めました。

 

このヘアサロンのM&A事例では、レイフィールドグループの経営陣が残り、従来通りの業務執行を継続し、日本産業推進機構は現経営陣の事業パートナーとなっています。

完全に会社を譲って去るのではなく、会社を成長させるために選択したM&Aの例といえるでしょう。

 

ヘアサロン「K-two」のM&A事例

ヘアサロン「K-two」を運営する株式会社K-twoエフェクトは、大手企業の資本力の元、今後もヘアサロン経営を継続していくことを望んでいました。

やはり競合ひしめくヘアサロン業界で生き残るためにM&Aを検討したのでしょう。

対して株式会社K-twoエフェクトを子会社化したユニマットグループは、新たにヘアサロン運営に進出することができました。

オフィスやリゾートなどの運営を行うユニマットグループにとっては、既存のヘアサロン運営会社を子会社化することで新規参入のハードルを下げたわけです。

経営を安定させたいヘアサロンと、ヘアサロン業界に新規参入したい企業がお互いにとって利益となるM&Aの事例と言えます。

 

ヘアサロン「モッズヘア」運営の株式会社エム・エイチ・グループによるM&A事例

ヘアサロン「モッズヘア」などを運営する株式会社エム・エイチ・グループは、横浜でヘアサロンの店舗展開をしていた有限会社ワーク・ワークスを子会社化しました。

ヘアサロン「モッズヘア」は東京23区に重点をおいていたため、新たに横浜に進出するために有限会社ワーク・ワークスとのM&Aを実行に移しました。

当時有限会社ワーク・ワークスは横浜での知名度やその他ノウハウを有していましたが、債務超過であったため、株式会社エム・エイチ・グループに買収されることで資金的なバックアップを得ることができました。

このM&A事例はヘアサロン同士のM&Aの事例で、小さなヘアサロンが大手と一緒になることで業界を生き残った事例です。

 

パリのヘアサロン「COIFF1RST」のフランチャイズ権を持つ株式会社シーエフジェイのM&A

株式会社シーエフジェイは、パリを中心に展開するヘアサロン「COIFF1RST」の日本におけるフランチャイズ権を所有していました。

株式会社アッシュ、株式会社ニューヨーク・ニューヨーク、株式会社スタイルデザイナーの3社を中心に展開するアルテサロンホールディングスは、多様なブランド戦略を展開するために株式会社シーエフジェイを子会社化し、ヘアサロン「COIFF1RST」のフランチャイズ権を獲得しました。

しかし数年が経ち、高級ブランドとしての運営ノウハウを吸収し一定の成果を収めたものの、M&A当初に計画していたシナジーがなかなか得られず、最終的にアルテサロンホールディングスは株式会社シーエフジェイの全株式を手放しました。

シナジーを目的として実施したヘアサロンのM&Aでしたが、予想よりも結果が伴わなかったために再び別の会社・組織となった事例です。

 

ヘアサロンのM&A事例から読み取る成功ポイントとは

AguグループのM&A事例では、売り手と買い手、双方が満足する形でM&Aが行われ、契約後の事業融合も上手くいった成功例といえます。

株式会社L.B.GのM&A事例でも、譲受先と譲受元の双方にとってメリットのあるM&Aが行われていることが分かります。

基本的にヘアサロンのM&Aはwin-winとなることがポイントのようです。

しかし場合によっては株式会社シーエフジェイのM&Aのように、結果的にまた別の会社として譲受先から離れるケースもあります。

 

それではこれらの事例から、ヘアサロンのM&A成功におけるポイントを詳しく整理してみましょう。

 

ビジネスモデルを整理する

ご紹介したヘアサロンのM&A事例では、M&Aアドバイザーが、最初にAguグループのビジネスモデルを整理していましたが、これはM&Aを成功させた重要なポイントだと言えるでしょう。

 

どちらのヘアサロンのM&A事例でも、店舗数を急激に増やせるだけの体制を敷いている点が譲受先に評価されていることがわかります。

成長スピードのはやさの理由、なぜそれが可能なのか、ビジネスモデルをしっかし見つめなおす必要があります。

もし自分のヘアサロンがこれらのM&A事例のヘアサロンのように成長できていないのであれば、なぜ成長スピードが遅いのかを考えるべきです。

M&Aアドバイザーはビジネスモデルを深く理解することに長時間を充てました。

そして、他社競合と対抗するための「長所」、「ユニークネス」の分析をしています。

これらの分析結果を譲渡先候補に効果的に伝えることができたので、Aguグループも株式会社L.B.Gも事業価値を正当に評価する譲渡先を選ぶことができました。

 

