建設業のM&A事例から学ぶ成功のポイント5つ

現在、建設業界では、M&A、つまり会社の売買が活発に行われています。これは、会社の売却を考えているオーナーにとって有利な状況です。建設業のM&Aを成功させるためポイントを、事例から学びましょう。

 

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建設業オーナーがM&Aを選ぶ理由とは?

建設業のオーナーがM&Aを選択する理由にはこんなものがあります。

 

後継者問題の解決

後継者不足の問題は、今日の中小企業にとって最大の問題といえそうです。後継者を見つけられないままに、60代、70代、80代と、経営者が高齢化した企業は、そのまま廃業に追い込まれることが少なくありません。

 

M&Aの活用は、後継者不足の問題を解決する切り札です。M&Aを活用すれば、身内や知り合いの狭いネットワークを越えて、非常に広い範囲から事業の承継先を探すことができます。M&Aを活用すれば、経営がしっかりしているにも関わらず、後継者が見つからないだけの理由で、廃業に追い込まれることは少なくなります。

 

現金の獲得

廃業に追い込まれると、事業は解体され、設備や機材を処分することになります。経営者が債務を抱えている場合、廃業によって債務がなくなるわけではありません。

 

M&Aに成功すれば、経営者は事業価値を現金に換えることができます。事業ノウハウや顧客、評判なども一体として評価されるので、一度に大きな現金を獲得できる可能性があります。

 

後継者問題とはかかわりなく、今日、はじめから会社を売却することを目的として起業する経営者もいます。彼らは、会社の経営を成功させ、事業価値が上がった段階で、M&Aを活用して会社を売却することで、多額の現金を獲得することを目指しています。

 

戦略的M&A

戦略的M&Aとは、自社が抱える経営課題を解決するために実施するM&Aです。たとえば、建設会社のオーナーが、会社を売却し、自分自身が子会社の社長になるケースが、戦略的M&Aにあたります。オーナーは、形式的には独立的な経営者の地位を失いますが、代わりに買収会社の資金力や信用を背景として、設備投資や採用活動を強化することができます。

 

建設業のM&A事例

大林組が大林道路株式会社を完全子会社化

・子会社化概要

2017年5月、株式会社大林組(大林組)は、大林道路株式会社(大林道路)を、公開買い付けにより完全子会社化することを決定しました。

 

・大林組の事業戦略

大林組は、1892年(明治25年)に大林芳五郎が大阪で創業した企業です。戦中戦後を経て、事例が発生した時点で、大林組は、連結子会社88社、持分法適用関連会社26社で構成される建設企業グループになっています。大林組は、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店とともにスーパーゼネコン5社の一角を形成しています。大林組の主な事業内容は、国内外の建築及び土木事業、不動産業、PFI事業、再生可能エネルギー事業です。

大林組の「中期経営計画2017」によると、同グループは「最高水準の技術力と生産性を備えたリーディングカンパニー」と「多様な収益源を創りながら進化する企業グループ」を目標に掲げ、「ゼネコン」の枠にとらわれない成長を続けるとしています。業績拡大のために必要なことは、事業領域の深化・拡大とグローバル化でであり、そのためには技術の開発と獲得、人材の育成、あらたなビジネスモデルの創出であると考えています。

 

・本事例の要点

大林道路は、名前からも分かるように、もともと大林組とは関係が深い会社です。大林道路の主力事業は、道路舗装工事など、道路関連の工事であり、またアスファルトの製造・販売なども行っています。

大林道路が今後成長するためには、公共部門、民間部門双方において新たな事業手法に進出すること、先進的な技術開発に取り組むこと、人材不足に対応するために新たな施工機械を開発すること、製造設備の更新・強化によりコストを削減することが必要と考え、今回の子会社化に至りました。関係の深い2社が、ともに上場を続けることは、市場の信認を損なう可能性があると考えたことも、子会社化を決定した一因となっています。

 

