建築資材卸業の事業譲渡【事例から読み解くポイント】

建築資材卸業界にて事業に行き詰まり、対処法に悩まれている経営者の方は少なくありません。少子高齢化の影響もあり、人口も減少傾向にある日本です。地域密着で人との繋がりを大切に行ってきた建築資材卸業も、今までの方法では立ち行かなくなっているケースも目立ちます。出来るならば事業は続けたい。しかし後継者の問題や経営状態の改善など、解決しなければならない問題が多く、前に進めずに悩んでいる経営者の方が多くいます。そんな中、注目されているのが事業譲渡という方法です。手続きは簡単ではありませんが、上手くいけば売り手企業と買い手企業、双方にメリットのある手法です。今回はそんな事業譲渡について、事例も交えながら詳しくみていきす。

 

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建築資材卸業が事業譲渡の道を選ぶメリットとは 

まずは事業譲渡を選択すると、どんなメリットを享受できるのでしょうか。ここではその代表的なメリットを5つご紹介します。メリットを把握して、自社の経営をどの様に改善できるのか考えてみましょう。

 

1.1.経営のプレッシャーから解放される

建築資材卸業を営まれている方は、もう高齢であるという場合も珍しくないのではないでしょうか。すんなりと会社を承継できればいいですが、なかなか上手くいかないのが今の時代です。経営の重圧は本人にしか計り知れないものがありますが、経営が順調でないと夜も眠れないはずです。そんなプレッシャーから解放されて、悠々自適なセカンドライフを送りたいものの、経営を手放せずに悩まれている方は意外と多いです。そんな際に事業譲渡を用いれば、第三者に事業を売却できます。売却資金も得られますし、今までの経営に対するプレッシャーからも解放されます。金銭的にも精神的にも肉体的にも、多くのストレスからの解放が望めるでしょう。年齢にマッチした人生の過ごし方を実現できます。

 

後継者問題の解決

特に中小企業の建築資材卸業の経営者の多くの方が、後継者問題を抱えているのではないでしょうか。建築資材卸業の場合は、地域に根差して親子代々会社を育ててきたというケースも多いです。しかし、少子高齢化の影響や職業選択の自由も当たり前になっている昨今、昔のようにすんなりと後継者が見つかりにくくなっています。悩み抜いた末に泣く泣く廃業を選択する経営者もいます。しかし、そんな苦渋の決断をする前に事業譲渡を検討すると未来も変わってきます。理想的な譲受企業が見つかれば、従業員の雇用やお客様との信頼を守りつつ、事業を承継できます。事業承継で悩まれている経営者の方は、事業譲渡も選択肢として一考してみましょう。

 

事業や店舗の拡大

事業譲渡後ですが、自社のDNAは受け継がれていきます。売り手企業と買い手企業の両社の思いが合致して事業譲渡を行えれば、その後の経営にも譲渡側企業の意志が反映される場合も少なくありません。事業の持っていたブランドや文化は大切にしつつも、新しい経営者の下で事業がさらに発展していくケースもあります。たとえ第三者の手に事業は渡っていたとしても、ビジネスがより拡大していったらそれは喜ばしいのではないでしょうか。従業員の成長にも繋がりますし、元々自社ブランドの製品が他の地域でも使われていたら誇らしいはずです。後ろ向きに考えてしまいがちだった経営も、事業譲渡によって一変してしまう可能性を秘めていると言えます。

 

従業員の雇用安定や待遇改善

例ですが、小規模の建築資材卸事業が業界大手の会社への事業譲渡が成功したとしたらどうでしょう。今までに比べて会社の資本が大きいので雇用も安定する傾向にあります。更に福利厚生など制度も優れている場合が多いので、従業員の待遇も良くなるかもしれません。全ての事業譲渡で当てはまるとは言い切れませんが、状況に何かしらの変化は訪れるはずです。これから事業を育てていきたいと考えている企業の一員になるので、会社の士気やムードは違うはずです。少なくとも心機一転して、新たなスタートを切れるのではないでしょうか。

 

