旅行代理店の事業承継【事例から読み解くポイント】

「旅行代理店のオーナーを引退したい、でも引き継ぎ先がない」

「事業承継を考えているけど、どうしたらよいか分からない」

「実際にあった旅行代理店の事業承継事例を参考にしたい」

こんな悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

この記事では、旅行代理店のオーナーが事業承継を行う背景、実際の事例とポイントなどを解説します。

事業承継を検討する材料としてぜひ参考にしてください。

 

旅行代理店が事業承継を行う背景

「事業承継」とは、会社や事業などを後継者に引き継ぐことです。

旅行代理店のオーナーが引退を考えたときに取る選択肢は、主に3つあります。

 

・子どもや親族、従業員などの後継者に事業承継

・第三者に事業承継(M&A)

・廃業、倒産

 

つまり、まずは「だれかに事業承継するか、または廃業するか」を決め、事業承継すると決めたなら「だれに」承継するかを決めることになります。

 

中小企業庁「2018年度版中小企業白書」によれば、オーナーが60歳以上の中小企業のうちで後継者不在は48.7%と、大きな問題となっています。

旅行代理店事業においても同様で、子どもが「継がない」「継げない」「いない」といった事情があり、オーナーは悩みを抱えています。

また、後継者がいたとしても、経営の実地経験を積むためには年単位の後継者教育が必要となります。

 

そのため、中小企業庁「事業承継を中心とする事業活性化に関する検討会(第1回)」によると、子どもや親族以外に承継する「親族外承継」がこの10年間では6割を超えています

それに一役買っているのが、M&Aによる第三者への事業承継です。

 

事業承継の手法としてM&Aを選んだ場合、買い手は既に経験豊かな経営者であるため、後継者教育は不要です。

ですから、親族内承継よりも時間をかけずに事業を承継できます。

また、廃業ではなく事業承継を選ぶことで、オーナーである自分が引退しても、事業は残って継続・発展していくことが、最も大きなメリットといえるでしょう。

 

それ以外のメリットとしては、「オーナーとしての重責からの開放」「現金の入手」「従業員の雇用継続」などがあります。

中でも「従業員の雇用継続」はオーナーなら気になる点ですが、承継先が自社より規模が大きい場合は、事業承継によって従業員の待遇や福利厚生が改善されるなど、より良い結果に転がることもあります。

 

旅行代理店の事業承継の事例

では、旅行代理店における実際の事業承継事例を見ていきましょう。

 

従業員に事業承継

1996年創業の旅行会社ジータックの創業者である原氏は、60代から事業承継について模索していました。

ジータックは、海外出張用の航空券・ホテル手配をメインに、他にもパッケージツアーからオーダーメイド型の旅行まで手がける旅行代理店です。

他社との合併を考えたときもありましたが、業務で利用してくれる顧客に恵まれていることもあり、事業の存続を決めました。

 

同時に原氏は、日本最大級の飛行機クラブ「エアライナークラブ」の創設者でもあり、そこで当時大学生で、のちに後継者となる河村氏に出会います。

河村氏は大手旅行会社勤務を経て、ジータックに入社。

業務と趣味の飛行機クラブの両方に情熱を燃やす姿を見て、原氏は河村氏を後継者に決めます。

血のつながりよりも、経営理念や事業に対する情熱を共有できるかどうかを重視した結果です。

 

河村氏は、大阪産業創造館が主催する「なにわあきんど塾」で経営ノウハウなどを学び、2017年に原氏から事業を承継しました。

ジータックは大阪の旅行代理店ですが、格安航空会社の台頭やオンライン販売の普及など、地方の旅行代理店が劇的に変化する業界の中で生き残るのは難しくなってきている状況です。

しかし河村氏には、原氏が見込んだ飛行機への愛と知識があるため、「飛行機のことならジータック」と言われるくらいの強みにつなげることができるのではないでしょうか。

 