譲渡先も、ビジネスモデルを理解、評価していたため、価格や条件の交渉もスムーズに行うことができたと考えられます。

 

ビジネスモデルの整理がM&Aの過程において非常に重要なのです。

 

M&Aにおいて譲れない条件をはっきりさせる

AguグループのヘアサロンのM&A事例では「1,000店舗という目標実現のため、プロフェッショナルな管理体制と戦略アドバイスを外部の支援を受ける」ことがM&Aの目的でした。

 

そのため、譲れない条件は、

 

  • 1,000店舗へ事業拡大するための管理体制・戦略のアドバイスができる、プロフェッショナル性を持った譲渡先であること
  • 譲渡後もオーナーが譲渡先と協力し、経営に関わること

 

といった点が主に重要な項目だと考えられます。

株式会社L.B.Gでもヘアサロン「La Bonheur」の出店スピードが速く、今後も拡大を狙っていたと考えられます。

もしヘアサロンのM&Aをしても、譲受先が小さな企業、自社と同じ規模の企業であったら、M&Aの事業拡大は難しくなってしまうでしょう。

もちろん同程度の規模の企業同士でM&Aを行い、競争の厳しい業界で生き残りを賭ける、という道はあると思いますが、M&A後にヘアサロン事業を急成長させたいのであれば、譲受先はそれが可能な相手を選ぶべきです。

 

このように、目的からM&Aにおいて譲れない条件をはっきりさせることが必要です。

条件をはっきりさせて、妥協のないようM&Aを進めていきましょう。

 

ヘアサロンの譲受先企業を具体的にイメージする

自分が経営しているヘアサロンがどのような企業になら欲しいと思われるか、譲受先企業のイメージをしましょう。

すでにヘアサロンを経営している企業なのか、経営していない企業なのか、経営しているならどこでどのようなヘアサロンを経営しているのか、具体的なイメージができていれば、実際に譲受先企業の候補が現れたときに、どの企業なら好条件でヘアサロンのM&Aを行いやすいか、判断しやすくなるでしょう。

何もイメージせずにヘアサロンのM&Aを進めてしまうと、譲受先候補の企業との交渉の際にどう進めていけばいいのか分かりづらく、譲受先企業の決定において判断がしづらくなるでしょう。

具体的イメージがしづらい場合は、他のヘアサロンのM&A事例を参考に、どのような企業が譲受先となっているか調べてみましょう。

 

売却先候補に事業の強みや価値が伝わる説明を

このヘアサロンのM&A事例では、最初にAguグループの事業の強みや価値を、M&Aアドバイザーが整理、理解することから初めた点が成功のポイントでした。

それは、売却先候補に事業の強みや価値がきちんと伝わるか、という点を左右させます。

 

M&Aアドバイザーが事業をよく理解し、相手にその価値が伝わる説明をしなければ、本来の価値よりも下に見られ、売却価格が安くなってしまうことになりかねません

売り手と買い手の事業評価に差があればあるほど、条件や金額の交渉がスムーズに進まなくなってしまいます。

ヘアサロンは基本が分かりやすいビジネスモデルであるため、自社の特徴や独自の強みをうまく伝えなければ、余計に競合他社との違いが伝わらずに正しく事業を評価してもらえません。

特に停滞産業だとみられる美容業界においては、価値が正しく評価されないと、譲渡額が満足のいかないものになってしまう可能性があります。

そればかりか、事業理念が伝わっていないと、譲渡後の事業融合もうまくいかなくなってしまうでしょう。

 

M&Aを双方にとってよいものにするためにも、事業の強みや価値をわかりやすく伝える説明が大切なのです。

 

M&Aによるシナジーを得たいのならよく検討を

先ほど紹介した株式会社シーエフジェイとアルテサロンホールディングスとのM&Aは、当初予想していたシナジーを生み出せずに両社が分かれる結果となりました。

シナジーを狙うM&Aは多いものですが、本当にシナジーを生み出せるのかをよく検討すべきです。

業種が同じだからといって無条件にシナジーが生まれるわけではありません。

逆に別の業種だからこそシナジーが発生することもあります。

例えば保育園経営の会社をヘアサロン運営会社がM&Aすることで、保育士のいる託児スペースつきヘアサロンというサービスを提供できる可能性があります。

業種ではなくサービス内容にシナジーが生まれる余地があるか、しっかり検討しましょう。

 

