建設業の事業承継はどうすればいい?注意点やポイントは?

2018年に休廃業・解散した企業は全国約4万7千件で、前年比約14%増でした。倒産件数は約8千件で、こちらは10年連続で前年を下回りました。合計すると、1年間で約5万5千件が営業をやめたことになります。これは全企業数約359万社のうち、約1.5%を占めます。

休廃業・解散した企業の経営者の年齢をみると、60代以上が全体の8割以上を占めています。2016年まで60代の構成比が最高でしたが、2017年から70代にシフトし、2018年になると70代が約4割を占めており、60代の約17%を大きく引き離しています。
このことから、高齢化した経営者が事業の承継に失敗していることがうかがえます。休廃業・解散した企業を産業別に見ると、第1位のサービス業が約3割を占めます。建設業は約2割で第2位に来ています。

事業承継を休廃業・解散と比較すると、事業を承継するほうが、経営者にとっても、従業員にとっても、多くのメリットを得られます。建設業の事業承継をどうすれば成功させることができるのか、注意点やポイントについて解説します。

 

事業承継のメリットとは

建設業の事業を廃業しないで継承することには、多くのメリットがあります。そのうちの主要なものをピックアップして解説します。

 

経営に対する重責からの解放

経営は総合的な活動であり、経営者は、知能、体力、気力のすべての面で、高いエネルギーを求められます。経営者は、常にビジネスのトレンドを学習し、変化の激しい社会の中で一歩先を読み続ける知力、長時間の作業に耐える体力、さまざまな利害をもつ従業員をまとめ、取引先と交渉する気力を必要としています。

経営者が高齢化してきたり、病気になったりすれば、そのようなハイレベルの要求が負担となったり、もはや遂行できなくなったりします。事業承継に成功すれば、そうした責任を後継者に引き継いでもらうことができます

 

現金を得ることも

身内へ事業承継は、相続の一形態と考えることができますが、M&Aを活用して第三者に事業を継承する場合、事業売却が伴うため、一度に多額の現金を獲得できる場合があります。事業の状態が良ければ、ビジネスモデルや顧客が一体となり、事業自体が評価されるので、廃業と比較してより大きな利益を獲得することができます。

 

従業員の雇用継続や待遇改善

事業承継にあたって、従業員の処遇を条件にすることができます。廃業の場合、従業員は解雇され、自分で新たな勤め先を探さなければなりません。事業承継で、従業員を引き継ぐことができれば、これまで会社のために尽くしてくれた従業員を困難から救うことができます。後継者が適切に経営すれば、従業員の待遇が改善することもあり得ます。

 

建設業の事業承継を行う際の注意点

建設業の事業承継を行うことを決めたら、次にご紹介する点に注意して、交渉を進めましょう。

 

事業承継の確定まで従業員や取引先には秘密にする

事業承継の交渉は、経営者自らが責任をもって行う必要があります。
事業承継について、買い手候補と交渉中であることが発覚すると、従業員に動揺が広がり、場合によっては離職する事態もあり得ます。従業員は会社の事業価値の中でもとくに重要な構成要素です。離職により、会社の事業価値が低下する可能性が高まります。離職による戦力ダウンや、残った従業員の士気の低下などによって、現行の経営にも悪影響がでることもあり得ます。

同じことが取引先にも言えます。取引先に会社が売却交渉中であることが知られてしまうと、なんらかの手を打ってくることも考えられます。こちらの交渉力の低下を見越して、仕入れ先が値上げを迫ったり、商品の買い手が値引きを迫ったりする事態が考えらえます。

事業承継の交渉中は、経営を安定させるために、交渉の事実を公表する範囲をできるだけ狭めるよう努力しましょう。財務的な書類を作るために経理担当者に事実を公表したり、会社の経営状態について詳しい情報を入手するために側近に事実を公表したりすることが必要となるかもしれません。そうした必要最低限の公表範囲以外には、事業継承が確定するまでは、交渉中であることを秘密にしておきましょう。