長谷工コーポレーションにが総合地所を買収

・事例概要

2015年4月、株式会社長谷工コーポレーション(長谷工)は、総合地所株式会社(総合地所)の全株式を取得し、子会社化することを決定しました。

 

・長谷工コーポレーションの事業戦略

長谷工コーポレーションは、首都圏、中京圏、近畿圏の3大都市圏をおもな商圏として、マンションに関連する事業を展開する企業グループです。長谷工コーポレーションは、スーパーゼネコン5社に次ぐ準大手ゼネコン8社のなかでは売上規模が最大です。

長谷工コーポレーションは、2017年に発表した中期経営計画の中で、新規の住宅供給を主とする建設関連事業と、既存の住宅に関連したサービス事業の両方に軸足を置く経営の確立を目指しています。そのためにグループの連携を進化すること、飛躍のために安定した財政基盤を確立すること、中期的な視点を踏まえ新たな取り組みに挑戦すること、などを基本方針に定めました。そうした方針のもとで、分譲マンションを中心に、賃貸・高齢者住宅を含め、介護、子育て、健康、医療、教育等を組み合わせて、住まいと暮らしを創造する事業を目指し、企業理念である「都市と人間の最適な生活環境を創造し、社会に貢献する。」を実現しようとしています。

 

・本事例の要点

総合地所は、首都圏、近畿圏のマンション分譲事業において、ルネシリーズブランドを展開し、約6万4千戸のマンションを提供してきたほか、不動産ソリューション事業や管理事業など、マンションに関連したさまざまなサービス事業を展開してきました。

今回の子会社化のねらいの第一は、長谷工コーポレーションの施工能力と、総合地所の顧客関係ノウハウを融合させることで、より充実してサービス、設計、工法等の提案・提供を可能とすることです。ねらいの第二は、不動産ソリューションや管理などのサービス分野において、長谷工コーポレーションの既存サービス事業と連携を強め、共同発注などによるコストダウンや、ノウハウの共有による発展的なサービスの開発・展開です。

 

戸田建設が佐藤工業を完全子会社化

・事例概要

2018年10月、戸田建設株式会社は、福島県に本社を置く、佐藤工業株式会社の株式を取得し、子会社化することを決定しました。

 

・戸田建設とは

戸田建設は、東京に本社を置く建設会社です。同社は戦前から官公庁や大学などに数多くの施工実績を持っています。同社はスーパーゼネコン5社に続く準大手ゼネコンの8社のうちの一つです。戸田建設の主力事業は建築です。同社の施工実績の中には、東京アクアライン、丸の内オアゾ、有楽町イトシア、茨城県庁舎などが含まれます。戸田建設は堅実な経営で知られています。自己資本比率が高く、事実上の無借金経営を実現しています。同社はバブル崩壊の折にも金融支援を受けませんでした。

 

・本事例の要点

佐藤工業は、福島県の地方建設大手企業です。1948年に創業した同社は、土木分野では国道整備、トンネル、橋梁下部工事、下水道、下水処理施設、スポーツグラウンド、震災復旧工事、建築分野では学校建築、こども園、工場、商業施設、病院、クリニック、マンションなど多数の施工実績を持っています。建築分野では、新規の建築だけではなく、リニューアルや改修工事の実績もあります。

今回の買収によって、戸田建設は、東北エリアで強固な事業基盤を確立し、シェアの拡大を目指すとしています。佐藤工業の福島における太い人脈を生かして、戸田建設が強みとする風力発電事業を推進することや、佐藤建設を通じて、福島県内のオフィスや病院の管理サービスを強化することができます。

今回の買収について、佐藤工業の佐藤勝也社長は、創業家世襲を終える、事業承継のモデルケースにしたいなどと語っています。世襲三代目である佐藤社長は、就任以来事業承継を意識して、経営の健全化に努めてきました。買収によって佐藤社長は退任しますが、社名や支店、従業員約120人の雇用も維持されます。

 

建設業のM&A事例から読み取る成功ポイントとは

建設業のM&Aを成功させるためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。

 

