ファンドを利用して事業承継する方法

後継者がいないために引退できない、中小企業のオーナーが増えてきています。
子どもなどの後継者に、事業を引き継ぐことを「事業承継」といいます。事業承継は、個人や企業だけではなく「ファンド」に引き継ぐことも可能です
ファンドを利用した事業承継の方法を知っておくと、後継者を考えるうえでの選択肢が広がります。

この記事では、オーナーが事業承継をするうえでのメリット、ファンドを利用して事業承継を行う際の注意点や、ファンドとの事業承継を成功させるためのポイントについて解説します。

 

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事業承継のメリットとは

オーナーが自分の引退後に事業をどうするか考えるうえで、選択肢はおもに「後継者への事業承継」「第三者への事業承継」「廃業」の3つとなります。

後継者は、子どもや親族、従業員などが多いです。
後継者が見つからない場合に廃業を選びがちな傾向がありますが、M&Aやファンドなど第三者への事業承継によって、オーナーが変わっても事業は存続させることが可能です。

では、廃業ではなく事業承継を選ぶことで、どんなメリットがあるのでしょうか。

 

経営に対する重責からの解放

廃業ではなくて事業承継を選べば、事業は存続したまま、オーナーは経営の重責から解放されることができます。50代・60代に入ってくると、健康上の問題も出てきます。オーナーとしての過酷な責務が負担になり、早期リタイアを望む方もいるでしょう。

廃業の場合も負担は消えますが、事業も消滅してしまいます。そのため、オーナーとしての任務を完遂した満足感や達成感を得られません。

M&Aやファンドなど第三者への事業承継では、オーナー独力では難しかった資本投入や業務改善により、事業が単なる存続ではなく、より成長・拡大していくこともあります。事業がどこまで成長するのかを見守る楽しみも生まれます。

 

現金を得ることも

第三者への事業承継のひとつとして「株式譲渡」を選択すると、一定の金額の現金(創業者利益)が手に入ることがあります。企業やファンドによるM&Aにおいて、買収側は事業の未来に直接投資を行うため、将来性が大きければ「のれん」分の金額がプラスされるからです。のれんとは、帳簿には計上できない、優良顧客リストや能力が高い従業員などの、利益につながっている無形資産を指します。

引退までのオーナー報酬を計算して、売却益が上回るなら、事業に将来性が認められるうちに高値で売却してハッピーリタイアを迎えるという戦略もあるでしょう。

加えて、借り入れに必要な個人保証や自宅などの担保提供は、子どもなど個人への事業承継の場合は与信が足りずに引き継いでもらえないこともあります。その点、M&Aやファンドへの事業承継では、相手が企業のためそうした心配は少なく、引退後は個人保証からも解放されます。

廃業を選んだ場合は、事業に将来性があっても関係なく、土地や設備などを叩き売りで処分した金額しか得られません。事業の将来性に自信があるなら、廃業ではなく事業承継を選ぶのが良策です。

 

従業員の雇用継続や待遇改善

自分の引退後に従業員の雇用がどうなるか気になるなら、廃業ではなく理解ある第三者へ事業承継を選ぶのがベストです。

廃業の場合、従業員は失業してしまうため、退職金や転職先の世話などが必要になります。
一方、事業承継の場合は、従業員の雇用継続について契約書に条件を記載すれば、一定期間は従業員の雇用が継続できます。さらに、従業員の雇用継続を第一とするなら、その条件を遵守してくれる理解ある第三者を探すことも可能です。

さらに、第三者への事業承継の場合、買収側の資本力が大きければ、中小企業のオーナーでは難しい福利厚生の充実や待遇改善が実現することもあります。

 

ファンドを利用して事業承継を行う際の注意点

このように、オーナーに後継者がいない場合は、廃業よりも第三者への事業承継を選ぶ方がメリットは大きいです。
第三者への事業承継における「第三者」には、一般的な企業やファンドなどが挙げられます。ファンドを利用した事業承継は、一般的な企業が相手の場合とはやや事情が異なるため、注意が必要なポイントを解説していきます。

