
少子高齢化は働き手の減少だけにとどまらず、多くのビジネス環境に影響を与えています。それはマンション管理業界でも同様で、頭を抱えている経営者は珍しくありません。
子供や親族から、あなたのマンション管理という仕事にも理解を得られることができず、スムーズに事業承継がいかないケースもあります。
では、どうやって事業承継を行えばいいのか。今回はそんなマンション管理会社の事業承継について詳しく迫っていきます。実は、社外に目を向けてみると、事業承継の可能性はさらに広がりますよ。
目次
事業承継のメリットとは
まずは事業承継するとどんなメリットがあるのか、具体的にみていきたいと思います。改めてメリットを認識することで、事業承継へのモチベーションもアップするのではないでしょうか。あなた自身、そしてあなたの周囲にはどんな恩恵があるのか、チェックしましょう。
経営に対する重責からの解放
経営者には経営者にしか分からない苦労も多いはずです。常に、会社の売上を気にしなければいけませんし、従業員の雇用にも責任を持たなければいけません。決定権もあり、やりがいのある立場ですが、心労も多いので長く続けるのには限界があります。
そこで、早い段階から検討したいのが事業承継です。無理して会社の経営を続けるよりも、体力があるうちに事業の承継を考えた方があなたの周りの人間のためにもなりますし、何よりも自分自身の今後のためになるはずです。事業承継を成功させて、経営の重責から解放されましょう。
現金を得ることも
事業承継する場合、特に、M&Aを活用して外部の企業の経営者から後継者を選ぶと、対価として一定の資金が得られる可能性があります。
会社の規模にもよりますが、事業価値を評価してもらえれば、それに見合った金額が手に入るはずです。まとまったお金が手に入れば、今後に向けて様々なことができるでしょう。
すぐにでも引退し、のんびりと過ごしたいという方であれば、老後の活動資金に使っても良いですし、まだ他の事業を頑張りたい人であれば、新しい事業に投資しても良いでしょう。
今後の人生を豊かにするために、資金を有効に使うことを真剣に考えるべきです。
従業員の雇用継続や待遇改善
雇用されているからこそ、あなたの従業員は毎月の安定した収入もあり、社会生活に参加できます。それが突然、無くなってしまうかもしれないと言われたらどうでしょうか?多くの人が焦り、動揺するはずです。
経営者がなんらかの理由で廃業を選択すれば、そこに勤務する社員の職も同時に奪われてしまいます。社員の生活を守るという意味でも、事業承継は大切な選択肢です。
ただ守るだけでなく、良い後継者と巡り会えれば勤務条件の改善という道もありえます。社員のためにも最善の道を考えましょう。
マンション管理の事業承継を行う際の注意点
次にマンション管理の事業承継を行う際に注意すべき点はどんな事なのでしょうか。夢中になって事業承継の準備をしていると、つい周りが見えなくなってしまうものです。以下の注意点を踏まえて行動しましょう。
事業承継の確定まで従業員や取引先には秘密にする
事業承継を考えているという事実は、ご自身が考えている以上に機密性の高い情報であると理解しましょう。経営者が代わるので、会社に与える影響は大きいです。仮に、事業承継後も経営が上手くいったとしても、事業承継前は誰にも将来は分かりません。
もし、あなたが事業承継を考えている事実を社員が知れば、不安が生まれます。社内外で変な噂が立ってしまうかもしれませんし、最悪の場合、動揺した社員が離職してしまうケースもあります。必要最低限の者のみに、事業承継の話はするべきです。当たり前ですが、取引先にもこの事業承継の話が確定するまでは秘密にしましょう。
従業員などに承継する以外にM&Aという手もある
事業承継というと、親族であったり社内であったり、どうしても身近な人物にするもの、というイメージが強いかもしれません。しかし近年、M&Aを活用した事業承継が一般的になってきています。M&Aによる事業承継というと難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言うと、他社の企業経営者に会社の後継者になってもらうことを指します。