建設の対象

建設業にはさまざまな分野があります。M&Aで売却する側でも、買収する側でも、それぞれ得意とする分野があります。売り手の得意分野が、買い手の得意分野と一致したり、近かったりすれば、事業拡大を目的として、M&Aが成立しやすくなります。買い手が得意とする分野でなくても、補完したり、強化したりしたい分野であれば、やはりM&Aが成立する可能性が高まります。

 

最初の大林組の事例の場合、大林道路の道路に関する高い専門性が、大林組の事業強化に資することが、M&Aの成立のポイントの一つとなりました。

 

次の長谷工コーポレーションの事例では、買収企業の長谷工コーポレーションと、売却企業の総合地所は、ともにマンション建設と管理を主力事業とする会社でした。今回の買収は、事業の拡大をねらったものと考えられます。長谷工コーポレーションのブランド戦略の一翼を、総合地所に担わせたいというねらいもありました。

 

重機の種類や数

重機の種類や数もまた、M&Aを成功させるうえでポイントになることがあります。M&Aに応じて設備投資を充実させることができる点は、売却企業にとって大きな魅力です。戸田建設の事例では、佐藤工業側に、戸田建設のリソースによって自社の設備投資を充実させたい側面もあったと考えられます。

 

スタッフの人数や採用力

東日本大震災からの復興や、東京オリンピック関連の需要もある今日、建設業界の人材不足が加速しています。さらに、建設業界の就業者は、55歳以上が約34%、29歳以下が約11%と、年齢構成が偏っています。高齢の就業者が今後大量に退職することが見込まれています。建設業にとって、人材採用は大きな課題です。

 

買い手企業がM&Aを実施する目的の一つに、人材を一度に大量に確保することがあります。このとき問題となるのは、従業員の資格や経験です。ここで戸田建設が佐藤工業を子会社化した事例を振り返ってみましょう。佐藤工業の社員は120人余のうち、技術職が多くを占めています。佐藤工業には多数の1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士、1級建築施工管理技士が在籍していました。このように、能力の高い従業員が多数在籍したことも、今回のM&Aが成功したポイントとなっています。

 

M&A実施のタイミング

M&Aを実施するうえで、タイミングも非常に重要です。外部的には、業界に対する需要が増加していれば、買収需要が高まるので、M&Aを成功させやすくなります。内部的には、業績が好調であれば、買い手にアピールすることができます。

 

ここでは3つの事例をご紹介しましたが、現在建設業界には旺盛な買収需要があります。震災復興や東京オリンピックに関連して建設需要が増大していることによる部分が大きく、これが東京オリンピック以後も続くかは不透明です。外部的な環境の意味では、今がM&Aを実施するべきタイミングにあるといえます。

 

M&Aの専門家に頼るのもアリ

企業間の結婚ともいわれるM&Aは、売り手、買い手双方にとって大きなイベントです。売却交渉には時間も専門的な知識も必要です。建設業の経営者が独力でM&Aによる事業売却を行うことは、時間的にも専門知識の面でも現実的とはいえません。M&Aを実施するときには、積極的に専門家を活用しましょう。ここでご紹介した事例は、大型の案件なので、銀行や会計事務所などの専門家集団がサポートにあたっていますが、小さな会社の場合、M&A仲介会社を活用して会社を売却する方法がよく使われています。

 

建設業のM&A事例をさらに聞くなら

M&Aの事例をさらに聞きたい場合、どのような手段があるでしょうか。

 

インターネットを活用することで、多くの事例を調べることができます。適当な検索語句で一般検索やニュース検索をかけると、事例の報道記事などを探し当てることができます。M&A専門サイトや、業界新聞などのサイトも活用できます。たんに事例だけではなく、分析記事が見つかることもあります。

 

インターネット以外では、講演会などを活用することができます。業界紙やM&A仲介会社、コンサルティング会社などが、売却を検討している経営者のために講演会や相談会を開催しています。講演会の中で、事例が紹介されることも多いでしょう。

 

最後におすすめのM&A仲介会社をご紹介します。

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