長男への事業承継を断念して、異業種の子会社に

エアーリンクは、1979年創業以来20年以上にわたって、国内外の航空券やパッケージツアー、海外旅行保険などの販売に携わってきた旅行・保険代理店でした。

 

創業者の瀧本氏は、2004年に58歳を迎えた時点で、事業承継の一つとしてM&Aの検討を始めました。

その1年前、後継者候補として同社で働いていた長男に対して、意見の相違から退職を求めた経緯があり、経営を任せられそうな従業員の育成もできなかったためです。

 

仲介業者に相談すると、大手インターネット関連企業のディー・エヌ・エー(以下DeNA)を紹介されました。

DeNAの経営者が熱意を持っていること、新興市場に上場しており資金も十分なこと、そして、従業員の雇用確保と、連続休暇を2週間与えるというエアーリンク独自の福利厚生を継続してくれることが、事業承継に踏み切る決め手となりました。

 

2006年6月にM&Aは成立し、DeNAはエアーリンクと関連会社をともに子会社化しています。

DeNAは、Webコマース事業を核としてEC市場における経営体制を構築してきましたが、新規事業として、オンライン予約などインターネットと親和性のある旅行・保険事業に関心を持っていました。

エアーリンクの子会社化により、DeNAのEC市場におけるマーケティングのノウハウと、エアーリンクが持つ旅行・保険代理店事業のノウハウからシナジー効果が得られることを狙いました。

 

なお、エアーリンクは事業承継によりDeNAの子会社になった後、2008年にスカイゲートと合併、2009年に世界最大のOTAであるエクスペディアと業務提携、2015年に社名をDeNAトラベルに変更します。

さらに2016年にはシンガポールの航空券ホールセラーであるGiamso International Tours Pte Ltdを子会社化、2018年にエボラブルアジアの連結子会社となり社名をエアトリに変更と、瀧本氏の手から離れた後も、目まぐるしい変化を重ねながら事業を拡大していっています。

 

このように、事業承継のメリットは、オーナーの手を離れても事業が発展を続けていくことです。

 

全株式を譲渡して、異業種の子会社に

2018年6月、旅行代理店の産経旅行は、代表取締役が全株式を譲渡することで、バリューゴルフに事業を承継して子会社となりました。

 

産経旅行は、外国人スタッフによる在日外国人向けの旅行・出張手配のほか、在日外国人の家族のための訪日手続きなどインバウンド向けサービスも提供しています。

また、第1種旅行業登録を行っているため、海外・国内における募集型企画旅行の企画・運営を行うことができます。

 

一方のバリューゴルフは、ゴルフ・広告メディア・メディカルの3事業を柱として、ポータルサイトや雑誌・書籍の出版、ゴルフ場の集客サポートなどを手がけており、今回の子会社化によって、ゴルフ事業におけるトラベルサービスの内製化を目指しています。

 

これは、産経旅行が提供する独自の旅行サービスと第1種旅行業登録に、異業種から旅行事業に参入しようとしているバリューゴルフが魅力を感じた事例です。

 

旅行代理店の事業承継のポイントとは

ここまで、旅行代理店の事業承継事例を紹介してきましたが、子どもや親族・従業員に承継できずに第三者への承継を選ぶ場合、承継先が見つかるかは次のポイントに左右されます。

・取り扱い商品の広さ

・顧客が立ち寄りやすい店舗、もしくはwebサイトの有無

順番に解説します。

 

取り扱い商品の広さ

大手企業のDeNAがエアーリンクの子会社化を決めたのは、旅行代理店として、国内外の航空券やパッケージツアー、海外旅行保険といったバラエティ豊かな商品を扱っていたかです。

同じく、バリューゴルフが産経旅行を子会社化したのも、在日外国人向けの旅行手配や、その家族の訪日手続きといった独自の旅行サービスに惹かれたためです。

 

事業承継以外にも、大手旅行代理店のJTBやエイチ・アイ・エスが、国内外の体験・レジャー予約サイトの運営会社にM&Aを実施した事例にも同じことがいえます。

この場合は、自社に不足している「着地型商品」を補強するためでした。

着地型商品とは、観光地側が企画・運営する旅行商品のことで、地元だから企画できるその土地ならではの体験コンテンツのことです。

 