M&Aの専門家に頼るのもアリ

Aguグループの事例では、譲渡先への事業の強みや価値を伝えるために、M&Aアドバイザーの協力が効果的でした。

何が強みなのか、またM&Aをする上でどんな風に有利に働くのか、なかなか客観的に評価するのは難しいですよね。

また、膨大な資料の整理や分析にもM&Aアドバイザーの支援を受けています。

 

事業価値の整理や、書類の準備・手続きなどを自社だけで行えない場合には、M&Aの専門家に頼ることも可能です。

ヘアサロンのオーナーは初めてM&Aを行うという方がほとんどでしょう。

専門家ならM&Aに精通しておりますし、有利に交渉を進めていく上で力強い味方となってくれるでしょう。

特にヘアサロン業界のM&Aに特化している、慣れた専門家に相談することをおすすめします。

 

その他にもヘアサロンのM&Aの相談先を選ぶ際のポイントはあります。

以下に整理してみました。

 

  • ヘアサロンのM&A経験があること
  • ヘアサロン以外のM&Aの経験も豊富なこと
  • 成果報酬型であること
  • 話をしっかり聞いてくれること
  • M&Aについて独自のノウハウがあること

 

以上の点を意識してヘアサロンのM&Aの相談先を選びましょう。

まずヘアサロンのM&A経験があることですが、すでに経験があるなら大体の流れは熟知していますし、ヘアサロンの運営に対する知識もしっかり持っています。

どうすれば譲渡しやすいヘアサロンになるのか、ヘアサロンオーナーのM&Aの理由をかなえるためにはどのような企業をM&Aの相手にするべきかなどを知っています。

ヘアサロン以外のM&Aの経験も大切です。

ヘアサロンに限らず、M&A全般に適用できるノウハウや経験を持っています。

また、譲受先企業との交渉も経験がものをいいますから、ヘアサロン以外の業種も含めてM&Aの経験が豊富であることが望ましいです。

そして成果報酬型であれば、M&Aが成立するまでは費用が一切かかりません。

手元にまとまったお金のない人でも、成果報酬型ならM&Aによって生じたお金で支払えばいいわけですから、心配いりません。

話をしっかり聞いてくれることは、M&Aに限らず、様々なサービスで重要なことでしょう。

しっかりヘアサロンオーナーの要望を聞き、それを実現させるためのM&Aを目指してくれる姿勢のない相手を、ヘアサロンのM&Aの相談先に選ぶのは避けるべきでしょう。

そしてオーナーの望む形のM&Aを行うには、独自のノウハウをもっている経験豊かな企業でなくては困難です。

求めるものを実現させるための力がある企業ではなくては、相談して話をしっかり聞いてくれても、夢かなわず終わってしまうことになりかねません。

相談先の態度や姿勢も重要ですが、力があることもヘアサロンのM&A成功には欠かせない要素となります。

 

ヘアサロンのM&A事例をさらに聞くなら

「もっとヘアサロンのM&A事例が知りたい」という場合は、M&Aアドバイザーへ相談してみてください。

ご自身の経営規模に合わせた事例を聞けば、金額や契約条件のイメージが掴めますし、具体的にM&Aをどのように進めたらいいのかわかるのでおすすめです。

 

M&Aアドバイザーとは?

M&Aアドバイザーとは、事業譲渡の交渉や支援を行う専門家です。「M&Aコンサルタント」とも呼ばれ、専門の企業や会計士、弁護士などが対応しています。

 

M&Aアドバイザーの仕事の一例として、

 

  • 譲渡先候補企業の発掘
  • ビジネスモデルの整理と戦略の構築
  • 譲渡先との交渉
  • 各種手続き

 

などがあります。

その他、M&Aに関わる業務のアドバイザーとして、契約成立までのサポートを請け負ってくれます。

 

M&Aアドバイザーに依頼するメリット

M&Aアドバイザーに依頼すると、費用が発生しますが、同時にたくさんのメリットを受けることができます

 

今回ご紹介した、M&A成功のポイント、

 

  • ビジネスモデルの整理
  • M&Aにおいて譲れない条件をはっきりさせる
  • 譲渡先候補に事業の強みや価値が伝わる説明をする

 

