ファンドが入る事業承継【事例から読み解くポイント】

後継者がいないため、事業を引き継げずに困っているオーナーが増えています。事業承継とは、後継者に事業を引き継ぐことです。この「後継者」には、子どもや親族、従業員だけではなく、第三者である一般企業やファンドも含まれます。

ファンドが入る事業承継について、初めて知る方もいらっしゃるかもしれません。
ファンドは承継した企業に資本や人材を投入するため、事業が大きく成長します。こうした特徴や、ファンドが受け皿になり得ることを押さえておくと、事業承継の選択肢が広がります。

この記事では、ファンドが事業承継を行う背景、実際の事例、ファンドが入る事業承継におけるポイントについて解説します。ファンドを活用した事業承継について知るうえで、ぜひ参考にしてください。

 

>>お時間がない方はまずはM&Aのプロにご相談を<<

 

ファンドが事業承継を行う背景(買い手)

ファンドとは、お金を多くの投資家から集めて、株式や不動産などに投資・運用し、得た利益を再度配分する仕組みのことです。
ファンドのうち、企業に直接投資を行うものには、PE(プライベート・エクイティ)ファンドなどが挙げられます。PEファンドは、主に未公開株式に対して投資を行います。

ファンドが企業に投資する主な目的は、買収した企業の価値を増大したのち、最終的に売却して売却益を得ることです

PEファンドが未公開株式に投資するのは、非上場企業の株式上場によって、既に上場している企業を対象とするよりも大きな売却益が得られるからです。

一方、近年の中小企業において、オーナーの高齢化が進み、かつオーナーが60歳以上である企業のうち、48.7%で後継者がいないという問題があります(中小企業庁「2018年度版中小企業白書」より)。
そうした中で、事業に持続的な成長が見込まれる中小企業が、事業承継を行う受け皿としてPEファンドを選択する事例が増えています。PEファンドを受け入れることで、経営資源や人材などの提供を受け、事業展開のサポートや組織力の向上を享受しようという考え方です。

一般的にオーナー企業では、オーナーのカリスマ性とリーダーシップで企業運営が保たれている反面、オーナーへの依存と権限集中により、後継者候補や中心的な人材が育ちにくいという指摘があります。

また、中小企業では資金や人材が不足がちなことから、事業の成長や新規展開を考えると、PEファンドによる資本投入に加え、開発などの重要部門への有能な人材派遣も非常に有効です。

 

ファンドの事業承継の事例

では、ファンドが入った事業承継における実際の事例を紹介します。

 

PEファンドによるオーナー事業承継の事例1

PEファンドのポラリス・キャピタル・グループは、2017年7月にBAKEを100億円で買収しました。

洋菓子専門店のBAKEは、2013年に長沼氏が創業し、焼きたてチーズタルト「BAKE CHEESE TART(ベイクチーズタルト)」など多数のブランドを展開、約50店舗を運営するほどの急成長を遂げました。工房と店舗の一体化による焼きたて商品の提供や、洗練されたブランド展開などが特徴です。

ポラリス・キャピタル・グループは、みずほ証券を母体に2004年設立されたPEファンドで、企業への直接投資によって事業再編などを支援しています。

ポラリスでは、この買収を「オーナー事業承継型」と位置づけています。
BAKEの長沼氏は、BAKEの創業者であると同時に、北海道のお菓子会社「きのとや」創業者の息子ならびに同社役員でもあります。
つまり、長沼氏はBAKE・きのとやの大株主ならびに役員であり、BAKE・きのとやは重要な取引先同士であることから、利益相反回避のため長沼氏はBAKEの大株主から外れる必要がありました。そのため、ポラリスに株式を売却したのです。

ポラリスは、BAKEに財務担当役員を派遣するなど、経営体制の強化や海外展開のスピード化、新規ブランド開発など、4年程度の投資期間中にBAKEの企業価値を向上し、株式上場によって投資資金の回収を目指しています。

 