 

従業員などに承継する以外にM&Aという手もある

現在、多くの中小企業が後継者の不足に悩んでいます。実際、後継者不足は、今日の中小企業にとって最大の課題です。1995年当時、経営者の年齢のピークは47歳でした。これが2015年になると、66歳にずれています。過去20年間にわたって中小企業の経営者の新陳代謝が進まなかったということです。
企業の倒産は減っているものの、休廃業・解散は年々増加しています。後継者を見つけられないままに経営者が齢を重ね、そのまま廃業に追い込まれているのです。倒産は減っていますが、廃業は増えているのです。高齢となった中小企業の経営者は、倒産に追い込まれる前、まだ余力があるうちに会社を畳んでいます。

次に、建設業界の休廃業・解散に目を転じてみましょう。建設業界の休廃業・解散件数は、ここ10年程度の間、高止まりを続けてきました。その後、2015年から2018年までは、増加が目立っています。これまでの間、2010年に約8千3百件で一つの山がありました。この時期は、2008年のリーマンショックや、民主党政権の登場により公共投資が大幅に削減された時期に重なります。この時期にギブアップした経営者が多かったと考えられます。
しかし、最近の再び増加傾向となりました。2018年の件数は約9千件であり、建設業界の休廃業・解散件数は、すでに過去のピークを上回っています。
年齢的に限界に達した経営者が休廃業・解散を選択する件数は、今後も増加していくことでしょう。業種別にみると、工務店などの木造建築工事業の件数がもっとも多く、建築工事業、土木工事業が続きます。

 

すでに解説したように、企業を廃業しないで誰かに引き継いてもらうことには、経営者自身にとっても、周囲のステークホルダーにとっても、多くのメリットがあります。それなりに存続する見込みのある企業が、後継者を見つけられないことを理由に廃業することは、できるだけ避けたいものです。
実際、廃業を検討している企業のすべてが赤字に陥っているわけではありません。廃業を検討している企業のうち6割強は、売上高経常利益率の意味で黒字です。また、自己資本比率の意味でも8割強の企業は、債務超過に陥っていません。廃業を検討している理由として、「業績が厳しい」ことが最大の理由ですが、これは全体の4割弱であり、これに2番目の「後継者を確保できない」、3番目の「会社に将来性がない」が続きます。3番目の理由は注目に値します。建設業に限って、この理由を考えてみると、2020年の東京オリンピック以後に、現在の好調が維持されるかどうかわからないことが、経営者にとって先行きの不透明性として認識されていることがうかがえます。

廃業を検討している理由の第二番目は、「後継者を確保できない」でした。M&Aを上手に活用できれば、この問題を解決することができます。
伝統的に中小企業の事業継承は、第一に身内から、つまり息子や娘の中から後継者選びが行われ、次に自社の社員や経営者の知り合いの中から後継者選びが行われてきました。しかし、以前のように子沢山な時代でなくなったために、後継者の子どもの中から後継者を選ぶことが難しくなっています。また、先行きの不透明感や、資金力不足により、社員や知り合いの中から後継者を選ぶことも難しくなっています。
M&Aを活用して事業承継を行うことを視野に入れれば、後継者の選択幅は格段に広がります。それなりの資金力や経営力があり、自分が経営する建設会社に興味を見出す法人や個人全員の中から事業の承継先を選択すればよいのです。

 

建設業の事業承継を成功させるポイントとは

建設業の事業承継を成功させるうえでの、主なポイントをご紹介いたします。

 

準備は早めに

最初に注意しておきたいことは、事業承継には時間がかかるということです。仮に経営状態が悪化していて赤字経営になっていたり、債務超過に陥っていたりすれば、それだけ会社に興味をもつ買い手は減り、場合によっては買い手が見つからないかもしれません。また、仮に見つかったとしても、そうした状況では、満足のいく売却益を得ることは難しいでしょう。こうした場合に事業承継を成功させるためには、事前に経営を立て直すことが必要となります。