といった点も、M&Aアドバイザーに依頼すれば、すべて相談に乗ってくれるというメリットがあるのです。

 

M&Aアドバイザーに依頼したら、交渉の際に相手方との間に立ってくれます。

個人で譲渡先を発掘し交渉することもできますが、交渉の途中で行き詰まったり、手続きの難しさに、途中で挫折してしまったりする危険もあります。

交渉の際に専門的な知見を持つM&Aアドバイザーの意見を聞けるので、交渉を有利に進めていく強力な味方となるでしょう。

初期相談料無料や、成功報酬で相談を受けているM&Aアドバイザー業者も多いため、気軽に相談できます

 

ヘアサロンのM&Aで悩んでいるなら、M&Aアドバイザーにまずは相談してみることをおすすめします。

M&Aは大切なヘアサロンを他社へ譲る、重要な機会ですから、専門家の力も借りて、最善の形でM&Aを進めて行ってくださいね。

 

最後に相談先の例として、今回紹介したヘアサロンのM&A事例に登場したスパイラルコンサルティング社をご紹介します。

 

スパイラルコンサルティング社

ヘアサロンを今後どうするか、まだ悩んでいる時点ではM&Aのアドバイザーに相談するのは気が引けてしまいますよね。

M&Aでヘアサロンを手放すか、決心がついていないのなら自然なことです。

相談しにいって売却する前提で話を進められ、本心では望んでいないM&Aを選んでしまったら後悔してしまいます

 

しかしスパイラルコンサルティング社であれば、匿名で相談や簡易査定が可能です。

とりあえず、まずはヘアサロンのM&Aについて軽く調べたい、相談したいという方にはぴったりです。

M&Aのコンサルティングを行っている会社の中でも、スパイラルコンサルティング社はヘアサロン業界に強く、ヘアサロンのM&Aについて相談するなら相談すべき会社の1つといえるでしょう。

費用も完全成果報酬型ですので、M&Aが成立するまでは費用は掛かりません。

ヘアサロンのM&Aについてお悩みの場合は、スパイラルコンサルティング社に相談してみてはいかがでしょうか。

 

>>匿名で相談・簡易査定をしてみる<<

 

ヘアサロンのM&Aについては分かった!ではヘアサロンがM&Aすべきでないタイミングは?

ヘアサロンのM&Aを実施予定、もしくは検討中の方に向けて前章までで色々と述べてきましたが、基本的にM&AすべきタイミングやM&Aする前提でのお話をさせていだきました。

しかし、ヘアサロンのM&Aをすべきではない、あまりおすすめできないタイミングも存在します。

最後に、ヘアサロンのM&Aについて色々読んできたものの、やっぱりまだM&Aは実施すべきではないのではないだろうか、不安だなあと思う方もいるでしょう。

前述したようなM&Aに向いている状況にある美容室オーナーは、M&Aをこのまま積極的に検討してみてもいいと思うのですが、そうではない場合はM&Aを本当にすべきかよく検討したり、M&Aするにしてもタイミングを見計らったりしてみた方がよいでしょう。

それでは、具体的にヘアサロンのM&Aを見送ることも考えるべきタイミングについて例を挙げていきます。

 

規模が小さすぎるヘアサロンの場合

オーナーがスタイリストとして1人でお店を回し、1人なので席数も1つしかないようなヘアサロン1店舗のM&Aの場合、あまりM&Aに向いていないということはご理解いただけるのではないでしょうか。

あまりにも規模が小さすぎるヘアサロンの場合、譲り受けたいと思う側を探すのが難しいのです。

とくに個人間でお店を引き継ぐのと異なり、法人に向けて引き継ぐ場合は、ある程度の規模が必要になります。

個人で細々とやってきたヘアサロンの場合は、M&Aを行うよりも、個人の後継者を見つけ出すか、いっそのことお店を畳んでしまった方が余計な手間を掛けずにスムーズに引退することができるでしょう。

 

もし規模を大きくしていける余地がまだあるのであれば、大きくしてからヘアサロンのM&Aを検討してみてもいいでしょう。

やはり譲り受ける側の心理を考えると、ある程度成熟した事業を譲り受けたいと思うのは自然なものです。

 