譲渡による現金獲得

事業を売却するのが事業譲渡なので、ある程度のまとまった資金も手に入ります。具体的な金額は事業の規模によって異なるので明言は出来ませんが、専門家に事業価値を算出して頂けば、大体の概算額は分かるはずです。現金が入れば、当然ながら様々な選択肢が増えます。もう引退するという方は老後の活動資金にしても良いですし、残りの事業に資金を投資しても良いでしょう。更には負債の返済に充てるのも有効な選択です。プライベートに投資しても、会社の再建に使っても、経営者次第です。資金を有効に活用して、今後の人生をより豊かにしましょう。

 

建築資材卸業の事業譲渡の事例 

続いては建築資材卸業の実際の事業譲渡事例をご紹介します。ここでは成功した例として3つの事例を取り上げます。

 

【事例1:日本スピンドル製造の建材事業の事業売却】

実施時期:2017年

売り手企業:日本スピンドル製造

買い手企業:三和ホールディングス

 

譲渡事業内容:

木製間仕切、スチール製間仕切、引戸の製造・販売・施工・メンテナンス。学校間仕切りが主力商品。

 

目的:

日本スピンドル製造の建材事業は、木製学校間仕切のパイオニアとして同市場のトップシェアを誇っています。ここまで建材事業で発展できたのは、建材事業の強みである木製建材製品の商品力、営業力、製造力が挙げられます。さらに事業を拡大し成長を遂げるためには、三和ホールディングス傘下の業界大手の三和シヤッター工業株式会社の販売力との融合が必要と判断し、事業譲渡するに踏み切っています。

 

この事業譲渡について:

両社の強みのシナジー効果を期待して、事業強化を図った事例です。木製学校間仕切においてトップシェアのある日本スピンドル製造でも、今後の経営を考えて早期に手を打っているのが分かります。事業譲渡するタイミングとして最も優れているのは、業績が良く経営者の意欲も高い場合です。将来を見据えた上で、最適なタイミングを見計らうのも、事業譲渡を考える上で大切なポイントです。慎重になりすぎて後手に回ってしまわないように注意しましょう。

 

【事例2:Bombay Burmah Trading社の化粧板事業を譲渡】

実施時期:2011年

売り手企業:Bombay Burmah Trading社

買い手企業:アイカ工業

 

譲渡事業内容:

高圧メラミン化粧板の製造と販売。

 

目的:

建築関連商品の需要が今後大きく伸びると見込まれるのがインド市場です。アイカ工業としては、化粧板事業の製造・販売拠点をインドに確保して、アジア地域における生産能力の強化と最適生産に向けたエリア戦略を推進したいと考えました。その為に今回の事業譲受を決断しました。

 

この事業譲渡について:

人口減少の影響のある日本では、更なる事業の発展も簡単ではありません。海外市場にも視野を広げて、積極的に動いているのが分かる事例です。インドであれば、日本とは状況も全く異なります。人口もすごい勢いで増えていますし経済発展も目覚ましいです。インドをアジアの拠点に出来れば、将来性も大変高いと言えます。

 

【事例3:HOTTAの一部事業を譲渡】

実施時期:2011年

売り手企業:大日本木材防腐

買い手企業:HOTTA

 

譲渡事業内容:

住宅建築材料の3PLサービス事業。

 

目的:

大日本木材防腐の子会社である東洋陸運株式会社は、主に拠点間配送業務を営んでいます。株式会社HOTTAが行っている住宅建築材料の3PLサービス事業「マルチベンダーサービス」を取り入れることにより、さらなる企業価値の向上につながると判断し事業譲受するに至りました。

 

この事業譲渡について:

HOTTAの強みを、大日本木材防腐が上手く取り入れた事例です。何もないところから3PLサービス事業「マルチベンダーサービス」を生み出すのは大変ですが、事業譲渡であれば即座に自社のサービスに反映できます。事業譲渡のメリットを最大限に活かしていると言えます。

 

建築資材卸業の事業譲渡の事例から見る注意点

事例を踏まえた上で、建築資材卸業の事業譲渡を実際に考える際の注意点を最後にご紹介します。事業譲渡はメリットも多い手段ですが、手間もかかりますし気を付けるべきポイントがいくつかあります。事業譲渡の成功率を少しでも上げるために、下記の注意点も意識しながら準備を進めましょう。