このようなことを考えると、事業を承継するまでには2~3年程度見ておくほうがよさそうです。交渉が途中で決裂して、はじめから事業承継の交渉が振出しに戻り、時間がかかっているうちに経営者のタイムリミットが来てしまえば、不利な条件で交渉を決着させることにもなりかねません。そうした事態もありうるので、準備を早めに行うことが得策です。

 

準備を早めに行うべき理由はほかにもあります。建設業界はこれまで、M&Aになじまない業界だと言われてきました。しかし最近では、そのような流れは変わりました。東日本大震災からの復興需要や、東京オリンピックのための建設需要などにより、建設業界は右肩上がりの状態になっています。その中で、バブルが崩壊した後に採用枠を狭めたことで専門職が足りなくなったこと、ブラックのイメージが定着したために近年若者の採用が難しくなったことを受けて、大手・中堅建設会社の中で、事業拡大や人材確保のためにM&Aを活用しようという動きが強まっています。
しかし、こうした動きが東京オリンピック終了後も堅調とは限りません。いつまで続くかは不透明です。現在の好況も、人口減少などの根本的な変化の影響を受けて、どこかで右肩下がりに転じることは間違いないでしょう。そのように考えると、現在の好条件を活かすためには、出来るだけ早く準備に取り掛かったほうがよいということになります。

 

譲歩できない条件を明確に

事業譲渡の交渉に入る前に、譲渡の目的を明確化して、譲れない条件を明確にしておきましょう。そうすることで、買い手との交渉の中で、なにをどこまで譲歩できるのかが明確になります。売却益が最優先事項なのか、そうであれば最低いくらほしいのか、あるいは従業員の雇用の確保が優先事項なのか。事前に明確化しておけば、交渉が厳しくなったときにも、羅針盤を失うことがなくなります。

 

真の強みを知る

交渉を有利に進めるためには、自社の強みを知っておく必要があります。それが人材なのか、得意分野なのか、大口得意先なのかを見極めましょう。事業譲渡の交渉までに準備期間がある場合は、その時間を使って、強みをさらに増強しましょう。なんらかの強みを持つことは、交渉において有力なアピールポイントになります。

 

オーナーと後継者と従業員にとって最も良い着地を目指す

事業承継もまたビジネスです。ビジネスである以上、売り手と買い手の満足だけではなく、社会に貢献できてこそ良い商売であるという、「三方よし」の精神が基本です。M&Aを活用した事業承継においては、売り手はオーナーであり、買い手は後継者、それ以外のステークホルダーの中で一番重要になるのは従業員です。とくに交渉に参加できない従業員の立場を守れるのはオーナーだけであることを、十分に自覚して交渉を進めましょう。

 

専門家の力を借りる

事業承継は、数年を必要とする複雑な交渉です。その中には、事業価値の算出など、専門家の支援を受けずに遂行することが難しい作業も多数含まれます。事業承継の交渉中も、休まず経営を続ける必要があることも考慮すれば、オーナーが単独で交渉を遂行することは現実的ではありません。

幸いにも、現在さまざまな専門家によって、M&Aによる事業承継をサポートする体制ができています。中でもとくに検討するべきなのは、M&A仲介会社の活用です。仲介会社を活用すれば、仲介会社がプールした多数の買い手企業の候補の中から事業の承継先を選ぶことが可能となります。交渉のスケジューリングや、事業価値の算出などの面でもサポートを受けることもできます。M&A仲介会社は、事業承継をワンストップで受け付けます。

 

建設業の事業承継を検討するなら

建設業の事業承継を検討するべきタイミングは、M&Aが活発な「今」です。準備に時間がかかることを考慮して、早めに準備にとりかかりましょう。
M&Aによる事業承継は、複雑で時間がかかる道のりです。M&A仲介会社などを活用すれば、スムーズに承継を進めることができるでしょう。

おすすめのM&A仲介会社をご紹介します。

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