 

ファンドの目的が利益のみだった場合会社が崩れることもある

ファンドとは、投資家からお金を集めて投資・運用し、売却益を再分配する仕組みや組織(投資ファンド)を指します。中でも、企業に直接投資してM&Aを行うファンドには、PE(プライベート・エクイティ)ファンドなどがあります。
PEファンドは、未公開株を持つ非上場企業をメインに直接投資を行うことが多いです。

ファンドが企業に直接投資する最大の目的は、最終的に企業を売却することで売却益を上げることにあります。PEファンドが非上場企業を扱うのは、企業価値を増大してから上場することで、株価が急騰し大きな売却益を得ることができるからです。

企業価値を上げるために、ファンドは事業承継した企業の経営改善に尽力します。そのため、事業承継後は事業が成長・拡大する可能性が大きいです。

しかし、ファンドが事業承継を行う目的が、あまりに売却益に偏っていた場合、ファンドからの転売に次ぐ転売で、会社の経営体制が不安定になったり、従業員が不安になって退職したり、最悪リストラされたりすることもあります。

 

2007年に、兄弟間の争いがもとで、日系ファンドのユニゾン・キャピタルに買収されたスシローの事例があります。買収後にユニゾンは、メディア戦略が得意な執行役員をスシローに送り込みました。テレビや雑誌に露出した結果、スシローは回転寿司業界の首位に躍り出ることができました。
その後、ユニゾンはPEファンドのペルミラにスシローを転売し、破格の売却益を手にしました。

これだけ見ると、スシローの事業は成長し、ユニゾンも利益を手にし、Win-Winの関係にも見えます。しかし、転売後のスシローは、非上場後の再上場や筆頭株主の変更など、経営体制が不安定な状態が続いています

そのため、ファンドを利用した事業承継を検討するうえでは、事業の成長と、経営体制や従業員雇用の安定の、どちらを優先するかを決めておく必要があります。

 

ファンドでも間違いのない経営ができるとは限らない

ファンドは、事業承継した企業の経営改善のために、優秀な人材を送り込んで経営に参画したり、不採算部門の清算など事業の集中と選択を行ったり、様々な施策を取ります。

しかし、ファンドであっても100%間違いのない経営ができるとは限りません

ファンドによる経営改善が有効となるには、事業承継された企業とファンドとの相性や、革新的な経営戦略に旧オーナーや従業員などがどこまで追従できるかなど、様々な条件があります。
事業成長を最優先して、そのためにファンドとの事業承継を利用する場合、ファンドの特徴が自社に最適か、ファンドの売却実績や買収後に予定する戦略の確認が重要です。
改革なしには事業の成長は難しく、そのため痛みを伴います。
残される従業員がどこまで改革に対応できそうか、事前の検討も必要です。

 

ファンドが見つけてきた後継者について気に入らない場合もある

ファンドを活用して事業承継を行う場合、ファンドは経営改善の視点から、後継者や執行役員などを選択します。いずれも、コンサル会社や証券会社などの勤務実績がある有能な人材ですが、なかには経営改革が急すぎて、気持ちがついていけないこともあるかもしれません。

そのため、後継者や執行役員などの人柄や考え方を話し合いによって確認し、納得して事業承継を進める必要があります。

 

ファンドの事業承継を成功させるポイントとは

ファンドが事業承継を行う最大の目的は、売却益の確保です。
そのため、事業の成長を最優先したい場合にはファンドとの事業承継を活用するのも有効ですが、先述した注意ポイントには留意する必要があります。

それでは、ファンドの事業承継を成功させるためのポイントを確認していきます。

 

準備は早めに

ファンドとの事業承継を活用するには、早めの準備が大切です。

後継者のいないオーナーが事業承継を考えている場合は、60代に差しかかっていたり、健康や経営面などの課題を抱えていたりするケースが多いです。オーナーが何の準備もしていないところ、突然急病で亡くなってしまうと、たとえ事業に将来性があっても、残された家族にとっては廃業を選ぶしかなくなってしまいます。