まだヘアサロンに想いが残っている場合

まだヘアサロンのオーナーとしてやっていきたい、想いが残ってしまっている場合は、やはりM&Aの実施はおすすめできません。

どうしても手放さなければいけない理由があってヘアサロンをM&Aで手放す場合はいたしかたないのかもしれません。

その場合は、いつかもう一度別のヘアサロンを開いたり、一度手放したヘアサロンを再度M&Aで買い戻したりする道もあります。

しかし一度手放してしまえば、別の人の手により、まったく違うヘアサロンになっているかもしれません。

本当に今のままのヘアサロンを存続させていきたい、そして自分が経営に携わっていたいと思っており、そうする余地もあるのであれば、まだ今のままで頑張ってみるのも1つの道です。

手放した後はヘアサロンがどうなっても何も言えません。

ヘアサロンを手放す前によく考えましょう。

 

コントロールできないような事情により深刻な赤字になっている場合

そもそも人口が少ない地域において、深刻な赤字が続くヘアサロンを黒字に持って行くのは至難の業です。

M&Aでヘアサロンを譲り受けても、人口を増やすことはできないので、単価を上げるなどで少しの改善はできるかもしれませんが、深刻なレベルにまでいってしまった赤字を解決できる可能性はほぼゼロと考えるべきでしょう。

赤字でも内部に問題があり、M&A後にコントロールがしやすく解決の見込みがある場合は、M&Aでヘアサロンを譲り受けたいと思う企業が見つかりやすいです。

一方で外部要因など、どうにもコントロールができないような部分に赤字の原因がある場合は、非常に解決が難しく、その状態のヘアサロンを欲しいと思う人が見つからないのです。

 

もし赤字でヘアサロンをM&Aによって手放そうと思っているのであれば、何が原因でそうなっているのか、原因は内部にあるのか、外部にあるのか、しっかり見極めるようにしましょう。

 

ヘアサロン業界だけでなく世間全体で景気が悪い場合

ヘアサロン業界だけ景気が悪い場合は、景気の良い他の業界の企業がヘアサロンを譲り受けたいと思ったり、同じヘアサロン業界の中でも比較的売り上げのある大手が他ヘアサロンを譲り受けることで規模を拡大して生き残ろうと考えたりするため、ヘアサロンのM&Aの相手が見つかりやすい傾向にあります。

しかし、ヘアサロン業界に限らず、世間全体で景気が悪い場合では、多くの企業が資金を取っておこうとするため大きな出費を避けようとしやすく、ヘアサロンのM&Aの相手が見つかりにくくなってしまいます。

バブル崩壊のように国内だけの話であれば、海外にM&Aの相手を見つけに行くこともできますが、世界恐慌やリーマンショックのときのような世界的な不況に突入したときには、ヘアサロンのM&Aが成立するだけでもラッキーだったと思った方がよいでしょう。

場合によってはM&Aが成立せずに廃業に追い込まれる可能性もあり、資金やヘアサロンオーナーとしての成功など得るものの多いM&Aは非常に難しくなってきます。

 

もしただヘアサロンを手放せればいいという考えではなく、「できるだけ資金を得たい」「経営者としての1つの成功モデルとしてM&Aしたい」というケースでは、何とか不況を乗り越え、景気が良くなるのを待ってからM&Aを実施することを狙うか、潔く廃業を選ぶか、どちらかを選んでみてはいかがでしょうか。

 

ヘアサロンオーナーご自身で判断できない場合は専門家へ

以上、ヘアサロンがM&Aを避けるべきタイミングについて具体例を提示してみましたが、ご自身で判断できない場合は、やはり専門家に一度相談しましょう。

ヘアサロンのM&Aは大きな決断です。

ヘアサロンオーナーの人生においてもビッグイベントとなるでしょう。

しっかり検討されることをおすすめします。

前述したように、M&Aのプロに相談にいってみましょう。

プロもヘアサロンのM&Aに向いていないケースの相談を受けることがあるので慣れていますので、安心して相談できるはずですよ。

 

しかし最後に決断するのはヘアサロンオーナーご自身です。

相談をしている中でなんとなく流されてヘアサロンのM&Aを決断してしまったとならないように、自分の考えを明確にし、M&Aの道に進むか、それとも別の方法を探すか、自身で決めていきましょう。

そのためにも、しっかりヘアサロンのM&Aについて調べて、よく考え、プロに相談するという流れを押さえておきましょう。

後悔のないM&Aになるといいですね。