つまり、事業を承継される側(買い手)は、自社にない商品を補強するために、事業承継を受けることが多いです。

発地型商品が多い旅行代理店は、地元独自の着地型商品を。

異業種から旅行事業に参入する会社は、旅行代理店としての基本的なパッケージを。

海外展開を考えている会社は、インバウンド向けサービスを。

このように、自社にないものを補うための事業継承が多いのであれば、自社で取り扱っている商品が幅広ければ、その分承継先にアピールできるということになります。

 

顧客が立ち寄りやすい店舗、もしくはwebサイトの有無

OTA(インターネット上のみで取引する旅行会社)や、IT事業から旅行事業への参入を考えている買い手にとっては、旅行代理店の実店舗、特に顧客が立ち寄りやすい立地で固定客を持っている店舗は魅力的に映ります。

加えて、OTAは店舗で営業する従業員を持たないため、店舗営業ができる優れた人材と営業・教育ノウハウもポイントです。

 

反対に、店舗しか持っていない旅行代理店の買い手にとっては、既に稼働しているオンライン予約ができるwebサイトは大きな魅力となります。

webサイトは、自社で一から構築するとなれば時間と手間がかかるので、M&Aによって最も入手したいものだからです。

 

M&Aの専門家に頼るのもアリ

商品のラインナップや、店舗・webサイトの有無が、承継先が見つかるかどうかを左右するように、事業承継を行う際には、こうした自社の強みを明確化して同業種の競合他社と比較しておくことが必要です。

とはいえ、旅行代理店の事業承継事例や競合他社についての情報を持っていない場合は、自社の強みも把握しにくいかもしれません。

そうした場合は、事業承継の専門家であるM&Aアドバイザリーに相談してみましょう

 

後継者不在で悩んでいる場合には、事業を承継するにはどんな選択肢があるか、専門家としての提案を行ってくれます。

さらに、事業の強みや価値について、事業計画から予想される売上やキャッシュフローをもとに、そこから予測されるリスクを引く評価方法や、関連する人材・取引先や顧客、競合先なども含めた評価方法などの、専門知識を必要とする手法を用いて分析します。

そうした専門的・客観的なデータから導き出された結論をもとに、どうすれば事業承継が成功するかについてアドバイスをくれます

そのため、事業承継を検討しているなら、一度は専門家であるM&Aアドバイザリーに相談することをおすすめします。

 

旅行代理店の事業承継を行うなら

ここまで、旅行代理店のオーナーが事業承継を行う背景や、実際の事例とそのポイントについて解説してきました。

それでも、オーナーとして引退する前に、まず何から手をつけてよいか途方に暮れる方も多いのではないでしょうか。

ニュースに出るような事業承継の事例は、たいてい大企業に限られており、中小・零細企業における事例は公表されることが稀なため、一般人が触れることは難しいです。

 

ですが、事業承継の専門家であるM&Aアドバイザリーなら、それぞれ独自の情報ネットワークを持っているので、過去の事業承継事例と具体的なアドバイス、事業承継を望んでいる買い手についてのリアルタイムな情報を提供してくれます。

おすすめは、旅行業界に精通していて、事業の強み分析や価値の最大化が得意なM&Aアドバイザリーに相談することです。

 

最近増えている、着手金不要の成果報酬型M&Aアドバイザリーなら、事業承継が成立するまでは相談無料です。

だれに事業を承継するか迷っている段階でもインターネット上で気軽に相談できるので、活用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

どこに相談すればいいかわからない、という場合は、当サイトがおすすめするスパイラル・アンド・カンパニー社をご検討ください。

数々の事業継承ノウハウを持っており、自社の価値を最大化してから売却することを得意としています。

より満足できる事業継承にするためにも、一度ご相談してみることをおすすめします。

 

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