また、自社の事業承継によってファンドが利益を得られるとプレゼンするためには、資料作成の前段階として、自社の強みを客観的なデータとともに明確化しておくことが必要です。

そのためには、事業計画書、損益計算書や貸借対照表、キャッシュフロー計算書などから、過去と将来の予測数値の算定なども必要になってきます。決算書類がどこに保管されているか、把握していないオーナーも意外と多いので、まずは事業承継に必要な書類とデータを揃えるところから着手するのがおすすめです。

さらに、オーナーが交代しても支障が起きないような、経営体制の見直しや属人化されたビジネスモデルの脱却も求められます。そのため、年齢などの不安要素がある場合は、早めに行動するのがよいでしょう。

 

譲歩できない条件を明確に

先述したように、ファンドとの事業承継は、事業成長による売却益確保を優先される傾向があります。そのため、譲歩できない条件を明確化し、各条件に優先順位をつけることが必要不可欠です。

まず、事業承継によって、オーナーとして何を実現したいのかを整理して明確化しましょう。たとえば、できるだけ高値での売却と、事業の成長、理念の存続、従業員の雇用継続と条件があったら、各条件にどんな順番をつけますか?

理念の存続や従業員の雇用継続を最優先したいなら、事業承継の相手にはファンドよりも、そうした意向に理解を示してくれる一般企業を選んだ方がよいでしょう。

 

そのファンドの事業承継の事例を確認しておく

ファンドと一口でいっても、ファンドごとに得意とする事業領域が異なります。たとえば、PEファンドは成長期・成熟期の未公開株を扱うことが多いので、自社がベンチャー企業ならベンチャーファンドに依頼したほうが適切です。

ファンド候補については、まず事業承継の事例があるか、自社と同じ事業の事例があるか、どのような成長戦略を取っているか、どのくらいの期間で売却したのか、など過去の事例を確認しておきましょう

ファンドによるM&Aの中には、LBO(レバレッジド・バイアウト)という手法がありますが、これは買収する企業の資産やキャッシュフローを担保にして、借り入れた資金を元手に買収を行う手法です。つまり、LBOを行われた企業は、借入金が増えてしまうのです。
そのため、できればLBO以外の手法を用いるファンドを選ぶのがよいでしょう。

 

専門家の力を借りる

いきなりLBOという単語が出てきて、戸惑った方もいらっしゃるでしょう。このように、ファンドとの事業承継においては、専門的な知識が求められます。

そのため、ファンドを活用した事業承継を考えているなら、専門家であるM&Aアドバイザーに相談するのをおすすめします
専門家の力を借りることで、オーナー自身に事業承継の手法に関する専門知識がなくても、M&Aアドバイザーが豊富な経験と独自のネットワークをもとに、事業承継に必要な手続きをスムーズに行ってくれます。

 

ファンドを利用して事業承継を検討するなら

まとめると、オーナーに後継者がいない場合も、廃業ではなく第三者への事業承継を選んだ方が、メリットが大きくなります。第三者には、一般企業やファンドなどが挙げられますが、ファンドとの事業承継を行う場合、利益のみが目的のファンドは避けた方がよいでしょう。

ファンドとの事業承継を成功させるには、「早めの準備」「譲歩できない条件の明確化」「ファンド候補の事業承継事例の確認」が重要です。

とはいえ、成功のためのポイントは、なかなかオーナー独力では難しいです。
そのため、事業承継の専門家であるM&Aアドバイザーに、まずは相談をおすすめします。
自社の状況や優先条件によって、事業承継の相手にファンドと一般企業のどちらを選ぶか左右されます。その見極めは素人には難しいですが、M&Aアドバイザーなら具体的なアドバイスが可能です。

着手金が不要で、事業承継が確定するまでは無料で相談できる成果報酬型のM&Aアドバイザーも増えてきていますので、まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

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