他者と書くと、少し怖く感じる経営者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際にはメリットが大きいです。世の中に会社は当たり前ですが数え切れないほどあります。そんな多数の企業の中から、自社にマッチする1社を選べるのです。時間をかけて準備すれば、理想的な相手にきっと巡り会えるはずです。
マンション管理の事業承継を成功させるポイントとは
続いて、マンション管理の事業承継を成功させるためにはどのようなポイントがあるのでしょうか。情熱を持ってがむしゃらに行動するのも大切ですが、事前に心構えとして以下のポイントを押さえておくと、事業承継の成功に近づけるはずです。今回は5つのポイントに厳選してみたので、早速みていきましょう。
準備は早めに
どんな事業承継を考えているかによって、必要とされる準備期間は異なります。しかし共通しているのはどんな事業承継であれ、一定の期間を必要としている点です。
親族内承継、社内承継であれば、後継者を選んで育成していかなくてはなりません。どの程度の育成期間が必要かは、企業によって異なるはずですが、5〜10年は必要ではないでしょうか。
一方、M&Aによる事業承継は、事業承継の依頼をM&Aの専門会社にして、無事に成約するまでで平均1年かかります。
満足のいく結果を得るためには、これに加えて準備期間も必要です。M&Aを用いる場合でも、ゆとりを持って2〜3年は事業承継の期間として考えるべきでしょう。
譲歩できない条件を明確に
事業承継を考えると、社員の雇用は全員保証してもらいたい、会社のコンセプトも継承し、経営してもらいたいなど、さまざまな条件が浮かんでくるでしょう。全てが自分の思い通りになれば良いですが、実際には交渉がうまくいかないケースもあります。どこかで経営者と後任者の折り合いがつけば良いですが、交渉にとても時間がかかってしまい、最悪の場合だと決裂してしまう恐れもあります。
そうならないためにも、譲歩できない条件を明確にしておきましょう。例えば大きく3つ条件があったら、1つだけは絶対に譲れないというものです。そうしておくと、残りの条件ではある程度は譲歩しても良いと心にゆとりが生まれるからです。
真の強みを知る
自社の価値を正しくアピールするためにも、とても大切な過程と言えます。普段、日々の業務に奔走していると、改めて自社の真の強みは何なのかと考える機会は少ないのではないでしょうか。経営者としての目線だけでなく、イチ社員として、そしてお客様の立場に立って自社を振り返ると、真の強みが見えてくるはずです。
マンション管理会社ですと、長年にわたる経験と実績があると述べる経営者の方も多いはずです。更により深掘りしてみると、お客様の要望にフレキシブルに対応できる社員が多くいる、提案型の管理業務を強みとしている、全国に大きなネットワークがあるなどの強みが挙げられることでしょう。ひとつだけではなく複数の強みがあって構わないので、具体性のある強みを言えるようにしましょう。
オーナーと後継者と従業員にとって最も良い着地を目指す
マンション管理会社の経営者として事業承継を実際に考えると、思いのほか、周りが見えなくなる方が多いです。
早く将来を決めて安心したい、年齢を考えても今行動しないと後がないなど、気持ちが焦っている方にその傾向が強いです。
確かに、事業承継は経営者にとって大変大きな問題です。ただ忘れてならないのは、従業員にとっても大切な問題である点です。従業員からしたら、問題なく雇用は継続してもらえるのか、雇用条件に変更はあるのか、気になるポイントも多数あるはずでしょう。従業員も安心してその後の生活を送れるよう、後継者とも十分に話し合うべきです。経営者と後継者と従業員、全員が満足いくような事業承継を目指しましょう。
専門家の力を借りる
実際に事業承継をしようと考えた際に、具体的に何をしなければいけないか、全てを把握できていますか? きっと、ほとんどの人が大まかな流れしか理解していないはずです。
特に、M&Aを用いた事業承継となるとなおさらで、法務や財務などの専門的な知識も必要となります。