 

在庫の評価に注意する 

在庫の棚卸資産は、常にその金額が変動しています。事前におおよその合計金額は算出できても、最終的な金額は事業譲渡の日に棚卸を実施してみないと分からない場合がほとんどです。その金額によって消費税も法人税も変わってくるので注意が必要です。事業譲渡で法人税の負担が高額になりそうな場合は、できるだけ決算の期首にM&Aを実行するのをお勧めします。そうすれば決算までに時間があるので、必要な対策を講じやすくなるからです。会計士などの意見も参考にしながら、売り手企業と買い手企業の両者が納得して交渉を進められるように、準備を進めましょう。

 

譲渡先にとってのメリットを明確にする 

自社のメリットばかり意識してはいないでしょうか。円滑に交渉を進め上で、譲受企業側のメリットも明確にしておくのは大切です。事業譲渡の規模や契約の内容によってメリットは様々ですが、主に以下のような項目が挙げられます。

 

  • 新規事業を低コストで始められる
  • 自社の弱い事業を補強できる
  • 買収する事業を選べる
  • 新たな技術を取得できる
  • 新たなお客様を獲得できる
  • 必要な従業員を取得できる
  • 債務や負債を引き継がなくても良い
  • 節税も可能

 

この様に多くのメリットが買い手側の企業にあります。相手企業に話をする際も、自社の要望や思い、事業の良いポイントばかり伝えるのではなく、相手企業のメリットも積極的に伝えましょう。「御社にはこのようなメリットが考えられます。裏付けとして自社の事業にはこういった強みがあります。」といった伝え方の方が、相手に対しても説得力があるはずです。相手の視点に立って行動出来るように、事業譲渡では特に意識しましょう。

 

長い時間が掛かる場合もある 

事業譲渡には複雑な手続きが必要です。大まかなイメージですが、以下の7ステップがあります。

 

①事業譲渡する相手を見つける

②譲渡先候補から意向表明書をもらう

③基本合意書の締結をする

④デューディリジェンスを実施する

⑤契約書を締結する

⑥株主総会の承認をもらう(株式を公開している場合のみ)

⑦引継ぎを行う

 

事業規模によって異なりますが、事業譲渡が完了するまでは早くても3か月、長引くと半年から一年ほどかかります。特に契約の際の交渉は長引く場合もあり、あまりにも難航するようだと事業譲渡の成功からも遠のいてしまいます。交渉に不安がある場合は、自社にマッチした専門家のサポートを受けるなどして、対策を練るようにしましょう。また企業の体力面も注意深く観察しておく必要があります。経営が苦しく立て直しを図りたい場合は、事業譲渡の手続きの間に状況に変化があっても最低限は耐えられる余力が必要です。あまりギリギリな計画だと、買い手企業からも敬遠されてしまうので気を付けましょう。

 

事業譲渡は人対人 

事業の価値を正当に評価してもらい、入念な準備をして事業譲渡に臨むのはもちろん大切です。しかし、忘れてはならないのは「人」の存在です。契約を行うのも、事業価値を算出しているのも人です。買い手企業も人の集まりです。当たり前に聞こえるかもしれませんが、相手を思いやった対応を心がけましょう。いくら事業価値の高い評価を得ていても、横柄な態度、傲慢な態度は避けましょう。相手に歩み寄ろうとする謙虚な姿勢を忘れてはなりません。人の心を動かせれば、譲渡後の対応にも変化を起こせます。自分の大切な人と接する時はどうしているのか思い出し、事業譲渡でも同様に丁寧な応対をしましょう。

 

建築資材卸業の事業譲渡を行うなら

事例も交えながら建築資材卸業の事業譲渡についてみてきましたが、いかがでしたでしょうか。事業譲渡は簡単な手法ではありませんが、成功すれば今後の経営の道が大きく開けます。ご紹介した事例はどれも特に優れたものですが、成功例に沿って事業譲渡を目指すのも、目的達成のための近道です。注意点にも留意しながら、会社の経営に悩まれている方は事業譲渡という方法も検討してみましょう。

 

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