PEファンドによるオーナー事業承継の事例2

PEファンドのアドバンテッジパートナーズは、2017年6月に学習塾大手のやる気スイッチグループホールディングスを買収しました。

アドバンテッジは、ペイン・アンド・カンパニーの出身者により1992年に設立された、日本のPEファンドの先駆け的存在です。
過去に、ダイエーやポッカコーポレーションなどへの関与実績など多数の実績があり、そうした豊富な経営コンサルティングの経験から、承継する企業に具体的な経営支援を行うことを特徴としています。

やる気スイッチは、個別指導塾のスクールIDを中核とし、小学校受験教室、英語の学童保育や英語塾など、全国で約1300教室のフランチャイズ展開を行っています。

アドバンテッジ側はこの買収を「創業者からの事業承継」と位置づけています。
やる気スイッチの創業者である松田氏は、アドバンテッジが出資を行う特別目的会社への一部出資によって、株主を留まり社長としても続投しています。

アドバンテッジ側は、教育のような理念重視のサービス業においては、事業承継にあたって双方の価値観の一致が重要としています。
やる気スイッチ側は、この買収を「第二の創業」とも表現しており、株式上場を目指すうえで、教育業界が潜在的に抱える長時間労働問題をクリアにする必要があるため、アドバンテッジの人事・労務マネジメントの経験を活用できると捉えています。

 

ファンドが入る事業承継のポイントとは

BAKEの事例は通常の事業承継ですが、やる気スイッチは株主・社長としての地位を保持しているため、変則的な事業承継ともいえます。

ファンドからの資本投入を受けつつ株主や社長で居続けるには、特別目的会社の設立という方法もあるため、興味のある方は後述するM&Aアドバイザーに相談してみるとよいでしょう。

続いては、ファンドを活用した事業承継のポイントを解説します。

 

利益のみ重視のファンドが相手では会社が激変することもある

ファンドは、最終目的である売却益の増大のため、事業承継した企業の企業価値を上げることに尽力します。そのため、ファンドが入った事業承継においては、事業が成長・拡大する可能性が大きいです。

しかし、ファンドが売却益のみを重視する場合、事業承継した企業を別のファンドに転売し、たらい回し状態で経営体制が不安定になるケースもあります。
また、利益優先で激しすぎる経営改革やリストラなどを行って、今いる従業員がついていけなかったり、そもそも従業員の雇用継続が確保されずに、エース的人材が流出したりする恐れもあります。

また、ファンドが事業承継に際して、LBO(レバレッジド・バイアウト)という手法を使うことがあります。
これは、買収される側の企業が持つ資産やキャッシュフローを担保に資金を借り入れ、それを元手に買収を行う手法で、自己資本が少ないファンドが使う傾向があります。
つまり、買収された側の企業は、自身が借り入れしたわけではないのに借入金が増えてしまうのです。

そのため、ファンドが入った事業承継を行う際には、ファンドが利益のみを重視する姿勢ではないか、LBOを使わなくても投資可能なほど資本があるかなどの点を確認する必要があります。

そうした観点から見ると、ポラリスの事例は、投資金額が大きく投資期間も比較的長期であることからファンド側の本気が伺え、双方にとってWin-Winな事業承継であるのが見て取れます。

 

ファンドが見つけてくる後継者が現オーナーにとって好きな人物とは限らない

ファンドが事業承継に入る場合、ファンドは後継者や執行役員などを、承継した企業に派遣します。経営改善のための派遣なので、コンサル会社など華麗な経歴を持つ優れた人材ですが、人間ですので現オーナーと合わないこともあるかもしれません。

また、経営改革は痛みを伴うものです。
事業の成長を優先して、現オーナーとしてこだわってきた理念や経営方針を抜本的に変える必要がある場合、主導する後継者に反発心を覚えることもあるかもしれません。

まずは、事業の成長と現在の社風の維持、どちらを優先するかを自分の中で整理しておきましょう。急すぎる改革に戸惑いを覚えるなら、長期で取り組んでくれるファンドを探すという選択肢もあります。
ファンドが派遣する後継者などの人材については、密な話し合いを持つことで、経営に対する考え方や人柄などを可能な限り確認し、納得したうえで事業承継を進めるようにしましょう。