では、そんな難しい事業承継をどうすればいいのでしょうか。答えは簡単、M&Aの専門家の力を借りればいいのです。以下に、代表的な専門家を紹介しましょう。
・M&A仲介業者
事業承継の相手企業探しから、各種業務の遂行、クロージングに至るまで、心強いサポートを得られるのがM&A仲介業者です。
このM&A仲介業者の大きな特徴は、買い手企業と売り手企業、その両者の利益が最大になるように行動する点です。中小企業にて採用されるケースが多いです。
・ファイナンシャルアドバイザリー
こちらもM&A仲介業者と同様、M&Aのことであれば手厚くサポートしてくれます。FAと呼ばれる場合も多いです。
このM&A仲介業者と似ているファイナンシャルアドバイザリーの特徴ですが、買い手側か売り手側、サポートについているどちらか片方の企業の利益を最大化しようと行動します。
主に上場している大企業で採用される場合が多いです。
このほかにも、公認会計士や弁護士を選定される経営者もいます。あなたの会社にマッチした専門家を選びましょう。
マンション管理の事業承継事例
最後にマンション管理会社の事業承継の実例を紹介します。どのような背景でM&Aによる事業承継をするに至ったのかに注目してみましょう。
売り手企業:株式会社VALOR
買い手企業:株式会社AMBITION
実施年度:2015年
売り手企業(VALOR)について:
本社所在地は神奈川県横浜市で、不動産の仲介や管理業務を主に行っています。創業者は元々不動産会社で働いていましたが、独立してVALORを立ち上げました。「社員が安心して永く働ける会社」をモットーに運営されています。
買い手企業(AMBITION)について:
東京都渋谷区にある不動産管理です。東証マザーズに上場しており、売上高は約100億円あります。「住まいに「未来」を、暮らしに「夢」を。」をスローガンに成長を続ける企業です。
M&Aによる事業譲渡を考えたきっかけ:
10年後にも会社を成長させるためにはどうすれば良いかを考えたのがきっかけのようです。
当時、VALORの社長は45歳でまだ経営を続けるのは可能だったそうですが、中小企業である自社の力だけでは限界を感じていたそうです。
会社を成長させ、社員に安心して永く働いてもらうためには、「資金力」と「人材」が会社に不足していると感じ、M&Aによる事業承継のために行動を開始したそうです。
M&Aによる事業承継を行ってみて:
まず、M&A仲介業者に相談した際、100社を超える多くの企業が自社に興味を持ってもらえたことに驚いたそうです。
その中でも、AMBITIONの社長は熱意があり、両社のエリアシナジーが見込めるので、同社に興味を持ったそうです。
雇用条件・仕事のやり方はそのまま引き継ぐとの了承も得られたので、これで社員や取引先にも説明できると安心しました。
マンション管理の事業承継を検討するなら
さて、今回はマンション管理会社の事業承継について詳しくみてきました。率直にどう感じましたか?
注意点やポイントについて細かく解説したので、これから事業承継を考えている人にとって、少しでも参考になったならうれしく思います。
やはり、事業承継の成功は、経営者にとっても、従業員にとっても大切なことです。親族や社内に適任者がいない場合は、M&Aの活用を積極的に考えてみましょう。
社外に目を向ければ、今後の会社の可能性は大きく拡がります。
悩みや不安を抱えているマンション管理会社の経営者の方もいると思いますが、そんな時はまず、M&Aの専門家に相談するところから始めましょう。
専門家に相談する場合、当サイトがおすすめするM&Aコンサルティング社に、まずはお話を聞いてみてはいかがでしょうか。
成果報酬制をとっているため、相談は無料で受け付けています。実際に事業承継が完了した場合に、料金が発生します。
多数の事業承継実績を持っているため、マンション管理会社の事業承継についても的確なアドバイスをもらえるでしょう。
満足できる事業承継にするためにも、まずはご相談してみてはいかがでしょうか。
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