 

ファンドの実績を見てどのようなファンドか見定める

ファンドはそれぞれ得意な事業領域を持っているため、担当する企業によっては相性が合わないこともあります。
たとえば、PEファンドは成長期や成熟期に達した企業の価値増大を扱っているので、ベンチャー企業や破綻間近な企業は、ベンチャーファンドや事業再生ファンドなどと組んだ方が適切な戦略を立てられます。

ほかにも、バイオなどの特徴的な事業領域の企業なら、その事業に精通して実績もあるファンドを選ぶことで、より効果が上げられるでしょう。

事業承継の受け皿としてファンドを選ぶ場合、事業承継の実績の有無と、自社と同じ事業の取扱実績、投資目的・金額・期間、具体的な成長戦略など過去事例を確認し、どういう理念のもと事業承継を行っているファンドなのかを見定めることが重要です。

 

M&Aの専門家に頼るのもアリ

とはいえ、ファンドの実績からその本質を見定めることはなかなか難しいです。
そのため、事業承継の専門家であるM&Aアドバイザーへの相談をおすすめします

ファンドとの事業承継を考えている場合は、オーナーが事業の成長を優先するケースが多いので、そのためにはどんなファンドを選ぶのが効果的か、具体的な候補先を提案してくれます。
また、その前段階として、後継者がいないがどの条件を優先して事業承継を行うか決められていない場合も、承継先としてどんな選択肢があるか、ファンド以外の選択肢の提案もアドバイスとともに行ってくれます。

そのため、事業承継を考えているけれど、不明な点があったり悩んでいることがあったりするなら、まずはM&Aアドバイザリーに相談してみることをおすすめします。

 

ファンドの事業承継を行うなら

最後に、解説した内容をまとめていきましょう。

ファンドは、承継する企業を最終的には売却して利益を得るために、事業承継を行います。利益を最大化するために、投資期間は承継企業の価値最大化に尽力します。
承継される企業側としては、ファンドから経営資源や人材の提供、事業成長の支援を受けられるのが大きなメリットであるため、事業承継の受け皿としてPEファンドを選択するオーナーもいます。

ファンドが入る事業承継のポイントとして、「利益のみ重視のファンドは選ばない」「ファンド側が選ぶ後継者との話し合いが大切」「実績をもとにしたファンドの見定め」が挙げられます。
事業承継の相手としてファンドを選ぶ場合、最終ゴールが売却である点が、一般企業への承継とは異なりますので、その点は留意しておきましょう。

ファンドが入った事業承継の事例についてもっと知りたい場合は、専門家であるM&Aアドバイザーへの相談をおすすめします。
事業承継の事例には非公開のものが多いため、情報を収集するのは素人には困難です。
M&Aアドバイザーなら、独自のネットワークとストックから、過去事例を具体的なアドバイスとともに紹介してくれます。

後継者がいない場合、オーナーにとって事業承継は頭痛の種かもしれません。
しかし、前向きに考えれば、ファンドやM&Aアドバイザーという第三者が入ることで、オーナーに依存していた属人的なビジネスモデルを見直し、事業の更なる成長を実現できる良い契機ともいえます。

M&Aアドバイザーへの相談には着手金が必要だった時代もありますが、最近は着手金がいらない成果報酬型が増加しています。事業承継が決定するまでは無料で相談可能ですので、インターネット上で気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

着手金無料のアドバイザーの中から、特におすすめの相談先をご紹介します。

 

スパイラルコンサルティング社

 

>>匿名で相談・簡易査定をしてみる<<

 

経営者の方は必見!

今ならM&Aを理解し使いこなすための本、「図解で簡単!オーナーのためのM&A入門」が経営者限定で無料で手に入ります。詳しくは下記リンクをクリック。

>>「オーナーのためのM&A入門」無料プレゼント!<<